このクラスは問題がある。Part,2《空の貴公子》
チャイムが鳴り響き、昼の時間になった。
たった五人しかいないクラスだが、女子と男子で自然に別れて食べている。
購買部もあるのだが、教室からでるのが面倒だし何より他のクラスの奴らに会いたくない。
教室からでると、毎回と言っていいほど話しかけられる。
知ってる人なら、それなりに返事できるのだが、知らない人からいきなり話しかけられると返答に困る。
俺だけではなく、他の四人も同じような経験があるので、皆必ず弁当を持参し、教室から極力出ないようにしている。
「一輝、今の時間は旅客機のNALが見えるぞ!たしか、一時間のうちに4台くらい通るんだ!かっこいいよな」
「そんなの知って何になるんだよ。今から乗らないだろ」
「フッ、今から飛行機が来るのか。前世のアルファルトとしての使命を果たさなければ……やつを仕留めてくる」
「おい、飛行機と戦ってこようとすんな。虫より弱いかもしれないお前が木っ端微塵になるぞ」
涼が席を立ち、バカを言い始めたのが聞こえていないのか、海空は一人でぶつぶつと呟きながら飛行機の情報をスマホで調べていた。
時折、ウキウキとした様子で窓を眺めては、満足げにため息をついている。
飛行機雲がスッと空に白い線を描いた。
飛行機なんてここからだと本当に小さな影でしか見えないのだが、海空は
「今の見えたか!?あれは、アジア専用の旅客機なんだよ!かっこいいよなー!」
と、飛行機の小さな影でどの飛行機かを言い当て、興奮したご様子だ。
Sクラスのメンバーは、他のクラスの奴らから異名で呼ばれることが多い。新聞部にもよく書かれるのだが、いつ撮られたのか分からない写真がのっているので恐怖でしかない。
ちなみに、異名は新聞部公式らしい。勝手に人を新聞に載せないで欲しいのだが……。
海空の異名は、たしか……
《空の貴公子 海空》
なんとも、彼の趣味を反映させた異名である。一体どこから彼の情報を仕入れたというのか……。