表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/26

朝の問題

 そして——


 最大の試練が、やってきた。


 ある朝のこと。


 目が覚めると、体が——


 おかしい。


「……え?」


 下半身に、違和感がある。


 なんか——


 硬い?


 私は、恐る恐る布団をめくった。


 そこには——


「——————っ!?」


 声にならない悲鳴を上げた。


 なんで——


 なんでこうなってるの——!?


 ツクヨさああああん!!


 聞いてますかあああ!!


 これ、聞いてないんですけどおおお!!


 前世で、男性の「朝の生理現象」については知っていた。


 知識としては知ってた。


 朝、男性の体が自動的に反応するという話。

 モーニング・なんとか、と呼ばれているやつ。


 でも、知識として知っているのと、実際に体験するのは——


 全く違う!


「なにこれ……勝手に……」


 私は、パニックになった。


 なぜ?

 どうして?

 私は何も考えていないのに——

 何も想像していないのに——

 むしろ寝起きで頭がぼーっとしてるのに——


 体が、勝手に反応している。


 止めたい。


 でも、止まらない。


 「止まれ」と念じてみる。


 止まらない。


 「落ち着け」と言い聞かせる。


 落ち着かない。


 自分の意思と関係なく、体が——


「……最悪だ」


 私は、頭を抱えた。


 これが、男の体なのか。


 自分の意思と関係なく、勝手に反応する。


 前世では考えられなかったことだ。


 女性の体は、自分の意思で制御できた。

 反応したくなければ、反応しなかった。


 でも、男の体は——


 勝手に反応する。


 自分の意思とは関係なく。


「……怖い」


 私は、小さく呟いた。


 自分の体なのに、自分で制御できない。


 それが、怖かった。


 どうすればいいの、これ。


 前世では女だったから、こんなこと知らない。


 誰かに相談する?


 無理。


 恥ずかしすぎる。


 父親に? ——無理。

 リーナに? ——絶対無理。

 母親に? ——論外。


 結局、私は——


 一人で、この問題と向き合うことにした。


 調べた。

 古い医学書を読んだ。

 使用人の会話を盗み聞きした。


 試した。

 失敗した。

 恥ずかしい思いをした。

 また試した。


 少しずつ、対処法を覚えていった。


 朝起きたら、しばらく動かない。

 冷たい水で顔を洗う。

 別のことを考える。


 やがて——


 慣れてきた、とは言わないけど。

 なんとか、対処できるようになった。


 ——これが、男の体か。


 面倒くさい。


 面倒くさすぎる。


 女の時は、こんな悩みなかったのに。


 毎朝こんなことと戦わなきゃいけないなんて、男って大変だ。


 でも——


 男として生きていくなら、これも受け入れるしかない。


 私は、覚悟を決めた。


 ——と思っていたのだが。


 問題は、まだ続いた。


【作者からのお願い】

もし、「おもしろい」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマーク登録をしていただけるとうれしいです。また「いいね」や感想もお待ちしています!

また、☆で評価していただければ大変うれしいです。

皆様の応援を励みにして頑張りますので、よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ