異邦人
彼らは突然やってきた。
地球を侵略する、とかなんとか言って。
もちろん地球は征服された。
彼らの技術は高く、人間では到底及ばなかった。
彼らとの交渉に、総理であるN氏が選ばれた。N氏は彼らの宇宙船に載せられ、各国から集めた料理を振舞った。彼らは地球の言葉を話せたので、恐る恐るN氏は尋ねた。
「なぜ、この地球を攻めたのですか。貴方がたならば、この地球に来なくても、充分に生きられるはずです。」
「我々は征服しなければならないのだ。」
彼らは震えていた。
「侵略しなければ征服されるのは私達なのだ。」
「どういう事ですか。」
「我々の星は、他の星の宇宙人によって、征服された。その宇宙人は私達に他の星を征服しろと言った。そうしなければお前らの星を滅ぼすと。だから我々は自分達より弱い星を征服しなければならないのだ。」
N氏は恐怖した。彼らは操り人形に過ぎないー。
宇宙人は続けて言った。
「そして彼らは言っていた。征服した宇宙人にまた更に他の星を征服させろと。分かったな。」
「しかし、そんなこと」
「しないのであればこの惑星を滅ぼす。」
総理は渋々従った。
その頃、地球から遠く離れた惑星。
「おい、細菌の実験はどうだ。」
「今のところ成功です。」
「そうか。」
「しかし、博士も性格が悪い。他の惑星を征服し、その星に更に征服を命じさせる細菌なんて。初めにウィルスを放った星は、他星の征服を続けているようですよ。」
「宇宙の他の惑星に比べて弱い我々の星が生き残るにはこうするしかないのだ。」
その時、一人の研究員が入ってきた。
「どうした。」
「博士、緊急事態です。この星が現在他の惑星から未知の生命体によって侵略を受けている模様です。」
彼らは突然やってきた。