アメ=遠藤亜魅編 第二部
「中原恵理華、記録、14秒18!!」
周りからどっと歓声が上がる。ついに、私の嫌いな体育の時間だ。
恵理華!すごいじゃん。とか、てんさーい!とか・・・・・・・・
その中心でちやほやされてるあいつが、無性に嫌だった。
恵理華は、私に向かってピースをした。
私もそれを返したが、あいつが疎ましく思えるだけだった。
「じゃ、次、遠藤亜魅」
何人かが「がんばってっ!」と声をかけてくれたが、嬉しくも何ともない。
「遠藤亜魅。記録、18秒43!」
一般人には普通だろうけど、いじめられてた私は、また男子にからかわれた。
「うわー。遠藤ってめっちゃ遅い!」
「のろまー!俺のほうが絶対早い!」
でも、そんな声も、この一言で収まった。
「やめな!亜魅がかわいそうじゃん!だいたい、どこが遅いのよ!
全然普通ジャン。毎回毎回ウザイんだよ!」
恵理華は気が強かった。ついでに頭もよかったから、男子も逆らえなかった。
「なんだよ!いい子ぶって」
口ではみんなそういうが、恵理華に勝てた奴なんていない。
「大丈夫?ほんっとサイテーだよね。あたしもあいつらだいっきらい!」
「ありがと、私は大丈夫だから」
「ほんと?無理しちゃだめだよ」
無理って・・わけわかんないんだけど・・・
そう言ってもあいつには、負け犬のとおぼえにしか聞こえないだろう。
「亜魅!怪我してる!」
そんなことにも気づかないほど、私はあいつを睨んでいたのか・・
「・・・ほんとだ・・・」
「保健室、行く?ついてってあげる」
「大丈夫だよ。一人で行くから」
「でも・・・」
「大丈夫!気にしないでっ。ねっ」
あぁ、ウザイ!いったいいつまで言えば気が済むの!?
だいたいいっつも付き纏って
私は、そんな弱い子に見えるのかな・・・
私は、私自身も大嫌いだった。