アメ=遠藤亜魅編 第一部
まず、「小悪魔通販にようこそ」を
読んでおかないと、分かりにくいかもしれません。
「亜魅ちゃん!おはよっ!」
ウザイ。聞くに堪えない黄色い声。
「おはよっ」
なれなれしく関わってくるこの女が嫌いだった。
遠藤亜魅。これが私の名前。
この名前は本当のお母さんがつけてくれたもの。
でも、今目の前にいるのは・・・・
偽者の母親。
「ハンカチとか持った?忘れ物無い?」
「大丈夫だってっ!行ってきます」
毎朝笑顔を作るのは疲れる。
いつも母と歩いていたこの道。
買い物の帰りとか、雨の日とか。
雨の日は嬉しかった。私は母が大好きだったから。
なのに・・・・・・・
「お母さんは、脳梗塞で・・亡くなったんだ・・・」
突然目の前から姿を消した母。
そして、いきなり目の前に現れた、偽者の母。
「亜魅。おはよう」
突然横に現れたのは、随分と前から一緒にいた、友達・・??
「おはよ。恵理華」
何のためらいも無く、その他人の名を呼ぶ。
今は苦しくてたまらない。
「今日、体育あるよね。いやだなぁ」
恵理華の背負っていたランドセルがカタンと動く。
体育・・得意なくせに。私のほうが、体育なんて嫌だ。
運動音痴だし。男子にからかわれるし。
その点、恵理華は先生にちやほやされてる。
私は、自分の才能を疎ましく思うこの女も嫌いだった。
「いいじゃん。恵理華は。私より、運動上手だし」
「え〜?そんなことないよ。亜魅のほうが上手だよっ」
なに分かりきった嘘言ってんの・・・?
この、疎ましい世界が大嫌い。
私以外の人間なんて、いなければいいのに・・・・・・・・。
そしたら私は、苦しまないし、傷つかない。