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転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
二章 勇者学園 第一幕 勇者のタマゴ
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24話:海底遺跡

  レッサードラゴンを倒した後、騎士団に色々聞かれた。

 「ドラゴンはどうなったのか」とか、「どうして無事に帰って来れたのか」とか。

 とにかく真剣に「逃げて行った」と言ったらすんなりと信じてくれた。

 都合の悪いことは誤魔化すためにある。


 しかし、この国の騎士団は疑うことを知らないのか、その日のうちに開放された。


 翌日からは変わったことがある。

 まず、一回目と二回目に比べて三回目の実習の期間が空いていることだ。あれから二週間経ったけど一切連絡が無い。


 もう一つは、イフが常に俺の腕を掴んで過ごすようになったことだ。


「あの、イフ?いつも言っているけどあんまりくっついていると動きずらいんだよね。」

「離れたらどこかに行っちゃうの。」


 イフが本気で掴むと振り払うことも出来ないし、少し困っている。


 それと最後に、ホースが俺のことを見ていることが増えた。

 ドラゴンを倒したことがバレてはいないよな……?


「お熱いこったねぇアル!」

「冷やかすのはやめてくれ……。」


 フェルちゃんもそんな睨まないでくれよ、わかってる。

 さすがに三十歳以上も下の女の子にそういった感情は湧かない。(精神年齢)


「アルタロムさんは私じゃダメなの?」

「なにかは分からないけど、ダメってことは無いと思う。でも、ないかな。」


 どうしたのだ女子二人よ、そんな怖い顔して。


「いふぁい(痛い。)」


 無言で頬を引っ張らないで欲しい。

 二人とも力強いんだから頬の肉が伸びちゃうよ。


「楽しそうですね。」

「お前誰?」

「クリムさんなのです。」


 フロガはさすがに同じ学年の人の顔くらい覚えておこうよ、クリムさん顔引き攣っちゃってるから……。


「どういった御用でしょうか。」

「いえ、仲が良さそうだったのでつい声をかけてしまいました。」


 なんだかフェルが警戒している、 胡散臭さはあるけれどそこまで警戒する程だろうか。


「あの、あんまり睨まないでいただけますか……?」

「二人ともその辺にしておいてあげな。」


 萎縮しちゃったよクリムさん。そりゃ、フロガとフェルの二人に睨まれたら誰だってこうなる。

 その上、後ろではホースが睨んでるよ。


 初対面だけど、あんた一体何したって言うんだ。


「話があれば聞きますよ?」

「アルタロムさんの言う通りなのです。

 いっぱいお話するのです。」


 ここでもイフは癒し枠のようだ。

 嫌だなぁ、俺の周りみんな怖いやつばっかなの。イフに変な影響がないか心配になる。


 まぁ、絶対にそんなことは無いんだけどね。


「是非、混ぜてください。」


 この子も案外素直な子だな。

 胡散臭い雰囲気で登場するから警戒したが、これなら問題ないだろう。

 ただ、不憫枠みたいだけど。


「っ……!?」


 なんだろう……ホースからの視線がさらに強くなった。


 最近は充実した学校生活を送っているような気がする。

 あの後もフロガがカリスを巻き込んで六人で食事をすることになったし。

 まさか異世界に転生して初めて大学生みたいな生活をするとは思っても見なかったな。


「騒がしい。

 全員集まっているな?」


 先生が寮に入ってきた。夕飯時に一体なんなのだろうか?


「プラット先生が急に体調を崩された。

 それに応じて、急遽予定が変更される。」


 嫌な予感がする。


「明日は実習を行う。

 班員と実習内容はこちらで決める。明日の報告を待て。」


 はい、こういうことになるんだからもう。


 その場にいたほとんどの人は俺と同じ うわぁ って顔をしていた。


「しゃぁ!ようやく暴れられるぜ!」


 そう、一人を除いて。


 フロガが一人だけ楽しそうに指をパキパキと鳴らしている。

 こんな姿を見ていると少しだけやる気が出てくるから不思議だ。



 翌日集合部屋に着くと珍しくフロガが俺よりも先に来ていた。

 立ちながら寝ていたけれど。


「おはようございます。」

「おはよう、どうしたのこれ?」

「本日の早朝、訓練場で修練しているところを見かけたので連れてきてしまいました。」

「朝から珍しいね。」


 俺がそう答えるとフェルはふふっと笑って


「実は、毎日やっているそうですよ?」

「はぁ……?」


 毎日朝から修練していると言うならどうして遅刻常習犯になんてなるんだろう。


「終わったら眠ってしまうのなら、早く起きても意味が無いですよね。」


 なるほど、だから今も立ったまま寝ているのか。ではない。

 なんで朝早くに起きてるのに、二度寝して遅刻するを繰り返しているんだこいつは。


 カリスも信じられないような目をしているよ。


 いつも通り、ある程度の時間になると先生がやってくるのだが、今日の先生はフロガを見て倒れるんじゃないかってくらい後ろに仰け反った。


「今回の実習の班分けを行った。

 各々課せられた課題を全うしろ。」


 そう言って先生は手を叩いた。


 次の瞬間転移が発動し、俺とイフとクリムの三人が同じ場所に転移させられた。

 一回目の実習と全く同じである。あの先公まじで一発ぶん殴ってやろうかな。


「今回もアルタロムさんと一緒で嬉しいのです!」

「そうだね、今回の実習の概要はどうなっているのかな。」


 とりあえず全員が自分のポーチの中を確認すると、今回ブレスレットと依頼書が持たされていたのはイフだった。


「えっと、読み上げるのです。

 依頼は、探索不良の海底遺跡の調査。

 なのです。」

「海底遺跡の調査か、難しいものではなさそうだね。

 まずは依頼者のところに行こうか。」


 イフの案内を頼りに俺たちは海底遺跡周辺の村にたどり着いた。

 そこではどんよりとした空気が充満しており、住民の顔色も良くないように見える。


「おぉ、勇者学園の方々かな?」

「はい。

 今回は海底遺跡の調査との事ですが、どう言ったことを調査すればよろしいのでしょうか?」


 俺がそうやって聞くと、依頼者らしいお爺さんは少し顔を曇らせた。


 これは……何かあるな。


「海底遺跡の依頼を出してからしばらく経ちました。

 今は魔力が篭もりすぎてしまい、すっかり迷宮(ダンジョン)化してしまっているのです。」

「なっ……それは本当ですか?」


 まずい、そうなると依頼の難易度が格段に跳ね上がる。

 迷宮(ダンジョン)の難易度にもよるが、このメンバーで攻略するのは難しくはないか?


「わかりました。我々が何とかしてみせましょう。」

「本当ですか!?」


 クリムさん、勝手に話を進めないで欲しいな。


「皆苦しそうなのです!私たち頑張るのです!」


 イフもノリノリだァ。

 仕方がない、 ここは依頼を受けるしかないだろう。


「わかりました。この依頼は受けます。

 ただし二人とも、決して離れたりせず二人一緒になっておくこと。」


 俺が忠告すると二人は素直に はい と答えてくれた。

 勝手に動き回るあの二人とは大違いだ。とても助かるわぁ。

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