表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/27

勘違い

 そして——


 最悪の勘違いが起きた。


 ある日のこと。


 エリーゼが、王立学院に来た。


 没落貴族同士のよしみで、私に会いに来てくれたらしい。

 学院に入ってからは初めてだ。


「ユーリ、久しぶり!」


 エリーゼが、笑顔で手を振る。


 その瞬間——


 体が、反応した。


 エリーゼは、また成長していた。


 より女性らしく、より美しく。


 そして——


 私の体は、彼女を「女性」として認識した。


 顔が、赤くなる。


 心臓が、速くなる。


 ——くそ。


 なんでこんな時に。


「ユーリ? 顔赤いけど、大丈夫?」


 エリーゼが、心配そうに覗き込む。


 その時——


「おい、ユーリ」


 後ろから、クラウスの声が聞こえた。


 振り向くと——


 クラウスが、私とエリーゼを見ていた。


「彼女か?」


「違う! 幼馴染だ」


「でも、顔赤いぞ」


 ——最悪だ。


 クラウスに見られた。


 エリーゼに反応している私を。


「なるほどな」


 クラウスが、にやりと笑った。


「お前、この子のことが好きなのか」


「違う!」


「嘘つけ。顔見ればわかる」


 違う!


 好きなのは、お前なんだ!


 エリーゼに反応してるのは、体だけで——


 心は、お前のことしか——


「いい趣味してるじゃないか。可愛い子だな」


 クラウスが、エリーゼに向かって言った。


「俺はクラウス。ユーリの先輩だ」


「エリーゼです。ユーリの幼馴染の」


「なるほど。よろしく、エリーゼ嬢」


 二人が、笑顔で挨拶を交わす。


 私は——


 地獄だった。


◇ ◇ ◇


 その日から——


 クラウスは、私の「恋」を応援し始めた。


「ユーリ、エリーゼ嬢に手紙は書いたか?」


「ユーリ、今度のパーティーでエリーゼ嬢をエスコートしろよ」


「ユーリ、お前って女の口説き方知ってるか?」


 ——違う。


 違うんだ。


 私が好きなのは、エリーゼじゃない。


 お前なんだ。


 でも——


 言えない。


 絶対に言えない。


 男同士で恋をしているなんて。


 しかも、心は女で、体は男で、好きな人は男で、でも体が反応するのは女で——


 複雑すぎる。


 誰にも理解されない。


 私は——


 この地獄を、一人で抱えながら生きていくしかなかった。


【作者からのお願い】

もし、「おもしろい」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマーク登録をしていただけるとうれしいです。また「いいね」や感想もお待ちしています!

また、☆で評価していただければ大変うれしいです。

皆様の応援を励みにして頑張りますので、よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ