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初めてのドワーフ1

「それは……ふふ、また難しい問題ですね」


 テラリアスナーズのところもに戻って何があったのかを話して良い知恵がないかを相談する。

 そもそもの話オーガの仲裁的な感じの役割で呼ばれたと思ったのに何が狂ってこうなったのかテディベアを直すことになっていた。


 テディベアを見てテラリアスナーズは笑いを堪えていた。

 なんだかマギナズみたいで少しツボに入ってしまっていたのだ。


 話は仲裁では済まなかった。

 テディベアの修理と言うと、ことは単純に聞こえるがそうではない。


 仮にこのテディベアを治すことに失敗してみるとオーガの戦争が始まってしまう。

 こんなことで、と思うのだけど、こんなことで喧嘩するのも魔物なのだ。


 あくまでも魔物は魔物なのだ。

 テラリアスナーズみたいな魔物は珍しい例なのである。


「ふーん、こんなもので喧嘩するたぁ、オーガもまだまだだな。


 可愛いか、これ?」


「マギナズみたいで可愛いと思うぞ」


 マギナズの方がいくぶんかイカツイ見た目をしてるけど頑張ってデフォルメして可愛くしていくとこうすることもできる。


「私みたい……そうか、そうか……


 なんだか可愛く見えてきたな」


 そうなるとマギナズもテディベアを綺麗に直してやって欲しくなってきた。


「ふふふっ、そうですね。


 まずはドワーフさんたちのところに持っていってはいかがですか?」


「でも直すの断られたって……」


「直してもらえなくてもアテがあるか聞いてみたり、直すのに必要なものぐらいは教えて貰えるかもしれません」


 ーーーーー


「あつぅい……」


「こんぐらいで……根性ねえな」


「じゃあ頭の上でハアハアするのやめてよ」


 例によって抱きかかえられてショウカイは森を移動してきた。

 森を抜けて少し進むとあっという間に植物がなくなり、周りの気温がグンと上がった。


 森のすぐそばにある溶岩地帯にショウカイは連れてこられていた。

 マギナズに抱えられていることとマギナズの荒い呼吸が下りてきて暑さが倍増している気がする。


「ドワーフまだぁ?」


「あー、あとちょっとだ」


 ショウカイはとりあえずテラリアスナーズの助言通りにドワーフに会いにきていた。

 ドワーフにも会ってみたかったしテディベア直しのきっかけも何か欲しかった。


 黒っぽい岩肌の大地を歩いていくと大きな山の根元にポッカリと大きな穴が開いていた。

 そこに入っていくと涼しく……なかった。


 よりムワッとした熱い空気に襲われながら穴の中を見てみるとそこは町だった。


「ここがエルカトイ。

 ドワーフがこっそり作った町だ。


 人と交流があるドワーフもいるがここの連中は人とは繋がりがなくて魔物相手に商売してる変わり者の集まりさ。


 まっ、そのおかげで私たちも助かってるところはあるんだけど」


「おっ、熊公じゃねえか、こんなとこで何してる?


 暑くてここは嫌いだって言ってたじゃねえか」


 これがドワーフかと感動する。

 短い手足の低身長毛むくじゃらのおじさんがそこに立っていた。


 やや茶けた髪や髭をしていて顔の作りは豊かな髭のためにほとんど見えない。

 茶色い瞳が怯えることもなくマギナズに向けられていて、2人は知り合いなのだとわかる。


 しかし腕や足は筋肉で太く、身長は遥かにショウカイが上でも力勝負では負けてしまいそうだ。

 割とイメージ通りのドワーフで思わずおおっ!と思う。


「熊公って呼ぶんじゃねぇ!


 デミオか、ちょうどいい、冷たいもんでも出せ」


「出会って早々カツアゲかよ……


 まあいいウチにでも寄ってけ。


 その抱えてるもんにも興味あるしな」


 抱えているもんとはショウカイのことなのか、それともショウカイがさらに抱えるテディベアのことなのか、はたまたテディベアにしがみつくミクリャのことなのか。


 見た目凄いことになってる。


 テディベアで顔を隠せるからいいんだ。

 ドワーフのヒソヒソとした話し声に耳を傾けないようにしながらデミオの家に着くのを待つ。


「相変わらずちっちゃいな」


「お前がデカすぎんだよ。


 まんま入んなよ?

 壊れちまう」


「わーてるって。


 ショウカイ下ろすぞ」


 ショウカイを下ろしてマギナズが人の姿になる。

 下ろされたショウカイが周りの状況を見てみるとそこは住宅街のようだった。


 家が立ち並んでいるのだけどどれもこれも立派な家々だ。

 ただし玄関のサイズはショウカイでギリギリぐらいの高さであった。


「それでもデカいんだがな。


 まあ、入ってくれ。

 久々の客人だ、もてなそう」


 中に入ってみると不思議な感覚がした。

 作り的にはいい家なのだけどどことなく小さく、窮屈な感じがする。


 デカい作りだったオーガの家とは真反対な感じがしている。

 ドワーフの体格が人よりも小さいのでドワーフから見たら広々空間の家なのだろうがショウカイからするとやや狭い感じになっていた。


「冷たいもんだったな。


 えーと、ひいふうみい……」


 ショウカイたちを指差して何かを数えるとデミオは奥のキッチンに消えていき、程なくして5つのジョッキを持ってきた。


 ショウカイとマギナズ、それにシュシュとミクリャの分とデミオ自身のやつで5つである。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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