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フェノメノ ~日本サッカー架空戦記~  作者: 三輪和也(みわ・なごや)
その人々
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眼鏡

完全に趣味の話ですね(最初からそうか)。



 法水好介が学校の制服を着て小さなホールの檀上にマイクの前で立っている。眼の前には新入生とFFAのコーチ陣、関係者。



 こんにちは。今日はなんか新しくこのクラブに入ってきた新入生を代表してスピーチをすることになった法水好介です。千葉県です。十二歳です。

 はい。まぁこうやってマイクをもたされたことなんてあんまりないし緊張、わっ緊張するなぁ話すこと忘れちゃったなんて建前でとりあえずサッカーと関係ない好きなことでも手短に話し語り講義布教したいと思います。

 僕は眼鏡が好きです。ご覧のとおり自分でかけるのではなく眼鏡をかけた女性が好きです。僕は遅れてきた少年なんです。

 時代は今確実に眼鏡じゃない。レーなんとかつう手術なんて承服しかねます。逆風しかない。僕は僕はこんな時代になんて生まれたくなかった。

 ……すいませんとりみだしてしまいました。ともかく眼鏡です。僕は比較的なんでもありです。

 リムの形とかフレームの素材とかレンズの形とかそういうこだわりはほとんどない。下にずりさがってもいい眉のあたりにもちあげてもいい上げなおすのもいい外してもいいつけてもいいという無敵な使用。何故時代は眼鏡に傾かないのか。ところで伊達眼鏡は好かんです。

 眼鏡の美とは機能美。眼鏡の機能とは視力の補正のためにあるものだ。サングラスは日差しの直撃を防ぐため、ゴーグルは風や埃から眼を守るために存在する。それ以外の用途で道具を使うことはファッションでもなくパロディでもなく道具そのものへの侮辱。正しい方法で使う人間を馬鹿にしているに等しい。なので僕は伊達眼鏡が嫌いだ。

 まあ僕はそういう人間です。挨拶は以上です。

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