この世界……レジェンド・オブ・エンド
前回に続いて1日に2回目の投稿です。
やっと世界観をつかんでもらえるような内容ができたと思います。
暖かい目で見てください。
「ここは死後の世界なんだ……」
いきなりそんな事を口走った。
「何を言っておる。ここは精神世界、リアルバーチャル世界じゃよ」
右側からしわがれた声が聞こえて、虚ろな瞳でそちらを見た。
そこには年齢八十を越えたと思われる白髪の老人が居た。
「またせたな。このジジィがここの部屋の主でこの世界の研究者、クリス・テンパー博士だ」
「黙らんか! この海坊主!」
「海坊主とはなんだ! ジジィがあんなふざけた仕掛けをするから毎回俺が行かなきゃならないんだろうが!」
「お主のようなこわもてヤクザに居そうな奴はそれで充分なんじゃよ」
「この……くそジジィ……」
なんか喧嘩が始まりそうなので、まだハッキリとしない頭で話しかけた。
「クルス博士さん? 僕は鏡由紀と言います」
「クリスじゃ」
間違えた……。いきなり人の名前を間違えるなんて。
「おい、海坊主。こやつの石はなんじゃ」
「お、そう言えば聞いてなかったな」
錦戸さんは僕に近づいてきて、視線を合わせ聞いてきた。
「鏡ちゃんのアクセス機はどれだ?」
「僕のアクセス機はこれ……」
朦朧とする頭で右腕を出した。
「こ、これは! ジジィ……。この少女七光鉱石だ」
「何!?」
二人は驚いたらしく、沈黙が空気を支配する。
「海坊主、部屋から複合鉱石を持ってこい」
「わ、わかった」
何かをずらす音が聞こえた後に足音が耳に入ってきた。
「持ってきたぜ。紅でいいよな」
「ナイスじゃ」
何かを砕く音が耳にこだまする。
「これを彼女のブレスレットにふりかけなされ」
「わかった」
錦戸さんは何かを持ってきて、僕に囁く。
「腕を上げて深呼吸をするんだ」
言われたままの事を実行に移す。
少ししたらざらざら感が腕に走ると同時に、目の前に大量の粒子が噴出した。
それを目にした瞬間、今までの感覚が嘘みたいにすっきりする。
「わぁ……綺麗」
「元気になったようじゃな」
赤い粒子の旋風は、少ししたらブレスレットに吸収された。
「ご、ごめんなさい。あ、改めて自己紹介を……鏡由紀です」
イスから立ち上がり頭を下げた。
クリス博士は気にした様子も無く淡々と話しかけてきた。
「それで君は初心者じゃないと聞こえていたがホントじゃな?」
「は、はい。僕は一年前にこの世界に来て、今まで街に来たことが無かっただけで戦い方は知っています」
「ほう。なら確認させてもらってよかろうか?」
錦戸さんが工事現場で使われそうなメガネを渡していた。
それをかけたクリス博士はなんか渋い顔をしていた。
「スキルポイント28、ステータスポイント40、習得スキル0、レベル20……。お主レベルが高いだけで何もしてないのじゃな。お主の始まりの村の連中は何も教えんかったのか」
なんか僕が怒られている感じがして、頭が混乱してきた。
「装備を見せてくれぬか?」
「は、はい。リアクト……ショートソード」
ブレスレットから赤い粒子が手に収束して諸刃を形づくる。
「そのままにしとくのじゃ」
クリス博士は右手に緑の粒子を出しているペンダントを巻いて一言。
「ロック。もう放してよいぞ」
言われた通りに放すといつもは粒子化するのに、そのままの諸刃が存在していた。
「ふむ……。そんなにいい装備じゃ無いようじゃの。しいて言えば初期装備じゃろうか」
「と言う事はジジィ……レベルは高いが、初心者と変わらないと言う事か?」
「そうなるの」
二人が話している内容は分かるけど、その前のステータスがどうのって話はさっぱり。
「お主。この世界の事とアクセス機についてどのくらい知っておる?」
「え? アクセス機はこの世界に来るための物で、この世界はリアルバーチャル世界……レジェンド・オブ・エンドですよね?」
そう真面目に答えると、顎が外れるんじゃないかってほど口を開けて呆気にとられていた。
「何も知らんようじゃの……海坊主」
「はい」
すると錦戸さんは銀色のペンを出した。
「リアクト……粒子ボード」
すると目の前に真っ青な粒子が吹き荒れ透明のボードが現れた。
「いいか? お主は基礎も何も知らないようじゃ。だからこのワシ自ら教えてしんぜよう」
僕が何も知らない?
確かに戦う事しか知らなかったけどそれだけじゃ無いのかな? なんか剣以外も出してたし……。
「この世界はリアルバーチャル世界であると同時に、法律もルールも何も無い世界なのじゃ」
その話が三十分続いて僕の理解できた範囲だとこうゆう事の用。
この世界はもう一つの現実なのは間違いないけど、現実世界との大きな違いが一つある。それが法律や規則が何もない事。それは、この世界で殺人を犯そうが、セクハラをしようが、強盗をしようが誰も裁くことができないらしい。それと同時にこの世界の通貨は現実のお金と同じで、この世界で稼いだお金は現実に持って行く事が可能。それも銀行に振り込むと言う形で。
そうなると働く人が居なくなるんじゃないのかな? と言う質問に現実の収入が月に二十万、二十歳の人は十万毎回振り込まれてないとこちらの世界からは持っていけないと答えられた。働いてない人は、銀行に百万あれば振り込めるらしいが、桁が二つ上がると二百万無いと無理らしい。
それともう一つ。この世界はゲームでもあるが更新はされない。替りにこの世界でプログラムを作る事によって、メインプログラムに接続するとそれが世界全体に反映される。もちろん地域ごとの反映も可能で、ここの街の痛みがあったのは地域に反映させているからだそうだった。でも、メインプログラムにはモジュール端子がたくさんあるからそこに接続しているのにすぎなくて、書き換えている訳じゃないとのこと。もちろん、法律の概念を付けようとしたらデータを削除される事から、この世界にルールは造れないようだった。何でも好きな事が出来るもう一つの世界……それがレジェンド・オブ・エンド……。
やっと世界観の前提がかけたと思います。まだ、知識と言う程度ですけど、これを知っているか知らないかで、由紀の行動や判断が大きく変わります。
近いうちに学校に行かずこっちに来た後の現実の話も書けたらと思います。
次回はスキルとステータスについていきたいと思います。