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第八話:”いた”は過去形今は違う

〜作者の中の小説メーカー〜「あ〜美奈さんに・・いえ、皆さんにあとがきでこの作品の存続に関わる質問をしたいとおもいます」「冗談じゃなくてマジです。本気とかいてマジと読みます」

奴はたどり着いた


この場所へ


いや、正確には私のいる場所の前へ


私は求めていたのかもしれないが


今すべきことは唯一つ


………未来はわからないから面白いのだ。さぁ、ここで話に決着をつけよう………


八、

 美奈さんが僕の量産型を殴り飛ばしているいや〜な音がここまで聞こえてくる。

「・・・・今、泣き叫ぶ声が聞こえた・・・・」

「・・・・そうだね、それが美奈さんの声じゃなくて僕の声だというのは充分に理解できたよ・・・・でも、美奈さんに言われて地下二階に来たのはいいんだけどさぁ・・・」

 僕らの目の前に広がっているのはたんなる大きな扉だ。しかし、どこかでこの扉を目撃したのだが・・・・夢で見た気がするのだが・・・・どうだったかなぁ・・・・

「・・・・時雨、どうするの・・・?」

 美羽さんがそう聞いてくる。

「ん〜何で?ここまで来たらあけるしかないんじゃない?」

「・・・・確かにそうだけど、場所はもうひとつあるはず・・・・」

「ああ、そういえばそうだったんだっけ?でも、いまさら探し始めるのも面倒だし・・・・」

 僕は扉に手をかけた・・・その手を美羽さんが掴む。僕は何故かぎょっとして彼女のほうを見る。

「・・・・覚悟はいいの・・・・?」

「な、何の覚悟?」

「・・・・・・」

 彼女は答えない。手を離さずに僕を見つめ続けるだけだ。

「僕は・・・・」

「・・・・・」

「僕はここを開ける。なんだか思わせぶりな感じだけど、まだこれで終わりじゃないはずなんだ!」

 勢いよく扉を押す・・・だが、扉は開かずにしまったまま。力を思い切りいれてもあかないのだ。これはどうしたのだろうか?

「・・・・」

 もしかして、もしかしていまだに手を掴んでいる美羽さんの力!?嘘!全然力が伝わってないんだけど・・・

「み、美羽さん・・・・」

「・・・・何?やっぱりやめたくなったの・・・・?」

「そんなに扉を開けてもらいたくないの?」

「・・・開けてもらいたくないけど、開けたいんでしょ?私はそれを拒むことはしない・・・」

「じゃ、拒んでいないのに何であかないのだろうか?」

「・・・・ああ、それはこれは手前に引く奴だと思うけど・・・・?」

「・・・・」

 言われたとおりに手前に引くと、あっさりと開いた。僕はバツが悪いことこの上ない気分で中に入る。中には何もなく、ただただ、上が果てしなくコンクリートに囲まれながらも続いているといった感じだった。

「あれ?美羽さんは来ないの?」

「・・・・ごめんね、今まで黙ってて・・・・」

「何を?それよりどうかしたの?」

 美羽さんは立ち上がってそのまま僕を追いこした瞬間・・・・彼女は姿を消し、いままでコンクリートだけだった部屋に変化が訪れた。

「・・・・これは?」

 僕の目の前に広がったのは外でいまだに降り落ちてきている桜の花びらだ。

そして、気がつけば床は草が生えており、部屋の中央辺りだと思われていた場所には一本の大きな桜の木がどっしりとその存在感をアピールしていた。そして、中央辺りでどこかの踊りを踊っている一人の人間を見つける。先ほど消えた美羽さんだと思われるのだが・・・・服は神社の神主さんが着るような感じの服だし、その手に握っているものはなんだろう?扇子にも見える。

「・・・・・」

 舞い散る桜の合間をぬうようにして僕はその人物に近づく。そうすると相手はこちらに気がついたのか、舞うのをやめて立ち止まる。なぜだか、懐かしい感じがして僕も立ち止まってしまった。

「いや、懐かしいんじゃない・・・この感じは・・・・」


 この感じはいつも、いつも・・・・


 彼女はこっちを向いた。その顔には夜叉の面がつけられている。


 “能力”を・・・・


 彼女はその手で面を掴む。


 “能力”を使うときに感じるものだ!


 夜叉の面は外され、その下から驚くほど白くて整った女の子の顔が現れる。


「・・・・美雨・・・・」




 その彼女の名前を春雨美雨はるさめみうという。

彼女は生まれながらにして“器”を持たずに“能力”だけを所持して生まれてきたらしい。

当然、“能力”という水を受け止める杯である“器”という能力を持っていなかったので彼女は“能力”が開花してきて数年で死んでしまうと宣告されていた。しかしあるとき、一人の男が彼女と同年代の息子を連れてやってきた。男の血筋は“器”を多く排出してきた一族なのだが、元は水の“一族”だったそうだ。だから、その少女を助けるために最善をつくした。

 “能力”とはちょっとした拍子で相手に“移動”してしまう。

それは以前からよく言われていたことなので、男は自分の“器”を彼女に渡そうとしたのだった。

少々危険の伴うものだったので彼らは孤島へとやってきたのだ。

成功の兆しが見えてきたのだが、彼のやろうとしたことはほとんど失敗に終わった。

少女の能力はほとんど男に移動し、男と少女はそのあおりを受けてそれぞれが孤島の別の場所にその“能力”に縛られてしまった。つまり、“能力”という水におぼれる感じになったのだ。運よく、難を逃れることが出来た少年は水の“一族”に引き取られて当主にその“能力”を見つけられてそのまま“一族”の中のとある家族のところで育てられることとなった。少年は拒絶することもなく、新しい家族を受け入れた。


元からあったものを変えるのは大変なのだが、なくなってしまったものを埋めるのは簡単なのである。


 少年の記憶は消えていた。

だから、元からこの“一族”にいると感じていたのだった。

そして、孤島に残されてしまった少女は成長を継続し、自分なりにあふれ出す“能力”を制御することが出来るようになったのだ。

そして、“能力”を駆使して感情の乏しいながらも自分と同じ容姿をもつ少女を作り出した。既に所持していた“能力”は奪われるような形で時雨に行ってしまっているので新たに“能力”を作り出したのだった。そして、作り出した自分の分身を風馬の元へと送り込んだのだった。自分の“能力”を所持している時雨を探すために・・・・



「私のことを覚えてる?」

 だんだんと近づいてくる美雨・・・・僕は後ろに下がる。

「・・・・・」

 近づいてくることに不思議はない。知り合いならば、知り合いならば・・・久しぶり会えば近づいていくのが当然だ。それが、思い人ならば・・・

 しかし、彼女は浮いている。そして、彼女は僕に会いたかったわけではなさそうなのだ・・・・

「時雨君、ベッドにいた私のところまでよく話に来てくれたよね?」

 思い出した、その記憶で確かに僕は彼女のベッドのところへやってきた。彼女が人間から“能力”の塊になったあの日も・・・・

 さらに近づいてくる彼女からまた僕は一歩、桜が舞い散る中を下がる。

「あの日もさぁ、いつものように外に桜がふってて・・・来ちゃ駄目だって言われたのに私が頼んだらあの日も来てくれたよねぇ?」

 僕は彼女が近づくよりも早く、後ろに下がったつもりだったのだが・・・・

「壁!?」

 既に後ろには壁があった。これ以上、後ろに下がることなど出来ないようだ。

「・・・待ってたんだ、ずっと」

 愛おしそうに、僕に近づいてくる美雨。僕はそれを拒むことなどできず、ただただ、立ち尽くしていた。

「大丈夫、そんなに怖い顔をしないで?」

「何故?この展開なら間違いなく、僕を殺して連れて行くような感じだよね?」

 そうたずねると彼女は悲しそうに頷いて僕に告げる。

「そうだよ、君から“能力”をもらった後は当然、時雨君と一緒に消えようと思ってた。だけどさぁ、私と時雨君が消えても消えない人物ができちゃったの。それが、美羽・・・彼女は見事、私の代わりに世界を見てくれた・・・ちょっと血なまぐさいところも多かったけどね。だけど、彼女を通して時雨君とも一緒に入れたからさ・・・私はもう、充分。だけど、元私の“能力”だったものは時雨君に盗られたまま・・・だから、時雨君の体を蝕んでいるそれだけは私がもらうね?美羽のここでの記憶はもうなくなっていると思うし、今の彼女の家にもう戻ってる。時雨君、暇なときに彼女に会ってあげて」

 美雨はそういって僕の胸に手を当てると何かを手にとってその姿をあっさりと消したのだった。だが、最後に彼女の声が聞こえた。

「・・・・じゃあね、時雨君・・・・」

 それが直接僕に関係のないものだったとしても彼女は僕を恨んで“いた”のだ。


前書きで言ったとおり重大発表なのですが・・・・この作品に漠然とした不安を感じた作者雨月は「この作品は本当にコメディーなのか?」という疑念を抱いたためにこれを否定するようなことたとえば「いえ、あなたが書いているこの小説は充分コメディーです」と言う人がいたら続けたいと思っています。なんとなく、わがままですが自身がないためにこのようなことになってしまいました!すいません!あ、ちなみにもしもこの作品が終わってしまったら一時期書いていた「消去天使クリア」を連載したいと思っていますが・・・どうなるかはまだわかりません。

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