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第七話:待つべき価値を持つ者

〜作者の頭の中の小説メーカー〜「え〜今回はこの作品の今後のことについて・・・え?あとがきでやれって?わかりましたよ、ぶつぶつ・・・・じゃ、今回は小説を読んでいる全ての人々に伝えたいことです」「さっさと言いたまえ、助手」「わかってますよ。え〜皆さん、面白い小説があったら自分の友達に薦めてみましょう。おっと、友達いなくても家族でもいいと思います」「ペットは?」「ペットが文字を認識できるほどの実力を持っているのならOKです♪」

来る!来る!来る!


私の処へ奴が来る!


私は間違っていなかった!


待っている意味があったのだ!


この桜の舞い散るこの場所で!


………奴を待っている価値があったのだ!………


七、

 ようやく地下へと向かうことが出来る階段を見つけた。既に夕日は半分ほどその姿を地平線に沈めており、それは同じようにして僕らの行動時間の終了を意味する。階段を駆け下りて広い廊下へと下りることが出来た。

 地下へと向かう途中、僕らの目の前に剣治、焔華さん、ラストに罍さんが立っていた。皆僕らと目をあわさないようにして下を向いて力の入っている感じは受けない。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「ねぇ?何で無口なの?剣治?焔華さん?罍さん?もしかして、美羽さんの無口が移ったとか?いや、それなら僕のほうが先に移るよね?」

「・・・・時雨、離れろ・・・・」

 近づこうとした僕と剣治たちの間に疾風の速さで美羽さんが現れる。

「どうしたの?」

「・・・・そいつら、あいつらじゃない・・・・・」

 静かな言葉の中にとげが混じっている。しかも、代名詞立て続けだ。

「いくらなんでもそんな・・・・」

「・・・・信じないというのなら・・・あの頭に書かれた文字を見ればわかる・・・・」

 顔を下げていていた一人(焔華さん)に風をぶつける美羽さん。

「・・・いまさら頭に“偽者”って書いている偽者はいないよね?」

「・・・・どうだろう・・・?」

 うつろな瞳とおでこには“偽者”という二文字。これは間違いなく、手抜きとしか思われない敵だろう・・・・・そこはかとなく、同情を感じ得ない。

「でも、遊びで頭に“偽者”ってつけたのかもよ?流行を追いかけてるとかさ?」

「・・・・・いや、流行じゃないと思う・・・・」

「まぁ、当然ですね♪そんなことを流行と思っているのは村雨様だけかもしれません」

 冷たくあしらわれて僕はガクリときたのだが、そんなことを言っている場合ではない。

「じゃあさ、本物はどうしたのかな?あの“偽者”たちはこっちに襲い掛かってくるそぶりもみせないよ?事実問題、静かに通れば気がつかないかも・・・寝てるんじゃない?」

「・・・・・いいや、そういうわけじゃない・・・近づけばきっと襲い掛かってくる・・・・時雨、今あいつらを水で吹き飛ばすこととかできる・・・・?」

「言われたとおりにやってみるよ!」

 右腕を地面に叩きつけるようにすると、僕の右手の先から激流が流れ始める。トイレのひねりをひねって出てくる水の量とは桁違いの量であり、この“能力”さえあればもし外でふとしたときに便利である。いや、そのふとしたことなど一度もなかったが・・・

「ふっとべぇ!」

 三人めがけて激流を放ったのだが、僕の水は“偽者”である焔華さんの“能力”と相殺されてしまった。辺りに蒸気が立ち込める。

「・・・・駄目だったみたいだよ。やれやれ、どうしたもんだろう?」

「・・・・時雨のお手伝いさん、これ以外には道はないんですか・・・・?」

 そろそろ夕日も僕らにさよならと挨拶をして去っていってしまう。そうしたらもう大変。ここは僕らの部屋でもなんでもないただの校舎なので“影”たちは喜んで入ってきて僕らに襲い掛かるだろう。だが、これが虚構なフィクションならご都合主義が・・・・

「ないですね・・・・」

 厳しい現実から逃げることなど、出来ないのかもしれない。僕らはそれを今知った。

「・・・・それなら、やはりこの人たちを倒すしか・・・・」

「そうだね、“偽者”だから別に倒したって構わないよね?・・・くくく、剣治めぇ、日ごろの行いをここでくい改めて懺悔するがいい・・・この前のお返しにボコボコにしてあげるよ♪」

「おいおい、時雨君、心の声が前面に出てきてるよ?」

「!?」

 振り返るとそこにいたのは剣治たち三人だった。

「あれ?なんでここにいるの?」

 そうたずねると、焔華さんはさも当然といったばかりで僕に告げた。

「・・・・ほら、考えてみなさいよ。夜になったらあの黒い連中が中に入ってくるんでしょ?助かる方法は自分の部屋に戻ることだったじゃない。この学校の地下へいく道はこの校舎の中だったらここだけなのよ?来て当然だわ」

 なにやら不機嫌そうなのを見るとどうかしたのだろうか?僕は笑っている罍さんのほうを見る。

「ああ、そんなに心配そうな顔をしなくてもいいっすよ。焔華ちゃんは時雨君に申し訳ないと思いながらも謝れないだけっすよ。さっき、勘違いして時雨君を“偽者”扱いしてしまったからっすね♪」

「そ、そうじゃないわよ!あ、あんたこそ村雨君の班に行かなかったじゃない!」

 食って掛かっている彼らだが、今この状況を冷静に受け止めて欲しい。今とても、危険な状況のはずなのだ。だが、なんだろうか?この高校の休み時間のような喧騒は?

「・・・・・とりあえず、どうする・・・・・?」

 美羽さんの一言を三人はきちんと聞いたのだろう。剣治は首をかしげながらも僕らに提案した。

「・・・・誰か一人が囮になって・・・」

「囮になって・・・どうするの?」

「残りが見捨てて地下に向かって自室に向かうとかどうだい?」

「それじゃ、一人犠牲にならなきゃいけないじゃない!」

 剣治の胸倉を掴んでそのまま宙に持ち上げる。すさまじい怪力だ・・・・

「じょ、冗談さ・・・・あいつらは私らの“偽者”だとするならば正攻法でいくしかあるまい?」

「どういうこと?」

 しゃべるごとに今の剣治にとってはとても必要な酸素が彼から逃げていく。だが、そんなことにはお構いなしに焔華さんはさらに力を加えているようだった。いや、ただ単に気がついていないだけなのかもしれないな・・・あ、ちなみに彼ら二人以外の僕たちはその現状をただただ傍観していただけだ。別に助けようとは思っていないわけではないが・・・

「・・・・私ら三人であの“偽者”とかぬかす連中を倒せばいいだけ・・・だ」

「ああ、なるほど!」

 いきなり解放された剣治は着地もうまく出来ないまま、地上へと堕ちてくる。

「ぐへっ」という声と共に無様に倒れた剣治に罍さんが近寄る。

「・・・生徒会長ってのも地に堕ちたっすね♪助けたくてもあれじゃ無理っす」

 その顔がものすごく喜んでいるようにも見える。

「君と一緒にしてもらいたくはないな・・・・じゃ、時雨君たちは先に地下に行くといい。ああ、気にしなくて結構。私らが“偽者”に負けることなんてないからな」

 そういってそれぞれが自分たちの“偽者”に踊りかかっていく。

「さ、村雨様と風馬様・・・・彼らの犠牲を無駄にしないように地下へと向かいましょう!」

「え、やられること前提!?」

「・・・・戦いとは常に非情なものよ・・・・」

「え、何言ってるの!?何?その悟りきったような表情は?」

 剣治たちが戦っている“偽者”たちは美羽さんが言ったとおり、近づけば動き出したのだった。勿論、彼らが使っている“能力”をそっくりそのまま使って彼らと戦っている。

 僕らが移動できる範囲を残しながら戦っている彼らの合間をぬって僕らは地下の階段へと飛び込むようにして地上から姿を消したのだった。


 長くて広い廊下を駆ける途中、この島に来たときと同じような感じを再び受けた。

「・・・・時雨、どうかした・・・?」

「ん〜何か感じない?」

「・・・・何かって・・・・?」

「いや、言葉で言い表すのはちょっと・・・・」

 僕の自室をとうとう越える・・・・その瞬間に感じていた何かはさらに大きくなる。そして、それとは別の何かを感じた。

「・・・・ねぇ、何か来てない?」

「・・・御察しの通り、廊下の奥から何か来てますね・・・・」

 美奈さんがそういって立ち止まる。道案内の人が止まれば後ろの僕らが立ち止まるのは当然のことなので・・・止まった。

「・・・何、あれ?」

 ちょっと暗い地下の廊下を目を凝らしてみてみると・・・

「・・・・時雨がたくさん・・・・?」

 いつも鏡で見ている

「自分」が沢山現れた。見事にその動きは統一されており、うつろな目に額にはご丁寧にも達筆で“偽者”と書かれていた。

「ぼ、僕っていつの間に量産されてたの!?」

「さぁ、どうでしょうか?性能のいい機体はよく量産されるって聞きますからね・・・・あの量産型の村雨様はどのような実力を持っているのでしょうか?顔がちょっとゆがんでいるようですが、オリジナルより弱いんでしょうか?それなら、虐めがいがありますね♪」

「・・・・まぁ、時雨なんて一人で充分・・・・・」

 きっと、きっと二人はかっこつけてそんなことを言っているのだろうが、その量産型のオリジナルである僕は傷つきやすい“心”というものを持っています・・・ぐすん・・・

「・・・・村雨様に風馬様・・・・ここは私に任せてください」

 そういってどこから取り出したのか、モップを取り出した。

「・・・そんなものどこに持っていたんですか?」

「ふふ、それは秘密です・・・さ、私が道を作りますから死ぬ気で二階へと降りてくださいね♪」

 表情一つ崩さず、彼女はモップを前に掲げると恐ろしいスピードで隊列をつくっていた偽者の僕に突撃を始める。

「・・・・時雨って弱い・・・・」

 その攻撃にあっさりと吹っ飛ばされてその場に倒れ行く僕の量産型・・・・そして、追い討ちをかけていく美羽さんの言葉・・・・

 いいんだ、どうせ僕なんて根暗なんだ・・・・そう自虐しながら僕は駆け抜けた。


さて、前書きで書いたとおり今後、この小説の方向性を伝えておきたいと思います。自分なりに考えているのは面白ければ何でもあり・・・ではなく、面白いが、社会の常識を守ったもの(誰かを中傷したり軽はずみで重みのある言葉を使わないこと)を目指していきたいと思います。

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