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アンナ=楠杏奈編 第一部

「杏奈お嬢様。学校へ行くしたくはできましたか?」

「きゃぁー!杏奈様よ!」

「さすが、我が校トップクラスの成績優秀才女!」

こんな言葉が、毎日私を取り巻く。

そんな私が、ただ一つ大好きな言葉。


「杏奈の嘘つき!!」


そう、私は嘘つきの詐欺師。

みんなを騙すことがただ一つの楽しみ。

まぁ、みんな私のジョークとしか思っていないけれどね。


私の名前は楠杏奈。この聖アルプス学園で、この名前を知らない人はいない。

生まれは超大貴族。成績もいい・・って、自慢してるみたいね。

今の歳じゃ中学生だけど、高等部まで噂は広がるくらいの有名人。

友達も・・たくさんいる。

友達みたいな友達は一人もいないけどね。

みんな目立ちたいから、私と一緒にいるだけ。

そんな奴らの存在がムカついて、少し苛めてやるの。

○○君があなたを呼んでるわ、とか言って

裏庭に呼び出して、「嘘に決まってるじゃない」って蹴落としたり。

まぁ、そんなんじゃめげてくれないけど、

「嘘つき!」って、気の強い子は言ってくれる。

だけど、たいていの子は

「なぁんだ。そーだったの。騙されちゃった。あはははっ!」

って笑ってばっかり、面白くない。



「杏奈。おはよー」

「杏奈さん。おはよう」

会う人みんなが、私に声をかけてくれる。

うっとおしいけど。


「杏奈っ!」

がばっと音がして、背中が重くなった。

振り返ると、ふわふわのパーマがかかった栗色の髪が

顔にばっさとかかる。

「・・・恵美?」

「そーよぉ。恵美よ!おはよーっ!」

「・・おはよう」


木下恵美キノシタエミ。楠財閥には劣るけど、なかなかの金持ち企業。

自分も上位の人間だ、みたいなアピールを続けている。

まぁ、私のそばにいれば大抵そう思うらしい。

この頃は、上級生までが取り巻きになってきた。


「見て。杏奈様と恵美様よ。何度見ても素敵ね。背がちっちゃくて可愛い・・っ!」

「ほんと。とうてい私たちなんかには届かない存在ね」

下級生が私たちをじーっと見つめる。

みんなの視線がぷすぷすと刺さる。

気分が悪い。


「ね?レイもそう思わない?」

「・・・ばっかみたい。私、他人にきょーみないの」

冷たい声が私の耳に刺さった。

くるりと振り向くと、自分より下級なのに、自分より背の大きな

黒髪の長い女の子が、友達と歩いていた。

「えー。またそれー?麗ってば、そんなんじゃ杏奈様に苛められちゃうよ」

「いいわよ。別に。あんなの、取り巻きがいなきゃ大したことないわ」

ごもっともだわ。

「ねーぇ。杏奈。ちょっとあの子、ウザくない?

ちょっといじめてやろーよ」

「遠慮するわ。後輩イジメってサイテーよ」

「そーかなぁ・・・」



それに、むしろああ言うタイプ、スキだから。

思ったことをズバズバ言えるタイプって大好き。


あの子、面白いな。

今までつまらなかった学園生活に、新しい発見があった。









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