表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/59

第16話 日本人の証明

 結局、私は熱を出して一日半寝込んでしまった。その間は食欲もなく、ライラさんとカリンさんにはとても心配をかけてしまった。


 イギリスの流動食が口に合わないのかと、どこで調べてきたのか生姜(しょうが)入りの葛湯(くずゆ)をライラさんが作ってくれた。少しずつ葛湯を喉に通す私を見て、ライラさんが嬉しそうにスプーンで次々と葛湯を私の口に運ぶ。申し訳なく思って「自分で食べます」と申し出ると、「マリ様は病人なのですから大人しく看病されてください」と子供に言い聞かせるように言われてしまった。

 自分で身の回りの事はできると言い張った私を不愉快に思いもせずに、甲斐甲斐(かいがい)しく世話を焼くライラさんはまるで母親のようで、私の中では頭が上がらない人物となっていた。


 ようやく熱も引き、日常生活が支障なく送れるようになった頃、頭の傷の抜糸も済んだので、アーサーのお仕事とパスポート再発行のために、私はアーサーと一緒にロンドンへ行く事になった。

 最寄りの空港からプライベートジェット機を飛ばして約一時間、ヒースロー空港へと到着した私達は、ロンドンに本社があるフェンリル・ファンドから出迎えに来ていたアーサーの秘書と合流した。



「社長、ようこそロンドンへ。お会いするのは、一ヶ月ぶりですね」


 短く刈上げた黒い髪に知性的な光を宿したこげ茶の瞳を持つ青年は、私達に気づくと満面の笑顔で駆け寄ってきて、アーサーに敬愛の眼差しを向けた。その様子からアーサーへの全幅の信頼が感じられて、彼がアーサーに心酔している事が分かった。待ちわびたご主人様の帰宅を出迎える犬が、わさわさと嬉しさのあまり尻尾を振っている姿が彼と重なった。


「久しぶりだな、リチャード。ロンドン本社は変わった様子はないか?」

「はい、特にありません。皆、日々忙しく働いています。ところで、こちらのお嬢さんはどなたですか? 紹介して頂けますか?」


 アーサーの後ろに控えていた私は、アーサーに肩を押されてリチャードさんの前まで進み出た。


「彼女はマリ・ナカガワ。俺の大切な人だ。マリ、彼はリチャード・クーパー。俺の秘書だ」

「初めまして。マリ・ナカガワです。マリと呼んで下さい。ロンドン滞在中お世話になります」

「リチャード・クーパーです。こんな可愛いお嬢さんのお世話なら大歓迎です。マックスさんから社長に婚約者がいる事を聞かされて驚きました。今、ロンドン本社内では社長の婚約者の噂でもちきりですよ」


 興味津々といった様子で目を輝かせながら私を見ていたリチャードさんに右手を差し出して握手を求めた。確か海外での挨拶では握手が一般的だったはず。

 彼は私の手を握り込むと上下に強く振った。私にとっては痛いほど手を握られて思わず顔を顰めると、力が強すぎた事を察してくれたのか、すぐに私の手を解放してくれた。


「すいません。お会いできた嬉しさのあまり力が入ってしまったようです」

「いいえ、大丈夫です。日本ではあまり握手する習慣がないので、慣れてないだけです。気になさらないで下さい」


 申し訳なさそうに謝るリチャードさんに、ふと既視感(デジャヴ)を覚える。前に同じような事があったような気がする。


 ……いつ? 誰と?


 俯いて目を閉じ、額に手を添えて、果てしない闇の中から失われた記憶を手繰り寄せようと自分の内側へと更に奥へと意識を向ける。

 急に黙りこくった私の異変にアーサーが素早く気がつき、軽く肩を揺すられて、私の意識は記憶の切れ端を掴む間もなく現実へ引き戻された。


「マリ、どうした? 気分でも悪いのか? 顔色が良くない」

「大丈夫。何でもない。ただ、以前にもここで力強く握手された事があるような気がして……。だから、記憶が戻るか試していたんだけど……」

「それで、何か思い出せた?」


 アーサーが気遣わしげにダークブルーの瞳で私を覗き込む。いつもは自信に満ち溢れたアーサーが不安をその身から滲み出させていた。もしかして、心配させてしまったのだろうか。


「何も思い出せませんでした。でも、この空港には来たことがあると思います」

「ヒースロー空港はイギリス最大の国際空港だ。日本からイギリスに飛行機で来るなら、ここを使うことになるだろう。気にするほどの事ではない」


 そう言ってアーサーは私を空港出口へと促した。しかし、私は何か記憶に繋がる手掛りがないだろうかと辺りを見回して足を止めた。前に一度訪れた可能性が高いなら、尚更何か思い出せないかと離れがたくなってしまう。


「さあ、行こう。気になるなら、帰りに好きなだけ試してみればいい」


 アーサーは少々強引に私の手を引いて、空港出口へと連れて行ったのだった。



 空港を出た後、私達はロンドンにある在英日本大使館へ向かった。ここに来た目的は、私のパスポート再発行の手続きをする事にあった。

 私はアーサーの仕事が終わってからでいいと言ったのだが、記憶喪失になっている私のパスポート再発行は時間がかかるだろうからと、アーサーは真っ先に向かってくれたのだった。


 日本大使館入口でボディチェックと所持品検査を受けて中へ入ると、ちらほらと手続きに訪れている人がいるのが分かった。日本人だけでなく、様々な外国人が手続きに訪れていた。

 アーサーに付き添われて窓口まで行くと、大使館職員の視線が彼に集まった。中には目線だけアーサーに向けて、隣のデスクの職員と声を落としてひそひそ話をしている人もいた。

 何なのだろう、この反応は。

 気にはなったけど、アーサーが貴重な時間を割いてくれたのだから、さっさと手続きを済ませてしまおうと窓口の男性職員に日本語で声を掛けた。


「あの、パスポートの再発行をしたいのですが、どうすればいいですか?」


 窓口の職員はアーサーに見入って私の存在に気付かなかったらしく、見上げていた視線を落として私の姿を認めてから、おもむろに一枚の書類を出して説明し始めた。


「この書類にあるように、警察の紛失届出証明書と戸籍謄本、写真が必要になります。もし、戸籍謄本が用意できない場合は、ご相談下さい」


 戸籍謄本なんて用意できるわけがない。どこに住んでいたかなんて覚えていないのに……。


「一週間ほど前に記憶喪失になってしまって、ほとんど何も覚えていないんです。戸籍謄本はこんな状態で取れないですよね……。どうすれば……」


 不安になってきた私に、職員はマニュアルに定められているのか、困惑の表情を滲ませる事もなく慇懃(いんぎん)な態度を崩さない。


「複雑な事情がおありのようですね。お話を聞く為に別室へ案内致しますので、暫くお待ち下さい」


 職員が十数分後に私達を案内してくれた部屋には、熊のような体格を持つ厳つい青年男性と白髪が所々混じっている初老の男性が待っていた。二人は表面上穏やかに見えるのだが、青年の方は内包する緊張感を隠せないでいた。


「初めまして。ナカガワ・マリです」


 私がお辞儀をして挨拶をすると、初老の男性職員が名刺を差し出しながら自己紹介を始めた。


「在英日本大使館一等書記官の石坂啓介です。こちらの青年は当大使館の二等書記官、小林俊之です。これからあなたについていろいろ聞かせて頂きますが、よろしいですか?」

「はい」


 お互いの自己紹介と挨拶を終えたところで、石坂さんはアーサーにやんわりと退室するように英語で促した。


『まずはご本人さんから事情をお聞きしますので、その間、あなたはロビーでお待ち頂けますか?』

『俺は彼女の婚約者だが、同席する事に何か問題でも?』


 アーサーは見せつける様に左腕で私の腰をさらって引き寄せると、後ろから私を抱きしめた。背中にアーサーの体温を感じ取って、思わず頬に朱がさす。

 近い。近い、近すぎる。しかも、人前で抱きしめるなんて、これは一体何の嫌がらせなのだろう。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。


『ちょっと、アーサー、人前でこういう事はしないで』


 アーサーの腕の中で身を捩り、腰に回された左腕を軽く叩いてみたが、更に抱きしめる力が強められて逆効果だった。

 わたわたと軽く混乱している私を目の前の石坂さんはまるっと無視して、何事も無かったかのように笑顔を貼り付けている。お腹の中で考えている事が分からないその表情は、これからの事情聴取が一筋縄ではいかない事を私に予感させた。


『これも規則ですので、ご理解頂きたい』


 若い小林さんは尚も私から離れようとしないアーサーに業を煮やしたのか、一歩も譲らない口調で押し付ける様に言った。明らかに苛立っている様子に、私は肝が冷えた。

 相談に乗ってもらえそうなのに、彼らのご機嫌を損ねたら元も子もない。


『アーサー、私は一人で大丈夫だから、部屋の外で待っていて。お願い』


 首を捻って背後のアーサーを仰ぎ見る。寂しそうな顔をアーサーがして、一つ息を吐き出すと私を拘束していた腕を外した。


『分かった。君がそう言うなら従うよ』


 ほっとしたのも束の間、アーサーの顔が落ちてきて左頬にキスを落すとすぐに離れていった。まるで、そうする事が当たり前であるかのようにごく自然に振る舞われて、私には抗議する時間も与えられなかった。


『また後で』


 部屋を出ていくアーサーを呆気にとられて見送っていた私は、石坂さんのわざとらしい咳払いで、初対面の人に見られていたという事実に気が付いた。恥ずかしさのあまりに耳まで真っ赤になる。

 彼らに向き直り、羞恥に染まった顔を見られないように直角に近い角度まで頭を下げて日本語で謝った。


「ごめんなさい。アーサーがあんな聞き分けのない人だとは思わなくて、不愉快な思いをさせてしまいました」

「いえ、構いませんよ。どうぞお座り下さい」


 石坂さんに勧められてソファーに座ると、早速、小林さんが記憶喪失になった経緯の説明を求めた。

 犯罪組織に誘拐されてアーサーに救出されるまでに負った怪我が原因で記憶喪失になった事、覚えていたのは自分が日本人であることだけで、それ以外の情報は全部アーサーから教えてもらったのだという事を話した。


「彼からあなたの日本での住所を聞いたことはありませんか?」


 一通り私が説明を終えると、小林さんがメモを取りながら問いかけた。


「ないです」

「運転免許証でも、健康保険証でも何でも良いのですが、あなたの身分を証明できる物は何かお持ちではないですか?」

「私を救出する際に荷物は何も回収できなかったとアーサーは言っていました。身分を証明できそうな物も失われてしまっています。だからパスポートの再発行をお願いに来ているのです」


 石坂さんと小林さんが困った表情をして互いに顔を見合わせた。ほんの数秒のアイコンタクトの後に石坂さんが私を宥めるように言った。


「あなたが日本人だと証明できない限り、パスポートはお渡しできないのです。最近、外国人が日本人だと偽ってパスポートを取得しようとする事件が頻発しておりまして、日本人であるかどうかの確認は厳密に行うように本省から指示がきています。こちらも慎重にならざるを得ません」

「日本語で不自由なく私達は会話できていますよね。それは私が日本人である証明にはならないのですか?」


 私には私が私である事を裏付ける記憶がない。唯一残っていた「私は日本人だ」という記憶を否定されたような感じがして、胸が痛んだ。


「確かにあなたはネイティブな日本語をお話になる。しかし、それだけでは幼少の頃から日本に滞在している在日外国人であるかもしれないのです。極端な話を敢えて申しますと、日本語を全く理解できない黄色人種以外の人であっても、日本国籍を持っていれば日本人なのです」


 つまり、私が日本国籍を持っている事が証明できないと日本人として扱えないという事らしい。手掛りが何もない状態でそれを証明するのは、砂漠の砂の中から一粒の輝石を探し当てるほどに困難だろう。


「我々日本大使館職員は日本の国益と日本国民の生命・財産を保護するために存在します。ですから、あなたが日本人である事が確実でなければ、様々な援助の手を差し伸べる事もできないのです」


 石坂さんは呆然としている私にそこまで説明しきると、一旦間を置いた。


「しかし、生体情報を提供して頂けるなら、それを元に該当する日本人がいるかどうか、お調べする事は可能です。どうされますか?」


 奇妙な沈黙が部屋を支配した。彼らは私の返答を待っているのだろう。

 このまま何もしなかったら、きっと後悔する。生体情報を提供しても、何も分からなくて悔しい思いをするだけかもしれない。同じように嘆く結果になったとしても、何か行動をした結果に対して嘆く方が遥かにいい。


「生体情報を提供します。私は少しでも記憶を取り戻す手掛りが欲しい。お願いです。調べて下さい」


 座っていたソファーから身を乗り出して、目の前のローテーブルに額がつかんばかりに腰を折って懇願した。


「それでは、こちらの書類をよく読んで頂いた上で、サインをお願いします」


 石坂さんの静かな声がして顔を上げると、一枚の書類が差し出された。それには、自分自身の意志で生体情報を提供する事、日本国が私の生体情報を調査を目的として自由に使用できる事、調査終了後に生体情報は破棄される事などが書かれてあった。後々生体情報の取扱で紛争にならないように、文書で予防しているのだろう。


 その書類にサインしようとして、自分の名前を漢字で書けない事に気付いて愕然とする。ナカガワ・マリ、どんな字で名前を書いていたのか思い出せない。仕方なくカタカナでサインをした。

 書類をボールペンと一緒に石坂さんに返すと、小林さんが何処からか黒インクのスタンプ台と白い記録紙を取ってきて私の前に置いた。


「これから、両手の全ての指紋を採取させて頂きます。こちらのスタンプ台で指にインクを付けて、指の側面から反対側の側面へ紙の上で回転させるようにして指紋を転写して下さい」


 私は言われた通り、全ての指の指紋を記録紙に写していった。それが終わると、正面と左右からの写真をデジタルカメラで小林さんが撮った。


「今日はここまでです。DNA鑑定に必要な血液採取は医務官が居ないとできません。当大使館の医務官は休暇をとっていまして、二日後に出勤してきますので、二日後にもう一度来て頂けませんか?」


 ハンカチで指についた黒インクを拭っていると、小林さんが記録紙とスタンプ台を回収しながら、そう告げた。


「はい。よろしくお願いします」


 私が頷いて頭を下げると、小林さんはソファーから立ち上がって、私が入ってきたドアを開けた。アーサーはドアのすぐ傍で待っていたのか、すぐに開いたドアの先に姿を現した。小林さんは面談が終わった事を英語でアーサーに告げ、部屋の中へ招いた。

 席を立った私は、アーサーが悠然と歩み寄って来るのを待った。


『マリ、話は終わった?』

『うん。今日は終わったけど、二日後にここに来る必要があるの』


 さりげなくアーサーの視界に入らないように私が体の後ろに回していた両手に、彼は目ざとく気づいて不機嫌そうに目を細めた。


『マリ、俺に何か隠している事があるんじゃないのか?』

『べ、別に何もないわよ』


 アーサーの探るような眼差しから逃れるように横を向いた。

 両手の指にはハンカチで拭ったとはいえ、指紋の隙間に入り込んだ黒インクが所々残っていた。記憶が無いから日本人である事が証明できなくて、生体情報を提供しなくてはならなくなった事を知られたくなかった。特に指紋はデータベースに残っているとすれば、犯罪者の物であろう事は容易に想像がついた。アーサーに余計な心配を掛けたくない。

 そんな願いも虚しく、アーサーは穏やかだか有無を言わせぬ雰囲気を纏いながら私に手を差し伸べた。


『君が隠している手を見せて』


 どうしてアーサーは私の気づいて欲しくないちょっとした変化を見破ってしまうだろう。

 隠したかったものを言い当てられて、私は右手をおずおずとアーサーの掌に乗せた。アーサーは私の右手首を掴むと、掌を上へ向けさせた。指先に微かに残る黒インクを見取って、アーサーの秀麗な眉が顰められた。


『あなた達はパスポートの再発行に指紋の採取まで要求するのですか?』


 静かだが凍えるような怒気を含んだアーサーの声が小林さんと石坂さんに投げつけられた。私に向けられたものではないとはいえ、その威圧感に身が震え上がる。

 アーサーが怒っている。放っておくと大使館と揉め事に発展しそうな予感がして、慌ててアーサーのジャケットの袖を引っ張って、彼の注意を引いた。


『記憶が無くて私が日本人だと証明できなかったから、生体情報をもとに調べてもらえる事になったの。指紋を採ってもらったのも、私の意志でやった事よ。大使館の方は自分の職務を果たしているだけだから。お願いだから、怒らないで』


 上目遣いでアーサーを見上げ、怒りを鎮めて貰おうと経緯を説明すると、彼は渋々怒りの矛先を収めた。でも、彼から(にじ)み出ている剣呑な気配が、まだその体の中に怒りの熾火(おきび)(くすぶ)っている事を私に知らしめた。


『ナカガワ・マリさんからお話を聞かせて頂いたところによると、記憶喪失になる前のナカガワさんをご存じだそうですね。是非、その事についてお話を伺いたい。協力して頂けませんか?』


 小林さんは彼らに向けられていたアーサーの怒気をさらっと(かわ)して、アーサーとドアの間に体を割り込ませて退路を断った。丁寧な英語で話しているけど、小林さんは目が口よりも物を言うタイプのようで、目が「とっとと協力しろよ」と挑発的な輝きを宿していた。

 小林さんは、アーサーをあまり良く思っていないみたいだ。


『マリの調査の手かがりになるなら、喜んで協力させてもらおう。マリは私の全てだからね』


 欧米人のアーサーは日本人なら歯が浮くような言葉を簡単に使う。大袈裟(おおげさ)よ、と言おうとしてアーサーを見上げると、蕩けたように熱の篭ったアーサーの瞳が私を覗き込んでいた。

 アーサーが本気でそう言っているのを悟らざるを得なくなり、赤くなった顔を見られないように私は俯くしかなくなった。アーサーの言動に慣れる日は来るのだろうか……。


『リチャード』

『はい、社長』


 アーサーが呼ぶとリチャードさんも部屋の外で控えていたらしく、すぐに姿を私達の前に現した。


『俺はこれから彼らと話がある。その間、マリの傍に居てやってくれ』

『承知しました』


 アーサーは仕事でロンドンに来ているのに、私のせいで余計な時間を使わせてしまっている事に申し訳なさを感じた。


『アーサー、私の厄介事に巻き込んでごめんなさい。お仕事に支障をきたすようなら、断ってくれていいのよ』

『マリのためならこれぐらいどうという事は無い。仕事も余裕をもってスケジュールを組んでいるから大丈夫だよ。マリは何も気を使う必要はない』


 アーサーは穏やかに微笑んで私の頬を掌でひと撫でしてから、部屋の中へと消えて行った。


2012.05.22 初出

2012.08.07 脱字修正

2012.09.13 改行追加


 一話の長さが安定しない……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ