第九話:写真は消えない/第一章 名のない章の終わり
〜作者の脳内小説メーカー〜「え〜初めに申しておきますが、存続が今のところ決定しています!皆さん、今後もよろしくお願いします!」「この章を終わらせたらコメディ〜要素をもっと多くいれたいと思います。」「評価と指摘してくださった”とも”さん、ありがとうございます!」
私になんか用かね?
……ああ、美雨がいなくなったから今回は私に仕切って欲しいのか?この生徒会長に?
………そこまで言うなら・・・では、行こうか?
確かに、美雨は時雨の目の前から消えた
だが、それは彼の“目”に映らなくなっただけかもしれない
彼女が言うように本当に消えたのかもしれない
既に時雨が立っている島には彼以外に人はいない
全て、夢の中の出来事としてそれぞれが朝を迎えるだろう
しかし、彼にはまだ、この島に用事がある
………この島に美雨と同じく、縛られているだろう彼の本当の父親を探すために………
九、
「あ〜月が綺麗だ」
僕は夜空を見上げていた。
今では無人島となってしまったこの島に一人でいるのだから・・・いや、僕がいるから無人島じゃないな・・・だが、僕以外の人物は確かにいないのだ。美雨が消えた時点でこの島に見て取れるほどの変化が訪れた。それは、桜の花が舞い散るように普通なことで、消えていく建物を見てもおかしくも何とも自分が感じずに気がつけば桜の木が一本、生えている気の根元に僕一人が立っていた。
先ほどまで僕の目の前にいたはずの美雨という少女の姿もない。
それに、校舎が消えたので剣治たちの姿を探してみたのだが、彼らの姿も当になかった。見えるとしたら桜の木が生えている丘の上から見えるものはもう一つ反対側の丘に生えているここに生えている桜の気よりも一回りほど大きな桜の木だけだろうか?あの大きな桜の木は何やらおかしく感じられる・・・・なぜなら・・・
「まぁ、世の中には光る竹はあったとしても光る桜の木はないよね?」
一人で呟きながら、涙の跡をぬぐいながら・・・僕は立ち上がってその大きな桜の木を目指して歩き出したのだった。何故、僕だけがこの場所に残ってしまったのかわからないのだが、先ほどの不思議少女美雨のせいだと思われる。もっとも、その不思議少女が姿を消してしまったのでもはや尋ねることが出来ないのだ。
星満点の夜空を一人で満喫しながら
「さて、こんな星空を見たのはいつが最後だったのかな?」と再び呟きながら僕はただひたすらに歩く。
「こっちの桜の木が美雨だったとしたら・・・・過去にここで美雨の“能力”をどうにかする実験か何か知らないけどそれに巻き込まれたのは美雨に僕、そして・・・・僕の父さんだろう・・・憶測だけど、あの桜の木は・・・・」
いつの間にかゆっくりと歩いていたはずの僕の足は月に照らされた野原を駆けていた。バランスが崩れても、一度こけたとしても・・・途中バナナの皮を踏んでしまったとしても、僕は走った。
たどり着いたその桜の木は見事に輝いていた。
「父さん・・・」
「おいおい、桜の木に話しかけるちょっと危なそうな高校生だと思ったら俺の子供かよ・・・・」
桜の木は光をさらに放ち、目を離した隙にそれは人の姿にきちんとなっていた。
「よぉ、何年ぶりだ?」
そこに現れたのは白衣を着ている男の人・・・・写真でしか見たことの無い僕の父親だった。その人は写真の中と同じようにひげをそらずにそのままでどことなくだらしない格好の人だった。
「父さん・・・・」
「さっきからそれしか言ってないぞ?美雨とあったみたいだし・・・まぁ、どうやら彼女も救われた・・・いや、それはいいや。ところで、どうした?目から塩分を含んでいると思われる鼻水が流れているぞ?」
そうやって小ばかにしたように笑う父さん。父さんを知る人は
「ああ、あいつはよく人をからかってたな・・・ああ、そういや、とても適当な人物だった」といっていた。
「おっと、無駄に力を消費した挙句に美雨が木じゃないからな・・・まぁ、感動的再開をいまさらせんでも構わないだろう?お前は男だ、泣くんじゃないぞ?それで、俺が見事に失敗した実験と思われていることについて何か聞きたいことは?」
一瞬だけ苦笑しながら父さんはそんなことを聞いてくる。
「・・・美雨は救われたの?」
「あ〜それはまぁ、救われたかどうかは知らん。あとはお前がどうにかしたいと思ったときにどうにかすればいいんじゃないか?」
とても適当な答えが返ってきた。生前とちっとも変わっていないのだろう。
「ど、どうすればいいの?」
「残念だが、俺は一つだけ質問を受け付けるといったんだぞ?男に二言はねぇ・・・ま、中途半端で時雨には迷惑をかけてるって思ってるんだが・・・そろそろ時間がきたもんだからよぉ・・・・」
父さんの目に涙はない。だが、その目が何かを必死にこらえていることを僕は知っている。
「・・・・・しっかり生きろよ?あ〜たまには墓参りに来てくれよ?・・・じゃあな・・・」
そういって父さんはまるで霧が晴れるように消えていった。その顔はニコリともせず、僕をただただ、じっと見ているだけだった。
「さよなら・・・」
僕はそういって意識を失った。
「お〜い、兄さん!」
ある晴れた月曜日・・・・
「ふわ・・・・あ、蕾・・・」
僕の義妹である蕾が僕を起こしにやってきた。
「ほら、姉さんも既に仕事に行ってるよ!」
どうやら僕の義姉さんもすでに仕事にいっているようだ・・・
「おはよう、なんだかさぁ・・・蕾の顔を見るの久しぶりなんだけど?まぁ、改めてみると可愛い顔してるね・・・」
僕はぼさっとして蕾の顔を見る。
「・・・・あ、え、な、何言ってるの?」
「はは、どうかしちゃったみたいだ・・・さ、急いで学校行かないと遅刻なんだよね?」
僕はさっさと立ち上がって部屋に蕾を残してその場を去った。
朝食は軽めのもの(ばなな)をとり首を軽く回して鞄を引っつかみ玄関で待っている蕾の元へと向かう。
「・・・・さ、行こうか?」
「うん・・・じゃ、行ってきます、父さん」
奥の部屋においてある僕の“昔”の父さんに挨拶をする。
「・・ねぇ、兄さんは兄さんの父さんが行方不明のままがいい?」
登校中、蕾はそんなことを尋ねてきた。
「う〜ん、ま、見つかってないからねぇ・・・今頃どっかで僕らをみて笑ってるよ。間違いなくね・・・・」
僕はそういって青空を眺める。そこに広がるのは星なんて見えない青空だ。そして、隣に立っているのは蕾だ。
「ねぇ、本当に今日の兄さんどうしたの?エッチな本を見すぎたとか?」
再び聞いてくる蕾のおでこにデコピンをする。
「あいたっ!」
「そんなんじゃないよ、ちょっと変な夢を見ただけさ・・・」
「変な夢?」
「うん・・・」
「おや、君もかい?実は私もなんだ・・・」
そういって僕の隣にいつの間にか立っている剣治に蕾は驚きながらも僕らは登校を続ける。ふざけたことを言って笑いながらも僕らは学校へと向かう。
さて、家に帰ったら久しぶりに父さんの写真の近くを掃除でもしたほうがいいのかもしれない。そうしないと化けて出てきそうだから・・・・・
さて、前書きにも言ったとおりこの小説をコメディーで続けていきたいと思います。