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なにもかもが終わる

これは「アメ=遠藤亜魅編第六部」のつづきです。

物置小屋に、殺人犯が四人。

しかも全員未成年。

こんなおかしな事、他にあるんだろうか。


「おーい。言い出しっぺ。パソコンサイトなんて何の意味があるんだよ」

「それは私にも分からないのです」

コウヤがぶつぶつ文句を言いながら、サイトを作っている。

「だいたい、このサイトは何のサイトなんだ?」

「え?」

ミーウェイが画面に顔を寄せて、パソコンを見つめる。

「だから、何が目的のサイトなの!?」

しまった、それは考えてなかったなとアメは顔を顰めた。

「えーと、うーんと・・・あ・・アクセ・・・かな、です」

苦し紛れに適当に思いついたものを言ったのだが

その後、意外に高評価を受けた。

「アクセ!?なんでそんな「わー!いいジャン!さっすがアメ!」

文句を言おうとしたコウヤの口を完全に塞ぎ

ミーウェイはアメを褒め称えた。

「でも、アクセサリー自体はあるの?」

アンナが髪をいじりながら

現実的な質問を投げかける。

「それは見た目だけでイイのですから

どっかのサイトから写真だけ貰えばいいのですよ」

アメは笑いながら投げかけられた質問を返した。

ミーウェイとコウヤが不思議そうな顔をする。

「でもさ、『注文したアクセがこないー!』って言われたら

意味無いじゃん」

「しかもぼったくりって事で捕まるぞ」

二人はアメに講義する。

アメは得意そうにへへんと笑った。

「大丈夫!なのですよっ」

そして、近くにあった本棚から、分厚い本を引きずってきた。

ホコリがだいぶたまっている。

「わ〜・・・でっかい本」

優に1000ページはありそうなその本は

表紙に、「魔法全書」と、書いてあった。

「胡散くせぇ・・・・」

大体魔法なんてものがこの世に存在していいのか、

コウヤはあからさまに嫌そうな顔をした。

「ココ!ココ見てください」

細い指が指した先には

『自分の忠実な奴隷を作ろう』と書かれていた。

「悪趣味・・・・」

アンナが目を細めて、アメに言い放った。

アメは気にせず、パラパラとページをめくり

『インターネット』と書かれたページでとまった。

「でもさ、この本、インターネットって書かれていることは

そんなに古くないんじゃない?」

「昨日、見つけました」



−その一・このページで、インターネット上にあるwebページから

人間をなかに引きずりこむことができる−

−その二・それには契約が必要である−

−その三・契約方法は、このページに自分の血で名前を書くこと−

−その四・契約した人間だけが使える−

−その五・一度この本を使ったらすぐ捨てること−


「え・・ちょっと、待てよ。こんな胡散くせェ事ホントにやるのか!?」

「ものはためしでしょ。コウヤ君」

あたりまえでしょ、なにびびってんの?みたいな口調で

ミーウェイは言った。

「血で書けばいいなんて、古臭いわね」

「やってみればいいのです」

アメはそう笑うと、なんの躊躇いもなく

自分の手をナイフで切り裂いた。

真っ白い指に、赤い液体が滴る。

そして、その血で、自分の名前を書いた。

『アメ』と。

「それ、偽名でしょ。いいの」

アンナは指摘したが、アメは今さら書き直す気はない。

「これは偽名じゃないのです。れっきとした

私の名前です」

書き終えると、ナイフを洗ってきて

テーブルの真ん中に置いた。

「さ、次は誰ですか?」

なんの躊躇もなく、躊躇いもなく

こんなことができるなんて。



「あたしやろっか」

そう呟くと、ミーウェイも自分の指に切れ目をすっと入れた。

赤い血が滲んで、本の上にぽたりと垂れた。

ずっずと指を動かすと、

赤い文字が紙切れに滲む。

「おーわりっ!めっちゃカンタン!コウヤ、やってみ?」

口調は笑っているのに、目は笑ってないミーウェイが

コウヤにナイフを差し出した。

無言でそれを受け取ると

さくっと指に差し込んだ。

「おぉ!マジでやったか!絶対『怖いよ〜』とか言うと思ってた」

「うるせぇよ。クソアマ」

おちょくられた事が頭にきたのか

コウヤはやけくそになって名前を書いていく。

「おらっ!完成したぜ。おい、次、お前だろ」

アンナは突き出されたナイフを見て、笑った。

「私、やらないわ」

「どぅして?あ、わかりました!痛いの嫌いなのですね」

「うー・・一理あるけど、私殺しは専門外なの。

殺しは、やらないから」

けたけたとアンナは笑ったが、コウヤはパソコンに向き直った。

ミーウェイも、コウヤのやってる事が気になって、パソコンにかじりついた。



「ほんとに出来るなんてね」

「あぁ、俺も嘘だと思ってた」

「わぁ・・・凄いのです」

「まさかね。じゃ、この本捨てなきゃね」

本に書いてあることは本当だった。

徐にパソコンに手を近づけると、手は飲み込まれた。

そして何かを掴んだかと思い、手を出すと

完全に気を失っている20代前半と思われる女性が出てきた。

「たぶん、このウェブページつかってたんでしょ。

つーことは、サイト作れば引きずりこめるのね?」

「はい」

「でも、なんでわざわざそんな事するの?

別に、人引きずり込んだところでどうにもならないし

逆に怪しまれない?」

アメは冷たい目で笑った。




「殺し足らないの」

「殺したいの。この世界のみんなを」



歪んだ心が、悲劇をつくる・・・・・・・・

これで小悪魔シリーズ終わりです!

いやー、長かった!

ここまでご愛読いただきありがとうございます!

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