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第三話:記憶が話を変えるのか?

〜作者とのお約束〜ケータイ小説を見るときはケータイの料金に注意して目を画面から三十センチほど離して見てね。

奴は残る


奴は必ず私と再び出会うだろう


この仮面の下に私はいる


今すぐにでも正体を明かしたい


明かしたところで覚えてはいないだろう


………だが、覚えていれば話は変わるだろうか………


三、

 僕の隣を歩いている彼女の名前は炎宮焔華えんぐうほのかさんだそうだ。

「へぇ、次期党首じゃないのに選ばれたんだ?そりゃ、すごいねぇ?」

「まぁ、すごいかどうか知らないけどね・・・何でだろうかと僕は思うよ・・・・ここに来る前、どんなことがあったのかさっぱりだし、今気がつけば僕っていつ拉致られたのかわかんないんだ」

「あ、それは・・・村雨君の場合もちょうど夏休みに入ってすぐだと思うけど?ちなみに私の場合は学校から出て気がついたら目の前に黒い車が止まってて・・・中から人が出てきて名刺を出されてそれを眺めてたらいつの間にかここに来てたの」

 そういって笑っているのだが、それは充分誘拐だろう・・・この人、今のご時勢がどのようなものかわかっているのだろうか?夜にお外を歩いていたら襲われる世の中だ。

 そんな話をしながら歩いていると

「キーン、コーン、カーン、コーン」という音が聞こえてきた。お互いに顔を見合わせて次に手につけている時計を覗き込む。

「・・・・あのさぁ、今、何時かな?僕の時計さ、気がついたら動いてないんだけど・・・」

「・・・・私の時計、どうやら十分遅れてたみたい・・・」

 僕らは二人、その場に膝をついた・・・と、同時に・・・・先ほどいた方角と、これから行く方向から同時進行で大きな音が聞こえてきた。そうだなぁ、例えるなら何かが爆発するような音だった。

「!」

 目を見開いて二人してとりあえず先ほどの女の子ばっかりの部屋のほうへ取って返すと(男子?ああ、見知らぬ男は後でいいでしょ?)そこには女子がほとんど倒れていた。肩膝ついて生き残っている女の子も一人だけいたのだが・・・そこへ、教室に備え付けられているテレビが勝手についた。

『残り、十人・・・・先ほどの攻撃を耐え忍ぶことが出来たのがこのくらいですか?去年の人たちは君たちの二倍はいましたよ?ああ、失格者のことは気にしなくて結構。別に彼女たちは死んでしまったわけじゃない。ちょっと眠ってもらっただけだからね』

 画面に映ったのは

「音声、おんり〜」とかかれた文字だけで聞こえてくる声はしゃがれている。ボイスチェンジャー?

「・・・では、残り十人・・・残りの期間を生き抜いてください。ああ、協力はしたほうがいいでしょう。これからあなた方が相手をするのは並大抵の相手ではありません。今回の人数から見て一定期間を生き抜くのは不可能でしょうから、特別ルールとして二つの場所にたどり着ければそこでこのおふざけは終わりです。がんばってください」

 そういってテレビは完全に沈黙。何も起こらず、とりあえず僕と焔華さんはこの場所での唯一の生存者(失礼、倒れている人は寝てるだけでした)に近づいていく。

「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・寝るな!寝るな!寝るな!」

 突然、そんなことを言い出した。どうやらこの煙を対処するために自分なりに戦っているようだ。その表情は険しく、人を一人殺したときのような表情でもある。

「くるな!くるな!くるな!羊など・・・食べてやる!!」

 何を言い出したのか非常に理解しがたいのだが、彼女はきっと必死に頑張っているのだろう。とりあえずここからだしてあげたほうがいいので焔華さんにそのことを伝えると彼女もうなずいた。

「そうだね、とりあえずここから出たほうがいいようだし・・・・村雨君は彼女の右のほうに近づいて・・・そしたら私が一気に気絶させて運ぶのを楽にしてあげるからね?」

「・・・・あれ?左から押さえつけるわけじゃないんだ?」

 焔華さんの目が怪しく光っており、とりあえず人死にがでないことを祈りながら右のほうから彼女を抑える。

「落ち着いて!」

「触るなぁ!このもこもこ野郎が!」

 完璧に錯乱しており、いまだに偽りの世界で向かい来る羊の群れを退治しているのだろう・・・・そして、彼女は僕を間違いなく何かの“能力”で吹き飛ばした。

「ぐわっ!」

「あれ?」

 今の悲鳴は僕ではない。飛ばされた僕は壁に衝突したのだが、痛くもかゆくもなかった。

「剣治!?」

「おや、時雨君も残っていたのかい?いや、それより何故君がここに?ここは女子が来るべき教室じゃないのか?」

「いや、それを言うなら剣治もこっちじゃないだろ!」

「・・・そこは、ほら、あれだよ・・・・まぁ、私としては非常に言いにくいことなのだが迷子になってしまってね・・・ちょうど感ではいったこの教室にいっせいに女子が来るものだから驚いてこうやって隠れて彼女たちが去るのを待っていたのさ。そうしたら出るに出られないような状況になったというわけさ。まぁ、状況が変わったようだし、今は学校に篭城するしかないんじゃないのか?」

 そういって外のほうを指差す。あからさまに話を摩り替える気が満々なのだが、言われたとおりに視線を外に移す。

「・・・・なんだろ、あれ?」

「さぁね?」

 剣治が指差す方向いるのは“影”だった。人の形をした“影”がこの学校の中に入ろうとしている。中には何だろうか・・・・人形のようなものをもって喜んでいるようなものもいる。あれは・・・・なんだろうか?マッスル・ポーズを決めている奴もいる。

「お、あれなんか時雨君に似てないか?ほら、なんだか根暗そうだぞ?」

「何言ってんの、あっちのほうが剣治によく似てるよ。きっと、近くで見たら檄似だよ!」

「二人とも、とりあえずここから逃げるわよ!」

 後ろから首根っこを掴まれて僕らは引っ張られるようにして廊下に出たのだった。先ほどまで見えない羊と戦っていた女の子は気絶したのか立ったまま動かなかったので僕が引っ張って言った。はかったとしか考えられないタイミングで、放送が流れ始める。

『あ〜先に言っておくが君らが確認した奴等は夜にならないと学校内へと入れない。奴等を倒すも自由、逃げるも自由・・・すべてが自由さ。ちなみに夜までに地下の自室へと戻れば身の安全は保障しよう。無論、君たちが置き去りにしてきた眠っている人達も既に回収済み・・・彼らは家に帰ってもらう。この場所での記憶を忘れてもらってね・・・・ああ、気をつけてもらわないと・・・外にいるあいつらも馬鹿ではないからね・・・』

 どこへ向かうかは自由らしいのだが、困ったことに行くべき場所を僕らは知らない。いやいや、自由すぎてどこに行くべきかわからない。自由すぎるRPGで迷子になった気分だ。

「・・・剣治・・」

「何かな?」

「今度の英語の和訳、僕だったよね?」

「そうだったなぁ、確かにそうだ」

「二人とも!現実逃避してないで何か考えないと!」

 剣治と僕に厳しい現実を見るように彼女はそういった。いやぁ、厳しい現実よりも虚実のほうに僕は逃げるかなぁ・・・・

 剣治はそんなことを言っている焔華さんの前に出て咳払いをした。

「こほん・・・ところで時雨君、このちょっとうるさい女の子は誰だい?」

「ああ、この人は・・・・炎宮焔華さん。火を使う“一族”だって。好きな食べ物はトマトで・・・・好きな色は赤、おてんばじゃじゃ馬娘だってさ・・・あ、誕生日は8月7日だってよ?去年は友達に祝ってもらったそうだって。彼氏はいたらしいけど、些細な価値観の違いで先月別れたって・・・彼女の友達はせっかくやってきた春を自ら冬にしてしまったって言ってたそうだよ?」

 剣治はさも驚いたように僕のほうを見ている。

「そんなことまで言っていたのかい?」

「ちょ、ちょっと!私はそんなことまで言ってないわよ!名前しか名乗らなかったはずだし!」

 顔を真っ赤にしてそんなことを言っているのだが・・・

「え、嘘!?さっき話しているときにどんどん話していったのは焔華さんじゃなかった?いやぁ、僕のほうから話しかけようとしたら逆に彼女のペースに乗っちゃってさ・・・結局、僕は名前しか名乗れなかったよ?」

 剣治はしらけた視線を焔華さんに送っている。

「・・・口が軽い女の子か・・・真っ先に裏切りそうなタイプだな。私としては興味がわかない。私は口が軽い男と尻が軽くて口が軽い女は嫌いなんだ」

「私もあんたみたいな利口ぶってるやつは大嫌いよ!」

 お互いに初対面でこんなに悪口を言い合えるなんてすごいや・・・・と感心している場合でもない。いまだに肩を貸している女の子は

「羊が・・・いや、私はこんなところでは負けない!こんなところで、負けてたまるかぁぁ!!」とぼやいているし、まだお天道様はお空に輝いているのだが、油断は出来ない。そろそろ正午だ。

「とりあえずさぁ、昼食を探しにいかない?」

「「・・・・・」」

 いがみ合っていた二人はそっぽを向いたのだが一応、僕の意見には賛成してくれたようで、再び歩き始めた。窓の外にはさまざまな“影”たちがこっちにこようとしている。

「・・・・時雨君、他の連中はどうしたんだろうな?」

「さぁ?どうしたんだろ・・・男側には行ってないし、残りの十名を僕たちで埋めたとしても残りは六人だと思うけど?後は全部男子じゃないかな?」

「まぁ、今頃あいつらの餌食になってるんじゃない?あんたもああなるといいんじゃないかしら?」

「そうなっても別に構わないね。意外と君は襲われないで逃げられるかもしれないねぇ?」

 いがみ合う、二つの心・・・・彼らが和解する日がいつか来るのだろうか?

「・・・うう・・・」

 羊さん(仮名)に肩を貸したまま、僕らは食堂を探してさまよい始めたのだった。

「あ〜そういえばさ、先生やお手伝いさんの姿がないね?」

「ん〜そういえばそうだね?」

「まぁ、私のお手伝いさんは今頃畑を荒らして農家のおじさんに追いかけられているだろうが・・・・あのお猿、どこに行ったんだ?てか、猿には無理だろ、猿には!」

 そんな話をしながら歩いていく。外のほうでは誰かが叫びながら逃げているようだ。

「うわぁ〜もう駄目だぁ!誰か助けてぇ!」

 ……幻影。あれは幻影さ・・・・僕らは自分の実力を知っている。だから、自力でがんばって!ごめんね♪


やってきました第三話。第一話から物語が始まる前にいつも書いているあの人物・・・さて、あれは一体全体誰なのでしょう?いや、既にこの時点で今回の話の主要人物たちは登場しているんですけどね。その中に、いるかもしれません。では、また次回でお会いしましょう!

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