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転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
三章 白の死神 第三幕 死神の■■
102/103

101話:逆転と逆転

「それじゃあ、死んで?」


 笑顔で大鎌を構え、力いっぱいに振り切った。


「そんなの、受けてたまるか!!」


 この拘束下では避けられない。

 影移動だってどこに飛ぶか、場所は大体予測される。


 だったら真正面から受け止める以外に方法はない!


 横に振り払われる大鎌を居合で受け止める。


 ”キーンッ”


 甲高い金属同士がぶつかる音がした。


 鍔迫り合いになりながら何とか受け止めることが出来た! 

 まぁ、鎌に鍔なんてないけど。


 ただ重い!言霊の効果も含めてあまりにあまりに重い!


 ”ピシッ……”


 まずい、鰐顎(アギト)にヒビが入った。


 だが、このまま折られるくらいなら多少は足掻いてやる。

 ちょうど、両腕の影の形状を変えられたところだ。


 二又の外套を使って、先にこっちが大鎌を粉砕して鰐顎(アギト)の破損の難は逃れた。

 だが、それで終わらないのもわかってる。

 (ブラン)はその上で砕けた大鎌の柄を振り下ろしてくる。

 さすがに、攻撃が終わっていない外套では反応しきれない。


 ”パリンッ”


 とはいえ、鰐顎(アギト)で受ければ折れてしまう。

 脆いのは承知していたが、このタイミングで折れてしまうのか。


「どうする!もう君を守るものはないよ!」

「さて、それはどうかな?」


 確かに鰐顎(アギト)は折れた。

 だけど、まだ刀身は残ってるんだ。


「刀っていうのは折れたって使えるんだよ!」


 無理やり掴ませるために巻いていた影の触手(シャドーテンタクル)を解き、心臓を一突きにしてやる。


「それ、言うの早いかな!」


 迫る影の触手(シャドーテンタクル)の攻撃はギリギリで反応され、防がれてしまった。


「……フッ。」


 しかし、単純なやつだな。

 目の前に迫るものを対処しただけでこうも喜ぶとは。

 折れたということは、刃は二つになったということになる。

 そして、外套はもう攻撃をし終えた。


 片方の外套で地面に向かって落ちる切っ先を掴んで背後から(ブラン)の心臓に突き刺す。

 しかし、刃が背骨に引っかかった感覚が伝わってきた。これ以上は先に刃が折れてしまって進まないかな。


「痛ッ……!?それ以上はダメだよ……!」


 魔術禁書(グリモワール)のページが捲れてとあるページで止まった。

 また再生に使う気なのか、それとも逃げるために使おうとしているのか。攻撃かもしれない。

 だけど、そんな選択肢は与えない。


 ”ドンッ”


 もう一方の外套に弾かれ、魔術禁書(グリモワール)はパサリと音を立てて地面に落ちた。

 バラバラにしようと思ったんだが、この本硬すぎるな。


 とはいえ、これで(ブラン)は無防備になった。反撃される前に口を影の触手(シャドーテンタクル)で塞いでやる。


「チッ……!”死ね”!」


 さすがは数百年も魔王をしているだけのことはある。

 口を塞がれるよりも先に言霊を使ってきた。


 魔力は放出された。この言葉を聞いた(ブラン)に選択された対象は死ぬんだろう。


 ”本来なら”な。


 影の触手(シャドーテンタクル)


 地面から生えた触手で、全身をぐるぐる巻きにして身動きを完全に止め、先端から口に差し込むことで発声すら許しはしない。


「……なんで言霊が効かないんだって顔してるな。」


 (ブラン)は今まで、自分の初見殺しの能力で相手を殺すことが多かった。

 ニ回以上同じ相手と戦う経験がなかったんだ。

 逆に言えば、初見殺しの能力は初見じゃなければ対応できるということ。


「半年前、俺に力を見せたのが間違いだったな。」


 そう、半年もあったんだ。

 呪詛の対策をしているなら、当然それ以上に厄介な言霊の対策は一番にやっている。


「もう動けないだろ?」


 触手を使った拘束は完璧だ。

 鎌が巻き込まれていることは少し誤算だったが、その程度の誤算なら問題なく対処出来る。


 外套の影を右側に集中させることで大きさは俺や(ブラン)の倍近くの大きさとなる。

 これで叩きつければ問答無用で塵にできるだろう。


「これで終わりだ。」


 もう、終わってくれ。


 そう願いながら、俺は腕を振り下ろした。


「ゴフッ……!?」


 現実はそう上手くは行かないみたいだ。


 吐血した……。

 なんで、何が起こった?頭がグワングワンして魔力の操作が安定しない……!


 俺の体に這わせていた雉の外套(フェザーカウル)は何とか形を安定させられている。

 しかし、(ブラン)を抑えている影の触手(シャドーテンタクル)はダメだった。


 ”ドロ……”


 まるで泥のように溶け落ちて拘束は解かれてしまった。


「ようやく効いてきたよ、僕の死の時計台(ウィザークロック)。」


 あの時計台を具現化した魔法か。

 なんだ……何が……?


「君は払ったつもりでいるみたいだけど、あれは払っただけじゃ意味が無い。

 あの大きさの粒子は囮。本来の狙いは細かく、塵のようになった粒子を君に吸わせることだったんだよ。

 ほら、全身に侵食が回ってる。そろそろ死んじゃうんじゃない?」


 やばい、やばい、やばいやばい!

 これはマジでやばい!


 血の気がどんどん引いてく。

 口だけじゃない、鼻や目からも血が流れて来る。

 雉の外套(フェザーカウル)も形をもう保っていられない。


 ”ドロッ……”


 とうとう外套も溶けた。

 体内の影も効力はもうない。

 魔力操作も安定しない。

 体は痛みで動かすどころの話じゃない。


 「溶けたね。それじゃ、君にも痛みを味わってもらおうかな!!」


 (ブラン)は顎を蹴り上げたあと、無慈悲に鎌を振り下ろした。


 一瞬目を閉じ、死を覚悟した。

 だが、死んでいない。


 何が起こったのかと目を開ける。

 (ブラン)は鎌を振り下ろしている。


 なら何をした?


 異様な熱さを感じた右腕に視線を向ける。


 無い。

 手掌を切り裂かれてはいたものの、確かにあった俺の腕がその場にはなく。


 無惨にも地面に転がっていた。


「……っ!あぁぁ!?」


 この感覚、幼少の時にもあった。大怪我をすれば痛みより熱が勝つ。

 だけど、今回は違う。痛みが段違いだ。


 傷口から侵食されてるのがわかる。動けない。

 痛みと出血で意識が遠くなる。

 

 色々と考えても意味ない。

 とにかく早くどうにかしないと死ぬ……。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


なんか同じ展開が続いてる気がするなぁ……。


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