コウヤ=高野瑞貴編 第六部
俺は、ひたすら歩いた。
別に、当てがあるわけではないが。
カランカラン・・・。
俺はどこかのカフェに入った。
今は満席です、といわれて仕方なく相席になった。
「今日は。君、一人なの」
「そうですけど」
カクンと首を揺らして頷いた。嘘を言っているわけでもないし。
「家出?」
「・・・。プライバシーの無い人ですね」
目の前にいた高校生くらいの人はケタケタ笑い出した。
「面白い事言うね。でも、悪乗りの家出なら止めてとっとと帰ったほうが身のためだよ」
「だって、俺には帰るところがない」
その人は目を丸くした。
「どうして」
「訳は言えない。お兄さんきっと嫌な思いするよ」
「君、名前は」
「俺?高野瑞貴」
「じゃ、俺が君を拾ってあげるよ。俺は相模リュウ」
「は?いいよ。そんな迷惑なこと」
「いいって。俺の経営してるカフェが、あ、それはココの事ね。
店員足りないから、働いてよ」
俺は何故か働かされることになった。
「経営?」
「そ。すげーだろ」
「はぁ・・・」
俺は、何も知らない親切な、相模さんのお世話になることになった。
「寝るところは、向かいのアパート貸してあげる。
303だからな。間違えるなよ〜っ」
「はぃ。ほんとに有難う」
「へいへぇい。どーいたしまぁ〜して」
アパートの部屋は以外に綺麗だった。
「気に入らなかったらカフェの裏室に引越ししてもいいから」
と言われていたので、荷物を全部整頓するような事はしなかった。
今日は何も無いので、買出しに出た。
特に食べたいものなんて無かったけど、もう外に出られないかもしれないし。
ドンッ。誰かとぶつかった。
それが、今のミーウェイ、木村未兎だった。