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大事な大事なお人形2

改めて撫でるとノワールの毛の塊は触り心地が良い。


「いつまで撫でてんだよ」


 撫で始めると止まらない頬擦りすらしそうな勢いのショウカイをマギナズが後ろから抱き上げる。

 前にそのまま締め付けられて気を失ったのでヒヤリとしたけど今度は優しく持ち上げてくれた。


「ん!」


「えっ、どうした?」


 持ち上げられたショウカイを見てミクリャがショウカイの腹にしがみつき、何かを訴える。


 グイグイと腕を引っ張られるのでなんだろうと思う。

 指を引いて自分の腰に当てる。


 とりあえずミクリャの腰を持ってみると無表情の中にちょっと違うという顔をしていることがなんとなく分かる。


「抱きかかえるであるよ」


「こう?」


 胸元にはマギナズの腕があるので腕を伸ばしてぶら下げるようにミクリャの体を抱きかかえる。

 フンスと鼻から息を吐き出して満足そうなミクリャ。


 マギナズがショウカイを抱きかかえ、ショウカイがミクリャを抱きかかえる。

 なんだか分からないけれどミクリャはこうしたかったみたいだ。


「ププッ……面白いであるな」


 ワチカミが爆笑していたんではないかと思う奇妙な光景。

 ほんと不思議なことを考えるものだけどミクリャが満足ならそれでいいんだ。


「それで俺はなんで呼ばれたんだ?」


 大まかな事情は聞いたけどサラッとだし、もうあまり覚えていない。


「私もここから出るつもりがなかったのであんまり知りません。


 当事者たちに聞いていただけませんか?」


「えー?」


 もう9割方受けたも同然だしもう受ける気はあるが、内容によってはショウカイじゃどうしようもないことだってある。

 いざオーガを目の前にして出来ませんで済むのかどうか不安がある。


「マギナズを連れて行ってください。

 一緒にいれば少なくとも人間だからと手を出しては来ないでしょうから」


 森の支配者であるテラリアスナーズ。

 支配者だからと何か森に住む魔物にしなきゃならないことがあるのではないが森を荒らすような行為は許さない。


 支配者と表現するよりも森の秩序を守る番人と表現した方が正しい。

 そもそもテラリアスナーズも支配者になろうなんておもってもなかった。


 トラブルがあって、どうにかしてほしいなんて頼みを聞いていたらいつの間にか森の女王様である。

 なので実際のところ問題解決に乗り気な性格でもなかった。


 マギナズはいつ頃からかテラリアスナーズの側にいてテラリアスナーズを手伝っていた。

 今ではテラリアスナーズのいるところにマギナズもありと森の魔物は認識している。


「よし、早速行ってみるか」


「きょひけーん」


「行くぞー!」


 拒否権、そんなものはないと言わんとばかりにマギナズはショウカイを抱えたまま歩き出す。

 もうどうしようもないことは分かっているので抵抗するつもりもない。


「ノワールのことは任せてください。


 いってらっしゃい」


「行ってきまーす。


 ノワールのこと頼んだよー!」


 ここ何日か地面に足つけている時間が短い気がしてならないショウカイはマギナズの腕の中でプラつきながら森の中に向かった。


 ーーーーー


「オーガってのはどんな魔物なんだ?」


「んーとな、それこそ上から下まで色々いるな。


 弱い奴ほど頭も弱くて魔物っぽい。

 強い奴ほど頭も良くてちょっと人間のような感じもする奴もいる。


 こんなところに住んでる奴らはだいたい頭のいい強いオーガだよ」


 マギナズはテラリアスナーズに並んで森で敬意を払われている。

 知能の高い魔物はわざわざマギナズに頭を下げたりもしていて、まさしく森の王者のよう。


 そんな魔物たちに奇異の目で見られるショウカイは恥ずかしかった。

 どうして人間がいて、マギナズに抱かれているのか疑問に思わずにはいられない。


 ミクリャを抱えているので顔を隠すこともできない。

 魔物にも野次馬根性があるのか見にくる魔物が増えている気がする。


 マギナズはそんなことは気にもならないのか鼻歌を歌いながら森を進んでいく。

 なんとなーく森のクマさんチックな鼻歌を聴きながら進んでいくと森の中に木の囲いが見えてきた。


 遠くからでも目立つマギナズに気づいた見張りのオーガが中に入っていく。

 マギナズが囲いに近づいた時にはズラッと中からオーガたちが勢揃いで出てきていた。


「お待ちしておりました!」


 並んだオーガを端から端まで見て、確かにオーガとは一括りに説明するのは難しそうだと思った。

 非常に大柄で体も顔もゴツゴツとして濃い緑の肌をしたオーガもいれば普通の人ほどの大きさで体つきもスマートで肌も少し黒ずんだぐらいに見えるオーガもいる。


 前に出てきたオーガはほとんど人のようだった。

 どのオーガにも共通しているものである角がなければ正直分からないレベルのオーガである。


「そうな畏まるなって。


 私なんか何もしてないんだから」


「いえ、我々が平和に暮らせるのも女王様とマギナズ様のおかげです」


「相変わらず固いなぁ」


「それでそちらの方が……」


「そう、女王様の代わりに問題を解決するために来てくれたショウカイだ!」


 オーガの皆様の前で問題解決を勝手に安請け合いするのはやめてください。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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