コウヤ=高野瑞貴編 第一部
東京都内の中学校。
ここで、俺は、最高の学校生活を送っていた。
「瑞貴ー!部活行こうぜ!」
「分かったー!ちょっと待っててくれー」
俺は、高野瑞貴。出席番号は・・8か9か10くらいだったような気がする。
記憶力は悪いほうだから、もう2学期だってのに、クラスメイト全員の名前すら
覚えていない。
「こらぁ!高野くん!まだ全部宿題出せてないでしょ!
今日と言う今日は、溜め込んでいるモノ全部!吐き出してもらうからね!」
今大声で怒鳴ったのが、担任の岡田先生。
俺には優しくないが、優しいというコトで大人気の先生だ。
「えー。わかったよ」
といいながら、吐くまねをすると、後ろからゴツンと殴られた。
「ってぇ!!」
「馬鹿なことするんじゃねーよ!とっとと宿題だしゃいーだろーが!
ついでに廊下で騒ぐんじゃねえ!」
クラスメイトの前坂亜里沙に怒鳴られた。
女のくせに乱暴&暴言はき。怖い。
「なんか言ったか?」
「いいえ。何も」
おまけに地獄耳。
で、亜里沙のおかげで、俺は宿題をするはめになって
サッカーがお預けとなった。
「はい。お疲れ様」
サッカーのことばっかり考えてたら、いつの間にか終わってた。
部活も終わってた。
「あー、部活出れなかった!」
「明日、ちゃんと宿題してきたら、部活いってもいいよ」
「マジで!やったー!」
叫びながら教室を出ると、なぜか亜里沙がいた。
「どーしたんだよ。前坂」
亜里沙は、顔をあげると、真っ赤になって言い訳した。
「え!?っと・・あの、忘れ物して、で、戻ってきて
高野のコト待ってたんじゃないよ!」
「そりゃそーだろ。なんでお前が俺を待つんだよ」
そう言ったとき、前坂はめちゃめちゃ悲しそうな顔をした。
「!?」
「もういい!帰る!校門の前で有村待ってたぞ!!ボケ!」
それだけ言い残すと、階段を風のように駆け下りた。
「遅かったな。岡田先生、お前には厳しいもんな」
「おまたせ。で、お前ずぅーっとココに居たの?」
有村啓吾は不思議そうな顔をした。
「そうだけど」
「で、その間、前坂ココ通った?」
「前坂ぁ?見てないけど」
「じゃ、いいや。ありがと」
「そういや、今日、練習試合だったぞ」
「えええ!?くっそー!やりたかったなぁ・・・・」
この、学校生活が、俺は一番好きだった。