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伝説の始まりは現実の終わり  作者: 一ツ柳八重
アンダーグラウンド
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それが始まり

いろいろ不慣れで趣味で書いてます♪

どうか温かい目でみてくださ!

誤字も多いですけどどうかよろしくお願いいたします。

コメントも辛口だとへこむけど、それも糧に頑張りたいと思いますのでどんどんよろしくお願いいたします。

-全てはそこから始まった。

 その世界は単純で、残酷。一筋の希望と言うものも皆に微笑む訳じゃない。

 いじめ、殺人、強盗――その他犯罪が普通にあった。

 そんな世界で僕たちは生きて行かなければいけない。

 ある時、特殊技術によって出来るようになったリアルバーチャル世界。本来はオンラインと言うネット環境でしかできない物だった世界が、一瞬にしてもう一つの現実に変わる瞬間だった。

 世間は面白おかしく報道して、評論家は批判。二次元と現実の区別が無くなるのではないのか、と反論しか出なかった。

 リアルバーチャル世界を生み出した企業は、この世界は現実そのものだ。この世界は二次元のようなログインやビジョンとはわけが違う。精神世界への生身のアクセスだ。確かにゲームではある。プログラムやシステムで普通とはありえない身体能力を出すことも可能。だが、何故リアルバーチャル世界と言われているのか、その理由はダメージがそのまま精神に行くからだ……。

 その説明をされたとき誰もが思ったことがあった。懸念とも言えるそれは一筋の闇を落とした。

 発売されて数か月後に事件が起こる。死人が出た。同時刻にその空間で自殺をした人が現実で死んだ。その時初めてこの世界は現実と同じだと周知の事実と化した。

 その世界の名前は――レジェンド・オブ・エンド。

 たった一つの機械が埋め込まれた装飾品を起動するだけで入れる世界。

 現実の闇も実装されるそんな世界だった。


「今日も向こうの世界に行こうかな」

 カーテンは閉まっており、薄暗い部屋に一つの明かりがある。

その光は部屋全体を照すにはあまりにも弱い光だ。

 細やかに発光しているデジタル時計を見た。時刻は午前八時。

「学校に行くって選択肢もあるけど、あんなところ行くよりも僕の世界に行った方が有意義だよね」

 少し寝ぼけた声と、学校に行く気が無い声で呟いた。

 ベットから降りて、近くのクローゼットに向かう。クローゼットは年季などはいってなく、ここに引っ越してばかりといわんばかりに綺麗だった。

中には私服に、ワイシャツ。コートなど男物の物が入っているが、一着だけ場違いな物がかけてある。

その他の物とは明らかに違うものを手に取り着替え始めた。

そのものは通っているのであろう学校の制服。

 学校には行く気は殆ど無かったけど、それでも着てしまう制服は少年の戒めの代わりだ。

 髪はストレートだから梳かさなくても問題はなかった。

 制服は紺のブレザーに、ベージュのリボン。それに下はチェックのスカート……。

 それは傍から見たら女子の制服だった。

「やっぱり落ち着くな」

 安堵した感じで呟くのは、パジャマが男物のチェック柄の物だったからだ。もちろん、体型にあっていれば問題が無いのだが、そんな事も無く、一回り大きいものを着ていた。

 制服姿の少年は鏡の前で一回転する。スカートが翻り、白い太ももが少し露わになる。そして何度も身だしなみを確認して、問題ないことを認識した。

「よし! 今日も頑張って攻略しよ」

 学校行くと言う、億劫な気分から、行かないと決めてもう一つの世界に行くと考えたら少しだけ元気が出てきた。それも、制服姿で。

 少年の名前は、鏡由紀。高校二年生の男。

 正真正銘の男なのだ。

「この姿も中学からずっとなんだよね……」

 普通の男子が女装なんてしていたら気持ち悪いか、ドン引きされたり、いじめの対象になったりするはずだった。

 でも由紀は違った。名前からして小学生の時から女子に間違われていて、顔も女の子として通るほど整っていたからだ。

 そして、中学の時に問題が起きた。制服を購入するとき……小学校の時から髪を切っていなかった為に男性の方に並んでいたはずなのに、女性の方で測定されていた。確かに試着の時は学ランにズボンだった筈なのに、届いたのはセーラー服と言う女子の着るものだった。

 その時は少し恥ずかしかったし、声変わりがはじまっていると、錯覚していたからばれるのが怖かった。それでも着たのがそもそもの間違いの始まりでもあった。

 学校に登校した時、誰も男とは気が付かず、話しても可愛いと言われてちやほやされていた。

 それからと言うもの女子の制服でいる事が当たり前で、声変わりしたはずなのに声も高いままだった事も相まって男のプライドなんて無くなっていったのかもしれない。

 過去の事を思い出し、自分の間違いだった事が今でも続いている事実に少し苦笑する。

「さて、そろそろ行こうかな。着替えも終わったし」

 一呼吸を置いて机に向かう。カーテンは開けるつもりは全くないので、そのままにしてある物を探した。

 机の上には何も平積みされてなく、本棚には参考書や、物理関係、科学や、電気関係の専門書に、細やかなほどの漫画とゲームがきちんと整理されていた。

「確かここに置いていたはずなんだけど」

 なかなか見つからず、言葉に不安な色がにじみ出ていた。

 それから周辺を見渡す。周りにはベットに、机、クローゼットと本棚、それとパソコンがある。それぞれ新品の用で、まだ何度か使われた様子があるくらいの物だった。

「やっぱりカーテンを開けないとダメかな」

 嫌な気分と、めんどうくさいのが相まって最後は空気しか出なかったとさえ感じた。

 そして、カーテンを開けに移動したとき視界の隅に赤く光る何かが入った。

「あ、こんな所にあった」

 見つかった嬉しさと、やっと行けると言う気分の高鳴りで声が弾んだのが自分でも分かる気がした。

 それは銀色で輪が二つクロスになっている物。クロスの中心には赤い透き通った石が付いており、それはまるで宝石をはめ込まれている高価な品に見えるほどだ。

 だが、それも男性が付けるにはやや小さい。差し詰め女性が付けるような大きさだが、さほど気にした事は無かった。

 それを右手に通して掲げる。カーテンの隙間から申し訳程度に入っている光が当たりその美しさを存分に発揮させていた。

 右手につけている女物のブレスレットに意識を集中する。目を瞑った為に周りが暗くなる。鳥の鳴き声も先ほどまで聞こえていたが、だんだんと聞こえなくなり、音が全て無くなった。


 何分くらいだろうか? 真っ暗な空間で何も感じなくいたのは。その時に何度も現実の嫌な事が思い出された。それだけ何もないと言うのは自分を見つめなおすには十分な空間だった。

 すると白い光が目の前を明るくした。それはほんの数秒の事で、さしずめカメラのフラッシュを浴びる感じに等しかった。

 それが収まると、髪をなでる空気の動き、鼻には青草の香りを感じた。

 ゆっくりと目を開く。そこには青い空、緑の平原に、青いぷにぷにした生物……空には大きな翼をもった爬虫類……ドラゴンも飛んでいた。

「これから、この世界を冒険するんだ」

 そう静かに言って、最後にはこの世界に来た事に思いを巡らせた。

 ブレスレットは赤く淡く光っている。そこから小さな光が散らばっていて、夜だと綺麗に見える。

 由紀はこの独特の感覚に酔っていた。それが本当の自分の様で、男じゃなかった事が普通に感じている。

 そこに居たのは、ショートカットのブレザーにリボン、そしてチェックのスカートを着た、文字通り制服の年齢は15くらいの美少女だった。

「ほんとどうしてこっちに来ると変わるんだろうね」

 自分でも分からないと言う風にため息交じりでそう言った。

 そう……その少女こそ由紀本人。

 由紀はブレスレットをはめている右手を前に出して一言呟く。

「リアクト……ショートソード」

 するとブレスレットから赤い粒子が右手に集まり一つの形を形成した。長さは80㎝位で、刃の部分は代々60㎝、柄の部分が20㎝の諸刃。

 何度かその場で素振りをしてみると赤い粒子が軌道に沿って散らばる。

「やっぱり綺麗……。短剣やチャクラムだともっと綺麗なんだろうな」

 そう言うのも何回目か分からないほど毎回言っていた。今持っているのがこの剣しかないから他の武器を使う事に思いをはせながら。

「さて、今日は街まで行こうかな」

 いつもより気分が楽で、どこにでも行けそうな感じがしたけど、初めて移動すると言う感じでためらいが現れていた。

 周りを見るとモンスターが何体かいて手始めになんか倒そうと思い始める。

 近くにいたぷよぷよした生物に、一拍おいて深呼吸をした後に、ショートソードを鞘があるかの用に腰を屈めて構える。

「これ、居合の構えだけど……いいよね」

そして、息を止めて一歩踏み出した。

 その距離は5mあったはずなのに一瞬で詰める。

「はぁ!」

 ショートソードは綺麗な弧を描いてぷよぷよした生き物を切り裂いた。

 真っ二つになったその生き物は黒い粒子になって消滅すると、赤い光球を出す。

 それは、ブレスレットに吸収されて消える。

「やっぱりスライムだと弱くてつまらないな」

 寂しそうにそう言った。

 由紀は剣を空中に置くように手を放す。

 そのまま落下すると思った剣は、途中で赤い光に包まれて粒子になり消えた。

「さて、やっぱり街に行こう!」

 そう言って由紀は学校に行く感じで街を目指した……。


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