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2話 遺跡と魔法

「お、おう。よろしく」


さっきから理解の範疇を超える出来事の連続に雑な返事をしてしまった。


違和感なく会話してしまったけども日本語じゃないけど理解できてるし何故か話せてる。まぁ、いいか。特に問題ないんだし細かいことを気にしてもしょうがない。


「お、言葉わかるんだ!やったね!いろいろお話したいことがあるんだけど、ここじゃなんだから街まで一緒にきてもらえるかな?あ、できたらお名前教えてほしいかも!」


やけにハイテンションなアカリと名乗った少女は俺にとっても都合のいいことを提案してくれる。このご都合展開のビックウェーブ乗るしかない


「俺はヒロという。街につれてってくれるってのはこっちもありがたい話だ。さっきから完全にここはどこ私はだれ状態だからな。」


そういって祭壇みたいなとこの上にいた俺はぴょんと跳んでアカリと名乗る少女の横におりた。近くによると握手を求めてきたので応じる。あ、女の子の手でやわらかい…


「あらためてよろしくね!ヒロちゃん!遺跡の中は比較的安全なんだけど、外に出るとそこそこ高ランクの魔物がでるから離れないように気を付けてね!じゃ、行こっか!」


アカリは手をつないだまま歩きだしてしまった。フードからのぞいて見える髪は赤く、内巻きの肩ぐらいまでのショートだ。右手にはなんかバールのようなものを持っている。棒の先にくちばしと羽っぽいデザインの突起がついている。バールといったが、たぶんあれは杖だな。見た目魔法使いだし。左手につかまれた俺はひっぱられるようにテケテケついていく。


女の子と手をつないで歩くなんて何年ぶりだろう、謎のこの体に感謝しながら、遺跡の祭壇の間からでる。この遺跡はなんでも第一魔法文明のもので4000年前くらい前のじゃないかって言われているらしい。街からそんなに離れていないところにある上、過去からかなり調査隊が調べてるんだけど、祭壇の間しか見つかってないらしい。調査甘いんじゃないのか?培養槽の部屋とか見つけてないじゃん。


「第一魔法文明はめちゃ進んでたらしくて、正直プロテクト固すぎてなんもわかんないんだよね!遺物なんてみたことも聞いたこともないし!」


顔が近い!


説明しながら顔を近づけてくる。まあ、どうみても俺が遺物なり遺産なりこの文明のなんかなのはそうだもんな。って俺大丈夫なのか?


「ヒロちゃんのパターンは遺物じゃなくて、召喚事件としてギルドの方で処理されるんじゃないかなーって思ってるんだよね。実はもともとそんな感じの依頼で、時空の歪みの大きいとこが何か所もあってそのうちの一個がここだったんだよね。どっかのバカヤローが碌でもない召喚の禁呪を使っててその余波なんじゃないかってのがギルマスの推定なんだ。大昔にもそんなことがあったらしいしね!」


どうやら大きな事件が起きていて、そこに巻き込まれるようだ。なんか良くしてもらえそうだし、ラッキーなのかな。ま、この身体は状況からしてあのロリコンの遺物なんだけども。身元とか聞かれてないから答えてないけど聞かれたらどこまで答えたもんかな。ま、そんとき考えるか。


「よくわからんけど、ギルドとやらで保護してもらえる感じなのか?見ての通り、着の身着のまま1人でどうしたもんかって状態だったし助かるよ。」



遺跡自体は大して広くなく、すぐに景色が変わった。祭壇からしばらくは大理石風の不思議と明るい建物内部だったのだが、2つ扉を越えた部屋の壁に穴があり、そこから洞窟につながっていた。


なんでも洞窟は第二次魔法文明時代の廃坑らしい。何を掘ってたかさえ現代ではわからないが、坑道付属の魔法道具の類はまだ使えて、所々にあるライトは来るときに魔力を注いで起動してきたそうだ。


坑道にも魔物が住んでるけどもライトを点けると近づいてこないのでこの辺は安全らしい。


手を繋いだままそんな説明を聞きながら歩いて行くこと1時間くらいだろうか。やっと外に出たようだ。登ったり降りたり曲がったりを繰り返して、はっきり言って二度と元の遺跡に戻れる自信がない。ま、マップがあるらしいのでたどり着くだけならそんなに難しくはないらしい。マップ、見てるそぶりなかったけどね。


「よし、外に来れたね。山の中には狼さんがいるから戦闘になるかも。狼さん取れたら休憩してごはんにしようね。」


食べるんかい!とは口には出さない。


「その狼がでてきたら俺はどうしてればいい?」


「んー、たぶんみんな一撃だし、ちょっと離れてればいーよー。あ、自分でやりたいならやってもいいし!」


「いやいや戦闘とかしたことないぞ?」


「んー、そのローブ、見るからにいいやつだからなんとでもなりそうだけどねー。ま、見てるだけでいいよ!」


アカリは俺をなんだと思ってるんだろうか。


「っていうか、一撃って狼さんはそんなに弱いのか?」


「弱くはないよ!黄色の冒険者までだったら手も足もでないんじゃないかな?私の魔法と相性がいいから一撃なだけなんだ!ま、大体みんな一撃なんだけどね!狼さんって意外にも防御が硬いんだよ!あ、早速きたね!」


見ると前方から灰色の影が駆け抜けてくる。2mくらいあるだろうか。予想より大きいし、速い。しかも群のようで5匹ほどいる。


「じゃ、いくよ!」


そういうとアカリの姿が消えた。気がしたが、俺の身体は反応していて目で追えている。走馬灯を見るときに時間が遅くなるっていうが、あんな感じだ。引き伸ばされた時間の世界で、アカリは振り返り微笑んでから、狼の首筋をバールのような杖で軽く小突き、狼は倒れた。


同時に魔力の視界も認識していて、アカリの体から杖に集まった魔力が狼に触れたところから入り込み、変質して狼が倒れていた。元から狼の心臓部あたりから全身に満ちていた魔力の流れが打撃のあとに消えている。心臓部の魔力は残ったままだ。


通常の速さの視界、超高速に引き伸ばされた視界、魔力の流れの視界、3つの異なる引き伸ばされた思考時間で任意に組み立てている不思議な感覚だ。見ようと意識すれば物理量でも直接見れそうな感じさえする。


思考を逸らした隙に2頭目、3頭目が同じように倒れていく。マジで一撃だ。しかも打撃で。4頭目を倒したときアカリと目が合い、謎のアイコンタクトをしてしまった。たぶん高速戦闘が見切れてるなら狼倒せるよねってメッセージだ。証拠に5頭目の、最後の狼がこっちにくる。さっき黄色の冒険者は手も足も出ないとか言ってたよね?俺をなんだと思ってるんだ?遺跡の遺産か?


狼はあっという間に距離をつめ、まさに俺に飛びかかろうとしている。ギリギリまで引きつけ後ろ足で蹴り出し完全に宙に浮いた瞬間、最低限の動きで狼の横に避ける。そして首筋に向け掌底を、魔力を込めて、イメージを込めて叩きつける。


物理魔法が使えるとかロリコンが言ってたのと、出来そうという直感から物理法則に干渉する。とりあえずイメージの湧きやすい運動量だ。狼の持つ運動量のベクトルを打撃点で掌底の当てた方向に折り曲げる。そんなイメージだ。


バキョベキャ


狼の頭がありえない方に向いて、斜め前に吹っ飛んでいった。狙い通りだ。触れたところから運動の向きを変える。首を支点にして、元の真っ直ぐ飛びかかろうとした運動量ベクトルと、曲げられた運動量ベクトルが交わって首の骨を折っている。


狼のスピードがかなり速かったので威力もなかなかだ。


「おー、やるー!やっぱやればできるじゃない。おねーちゃんは信じてたよ!じゃちょっと早いけどお昼にしよっか!」


そういうなり、バールのような杖の長い方の先端を捻り外し、魔力のナイフにして狼の解体を始めた。あのバールはサバイバルナイフか!ちなみに解体しているのは俺が首をへし折ったやつだけで他のは魔核だけとって放置らしい。魔力強化されない魔物は驚異度が大幅に下がるのでそれで十分だとか。というか、まだ生きてたんですねあの4匹は。もっとも結構な高等テクで誰もができるわけじゃないらしい。まあ、そうでしょうね。はい。



狼肉は焼いて食べた。思いのほか美味しかった。新鮮な肉っていいね。

なんとか2話書けた…。随分書くのに時間がかかってしまって週1とか毎日投稿してる人を尊敬します。



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