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魔王城のメイド  作者: 中路太郎
細腕奮闘編
29/53

第二十八話 物凄い誤解をされた気がする

 魔王城南側の壁面。には、ポッカリと大きな窓が作られた一角がある。

 そこは空を飛べる魔族達の離着陸場のような場所で、巨大な楕円の下半分を切ったような形のその窓の両端からは、大きく半円にベランダが設けられている。

 ベランダの円周からは無数に桟橋のような細長い足場が放射状に伸びて、間抜けな太陽のイラストみたいな外観をしていた。

 魔王城に来て、最初にアイルネが足をつけた場所でもある。

 そんなベランダの一隅。

 順番待ちの、あるいは魔王城に帰ってきたばかりの魔族が、羽を休め憩いを得るための休憩所のようなスペース。

 そこに置かれたソファで、沢山のサキュバス達を侍らせ、お菓子をぱくついている少女がいた。

 年の頃は四、五歳といった所、表情はこうしている今も常にニュートラルで、感情は中々表にでないが、正真正銘人間の少女だった。

 名前はエミ。

 人間にしては珍しく、魔族に偏見を持たない一族の、その末姫である。

「エミ」

 自分を呼ばわる声を聞いて、彼女は顔を上げた。

 ソファの、というか、ソファに座ったサキュバスの膝の上からぴょんと飛び降りると、やってきた声の主に向かって手を振った。

「……遅くなった。待たせたな」

「大丈夫。可愛いがられてた」

 無表情のまま、ソファの方を指さす。

 はぁ~いっと手を振るサキュバス達を見て、声の主――アレックスが顔をしかめた。

「……変なこと教えられなかったろうな?」

「変なことって?」

「……いや、ならいい」

 そう言って、何故か頭を撫でられた。

 よく分からないまま黙って撫でられていると、アレックスの背後からバタバタと騒がしい足音が響いてきた。

 現れたのは、有翼人、メイド、カカシ=カイル、アイルネ、教育係の三人組だ。

 彼らの姿を確認して、エミは小首をかしげる。

 アレックスの方を見上げた。

「相変わらずおかしなのの近くにいるな、お前」

 思い当たる節がありすぎて、アレックスは微妙な顔をする。

「そんな事より、行くなら早くしろ。そろそろトリのおやつの時間だ。私ばかりおやつを食べてたからちょっと拗ねてる」

 背後からピューイと鳥の声が鳴り響いた。

 ベランダの右端から伸びる桟橋の先、巨大な鳥が、抗議するように大きく口を開けていた。

 手綱を抑えていた魔族が慌てて宥めにかかるが、意に介した様子もなくそっぽを向いて目を細めている。

「あれ、もしかして魔鳥の一種ですか……?」

 トリを見て、驚いたようにそう言ったのはカカシ男だった。

 エミから見ても、驚くほど容姿の整った男だったが、奇妙な装いが何もかもを台無しにしていた。

 何故か皆から少し離れた中途半端なところに立ちながら、呆然と巨大な鳥の方を見ている。

 そんな教育係を指さし、エミは残りの三人に責めるような口調で尋ねた。

「どうして誰もあいつに注意してやらないんだ? なんかおかしな格好をしてるぞ?」

 きょろきょろと顔を見回すと全員が気まずそうに黙る。

 あ~、と、頭をかいたのは有翼人の男だった。

「っと……趣味?」

 その言葉に、エミが黙る。

 彼女は表情で驚く代わりに、長く黙る癖があった。

「……魔族、か」

 やがて、何もかもに納得したような顔で、ぼそっと呟いた。

 なにか、物凄い誤解をされた気がする。


すみません。

正直、文章を間引きすぎた感が否めません。


ただ、本当のことを言えば、五文字くらいの文字の羅列で、お話の全てを皆さんに伝えることができるような手段があればなあ、とか思ってたりしてますw

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