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おっきかったりちっさかったりひとだったり1

 ドワーフは物作りの天才だと思っていたけど鍛治師特化の物作りの天才だった。

 人形については門外漢でテディベアのようなクオリティの高いものは扱えなかった。


 その上素材は魔物のものが必要で、テディベアにかけられた魔法は普通のものではなかった。

 

 ただテラリアスナーズでは解決は不可能そうな問題でショウカイではなければ解決の可能性もなさそう。

 ショウカイに頼んだことによって直せる可能性が出てきたのでその点は正解だった。


「でもメットンとか魔法使える人とかどうやって探せばいいんだよ」


 歩き回って疲れたショウカイはゴロゴロと地面に寝転がる。

 なんだか地面に生えた草がふかふかとしていて寝転がっていて気持ちがいい。


「メットンは残念ながらこの森にはいませんね」


「マギナズからもう聞いてるよ。


 どんなところにいるか知ってる?」


「さあ? 


 メットンは確か群れで生活して中々その生息域から出なかったはずです。


 そういうことに詳しいのは人間の方でしょうね」


 人間万能だなぁという感想。


「ここまで死にそうになってきたのにまたすぐ帰らにゃいかんのか……」


 というか帰りは徒歩だろうか。

 どれぐらいの距離があるのかも分からないのに歩いて帰ることやノワールのためにまた来ることを考えるともう森から出るのも億劫になる。


「ショウカイさん!」


「な、なに?」


 このままテディベアのことを忘れてしまおうかなんて考えていることがバレたのかと思ったテラリアスナーズの様子がおかしい。


「ノワールさんが出てきます!」


「ほ、本当か!?」


 テラリアスナーズには感じられた毛の塊の中の魔力が1つに集まっていく。

 進化が終わってノワールが出てくる兆候だ。


 テラリアスナーズにしか分からず本当に進化が終わったのか最初は分からなかった。

 けれど変化はすぐに訪れた。


 まるでゆっくりと鼓動するように毛の塊が膨らみ、しぼむ。

 深呼吸でもするかのように鼓動していたリズムが少しずつ早くなっていく。


 運動した直後のような激しい鼓動になるまで時間はかからなかった。

 鼓動が早くなるにつれ、ショウカイの期待も高まっていく。


「他の魔物の進化なんざ初めて見るな」


「そうですね、基本的にはこっそりと見つからない場所でやるものですからね」


「ノワール……」


 ピッと毛の塊に切れ目が入る。


 ちょっとずつ、ちょっとずつ切れ目が広がっていき、グルリと一周縦に切れ目が入る。


「ご主人様ぁぁぁぁ!」


 毛の塊が2つに割れて中からノワールが飛び出してきた。


「ノ、ノワールぅぅ!」


 ショウカイが見えなくなった。

 ノワールに押し倒されベロベロと舐められるショウカイ。


「お、おぼっ!」


 溺れる。

 激しいベロベロに呼吸ができず唾液に溺れかける。


「ん!」


 喜んでいるのは何もノワールやショウカイだけではない。

 ピョンとミクリャがノワールにとびつく。


「ん? ミクリャじゃないですか」


「た、たすかった……」


 グッタリと地面に倒れるショウカイ。

 あとちょっとで酸素不足で気絶してしまうところだった。


「なんか大きくないであるか?」


「ああ、デカいな」


 嬉しそうにノワールの体を這い回るミクリャ。


「ノワール……?」


「ご主人様!」


 こんなに大きくなって。

 目の前に座るノワールは巨大だった。


 胸を張り、誇らしげに座るノワールはショウカイから胸しか見えないほどモフモフで、お座りしているのにサイズ感はマギナズにも負けていない。

 

 モフモフ度が進化している!


「ノ、ノワール……だよな?」


「はい、ご主人様!」


 ノワールがショウカイに顔を寄せる。

 優しく力強い金色の瞳。


 頭に手を伸ばすとすぐに耳をぺたんとたたみ、期待に尻尾を揺らす。


「これは……!」


 例えるなら天国の手触り。

 ふわっとしていて柔らかいのに撫でつけてもすぐに起き上がってふわふわ感はなくならず、いくらでも触っていたくなるような触り心地。


 目を細めて撫でられるノワールも気持ち良さそうでウィンウィンな行為。


 撫で心地が進化している!


「すごい……大きくなったな」


 今ならマギナズも簡単にはノワールを倒せなさそうな大きさになったノワール。

 大体進化といえばデカく強くなるイメージだったからデカくはなると思っていたけど、想像以上に大きくなった。


 ともあれ見た目は変な感じに進化していないので安心もした。


「大きいだけじゃありません!」


「えっ、ノワール!?」


 ノワールがシュルシュルと小さくなっていく。

 いつものサイズになるのかと思ったら、それよりもさらに小さく縮んでいく。


「ん!」


「なんですと!」


 ミクリャがノワールを抱き上げる。

 小さいミクリャが抱き上げられるぐらいの小ささにノワールはなった。


「どうですか!」


 誇らしげに尻尾を振るノワール。

 ショウカイが恐る恐る手を差し出すとミクリャはノワールを手に乗せてくれた。


 手乗りオオカミ。

 ちょこんと手に乗るノワールは激しく尻尾を振ってどうだと言わんばかりの顔をしている。


「お……おおっ?」


 おっきくなったり小さくなったりとショウカイの理解が追いつかない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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