Ⅰ章第一話 choice:選択
処女作なので生暖かい目で見てください。
半分は自己満足ですが、アトバイスと評価を頂けるよう頑張ります。
都市から遠くの村。
春の風が通り抜け、爽やかな風を運んで来る。
その風の舞う牧場の中を馬に跨がった9歳位の子供が走り抜ける。
牧場の隅にある小屋に着き、子供は馬から降りる。
小屋の近くで作業している父親の所まで馬を連れていき手綱を渡す。
「父さん、牧場に放してた馬を連れてきたよ」
「おぉ、もう連れてきたのか。そいつは気性が荒くて大変だったろ?」
「ん?そんなこと無かったよ?」
そんな事無い様で不思議そうにする子供。しかし、父親が手綱を引くと馬は嫌そうに顔を振る。
「そら、こんな風に直ぐに暴れそうになるんだ。」
子供は苛立っている馬の顔を撫でる。
「大丈夫、なんにもしないからね?」
すると馬は大人しくなり、子供に顔を擦り寄せる。
「我が子ながら凄いな。馬と心を通わせるなんてな。やっぱり将来は騎士に」
「馬の世話と騎士は関係無いでしょ!!それに僕は、この仕事が好きなんだよ。」
いつもの様に父親が騎士を目指す事を進めるが、子供はその気は無いようだ。
「それに、騎士は生まれが大切なんでしょ?僕は父さんの子供だから無理だよ。」
この話はもうお終いとばかりに話す子供。しかし、彼は知らなかった。後受人という方法があるということを。
昼過ぎに仕事が一段落し、家で子供と父親寛いでいると。
「この村に騎士を目指している子供は居ないか?居たら広間で主人に顔を見せてください!」
突然、村の広間の方から大きな男の声が響く。
子供の父親は、声が聞こえた途端、飛ぶように子供連れて広間に走る。
そこには既に人垣が出来ていて、その中心には騎士が居た。
騎士の前には30人程の様々な年齢の子供が並んでいた。
「私の子もお願いします。」
と彼の父親が頭を下げる。すると、騎士の鎧に刻まれている紋章と同じ紋章の服を着た男が父親に向けて答える。
「他の子供と同じ様に並ばせてください。この中から主人が選びますので。」
と子供を並ばせるように促す。
子供は父親に押される様に列の最後に加わった。
「父さん(ちょっと待ってよ、僕は騎士になんかなりたくない!!)」
「大丈夫だ。お前が必ず選ばれる。」
子供の意思とは関係なく、父親は肩に手を置き強く頷く。
「・・・(でも、こんなに居れば僕みたいななのが選ばれる訳無いよね。)」
と子供は一人頷き、並んだ。
「(やっぱり騎士憧れていたのか・・・。)」
子供の頷く様を見て、勘違いした父親が子供から離れていく。
騎士が馬から降り、一人一人顔を見ていく。
納得いく子供が居ないのか首を横に振り、次の子供に。
半分程過ぎた辺りで騎士が鎧の頭を取った。
「ふむ・・・中々居ないものだな。私の後受人は」
中から顔を出したのは、髭面の初老の男だった。だが、眼は鷹の様に鋭く、老いて尚力強さは微塵も衰えているようには見えなかった。騎士は、子供の顔を見ては首を横に振り、次の子供に。
「(そろそろ僕の番になる。絶対選ばれません様に!)
と願いながら、騎士を睨み付けている。
そうこうしているうちに彼の番。最後になった。
子供は今だに騎士を睨み付け、選ばれ無いように願っている。
「ほぅ・・・」
騎士は彼の顔を見て頷く。
「(僕を選ばないで下さい!!お願いします!!)」
子供願いとは関係なく、騎士は子供の身体を触る。何かを確認するように。
「(騎士を前にして気後れせんか、少々身体は頼り無いが・・・ふむ)」
騎士は子供の顔を見ながら思案する。
「(お願いします!神様!)」
子供はさらに騎士を睨み付ける。
騎士はそれを面白いモノを見た様にニヤリと笑い、周りに聞こえる声で言った。
「うむ、良い面構えをしておる。
技術・力はこれから成長していくだろうし、教えれば良い。
坊主、お前を私の後受人にしてやろう。」
野次馬達が騒ぎ出す。その中には子供の父親も入っていた。
「俺の子が選ばれたぞ!!」
「(どうしてこうなった!)」
と力が抜け座り込んだ子供の頭を騎士がワシャワシャと撫でる。
「よろしくな、坊主」
ニカッと笑う騎士に愛想笑いを帰す子供だった。
短いですよね。
携帯投下はキツイです。
いまさらですが更新は不定期です。なるべく早くします。