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このクラスは問題がある。Part,3

「昼飯など、戦いに疲れた戦士の食べるものだ。俺は、そこまで疲れていない、なぜなら。俺の前世は神をもひるませたー」


一輝(ひとき)どうする。また、始まったよ。(りょう)の一人伝説」


「……アイツはダメだ。放っておこう」


飛行機の世界からようやく戻ってきた海空(かいる)が、呆れ顔で呟いていた。俺にとっては「また始めた」というのは、海空の飛行機のことにも言えると思うのだが、本人は自覚がないらしい。


黙々と、弁当のおにぎりを頬張る。

中に、酸っぱい酸味と少しだけハチミツの甘味が染み込んだ梅干しが入っていてホッコリとする。

どうしておにぎりというものは、中身の具だけで味がこんなにも変わるのだろう……。


「そう、俺は囚われの姫を助け、そして世界を滅ぼす選択をー」


涼の一人伝説がまだ続いている。

涼は中学2年生で卒業できなかった病を拗らせ、今に至る。

いわゆる厨二病というやつだ。

スタイルも前髪で右目を書くし、さらに眼帯を着けた服装である。

右手には包帯を巻き、いかにもという厨二病っぷりだ。

明らかに校則違反なのだが、学校は成績に免じて許しているらしが、校則にかいてあるのだから、学校側は本当にしっかりして欲しい。一応、全国のトップ校なのだから……。


「男子、ほら、ちゃっちゃと食べてください。次の時間、文化祭について話し合いますよ?」


「「!?」」


いきなり女子に話しかけられ、俺と海空は文字通り跳び跳ねてしまった。

振り返ると、肩辺りに切り揃えた髪と、切れ長の眼をもった紗也(さや)が腕を組んで立っていた。


「ほら、早く決めよ!決めよ!」


紗也の後ろから月菜(るな)が、ひょっこりと顔を出してる。

月菜は、腰辺りにもなる髪をハーフアップにしており、紺色のリボンで止めていた。月菜の、アーモンドのような眼が爛々と光っている辺り、決めるのが楽しみなのだろう。


《氷の女神》と、《ドMの姫》。

これが二人の異名だ。

二人とも、相対的な見た目をしときながら仲が良く、学校でも一、二番をきそう美少女だ。


氷の女神こと紗也は、このクラスで一番しっかり者なのだが、敬語が抜けなかったり、笑顔を作るのが苦手なのが、他の人からは冷たく見えるらしい。冷たく見えるから氷の女神。

少し異名の由来が可哀想な人でもある。


ドMの姫ことは、その名の通りー


「ねぇ、一輝?今日まだ三回しか私をバカと言ってないの。もっといってくれない?」


月菜が頬をまるで恋する乙女のように赤く染めて言う。


これが、彼女の異名の由来だ。

とにかく、M。普通人が嫌がることを、すすんでやって欲しがる。

俺にとっては考えられない性格だ。


「やだよ。言えと言われて、言う人じゃねーんだよ。俺は」


「へぇー。一輝、いいの?君の異名《ドSの王子》なんでしょ?異名なくなるよー?」


海空が、やけにニヤニヤしながら言ってくる。《ドSの王子》を強調している気がしたのは気のせいだろうか……


「うるせーよ、《空の貴公子》。俺はな、どうせいじるなら、Mみたいなバカじゃなくて屈辱的な表情を浮かべるやつがいいんだよ」


「バカって言った!?私がバカ……!もっと言って!」


「お前は事態をややこしくするから少し黙れ、口にガムテープを貼るぞ」


「バカの次は黙れ、そして、ガムテープ……!あ、あの貼って欲しいんだけど……」


「そうして、魔王がー!」


「涼くん、今日も絶好調ですね」


「一輝、貼って!貼って!」


もう、やだ。このクラスはバカしかいないのか……!

いや、まだ紗也はマシだけれども!


本当にこいつらは音ノ葉校を満点で通過したのだろうか……


頬に手を添え、モジモジしている月菜を横目に俺は盛大にため息をついた。

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