胸の内
はっきり言って、泣きそうだった。
これが、ホントの、胸の内。
珍しくあの子から手紙をわたされた。
私は普通に嬉しかった。
「どんな内容だろう?どんなことが書いてあるんだろう?」
と、ワクワクしていた。
_____________あの文章を、見るまでは。
どんな言葉がつずられていたかは、覚えていない。
ただ、なぜかすぐに、あの子の元へと、走っていた。
そして、ギュッとあの子を抱きしめて
「ちょっと話そう?」
と、一言言っていた。
私達は廊下の隅でグランドの方を向いて話し出した。
私は一方的に話し出した。
涙が溢れ出そうな前に。
顔が歪んでしまうまえに。
手紙の内容は、
私がまだ、あいつのことを好きだと知っておきながら、あいつのことを好きになってしまったということ。
もう、隠しているのはつらいということ。
そして、
ごめんなさい。
の、一言だった。
私はひたすら
「新しい恋に進みたかったから、ありがとう。」
とか、
「もう、気にしないで」
とか、
あの子に心配かけないような言葉を並べた。
心にも思ってないようなことを言った。
_________自分に嘘をついた。
私が嘘をつくたび、あの子の顔は、明るくなっていって、
私の顔は、笑顔をつくるので精一杯だった。
「ありがとう。」
お互いにそう言って別れたけど、
あのとき私はうまく笑えていなかったと自分でも思った。
"素直になれない"の続編でした!