表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケセラセラⅢ  作者: 遠藤 敦子
1/6

1

「お前ら30分あったら何して過ごす?」

 塩澤(しおざわ)莉奈(りな)のクラスでは数学の授業が行われており、数学担当の大本(おおもと)という50代の男性教師が生徒たちに話を振った。

「課題します」「勉強します」

 といった真面目な回答もあれば、スマホゲームやSNSやYouTubeなどと答える者もいる。サッカー部所属でみんなの中心にいることが多いお調子者の男子生徒が

「俺は……」

 と言いかけると、大本先生は彼に

「お前の30分はエロ本読む時間だろうが!」

 と返した。すると教室中に大爆笑をもたらしたけれど、莉奈のクラスだけ校舎が揺れるほどの勢いだったのだ。

「いや違いますって! エロ本とか読まないですし、俺だって真面目に勉強してますよ」

 彼がすかさずそう言うと、大本先生は「本当か?」と半ば疑うように言った。それもさらに爆笑を招くことになる。



「莉奈、ケセラセラって知ってる?」

 昼休み、莉奈は友人の原田(はらだ)なつきからこう話を振られた。なつきはiPhoneでケセラセラのインスタグラムのページを見せてくる。

「ケセラセラ? 私よくわかんないや……」

 莉奈が答えると、なつきはケセラセラについていろいろ語った。キッチンカーでたこ焼きやたい焼きを売っていること。平塚(ひらつか)直幸(なおゆき)という男性店長がイケメンで有名なこと。そんな直幸が「キッチンカー王子」としてメディアでもてはやされていること……ーー。ケセラセラがどれほど有名かということを、なつきは10分近く莉奈に語っていたのだ。

「え、そうなんだ……。じゃあ今度行ってみようかな」

 莉奈はなつきの話を聞き、ケセラセラに一度行ってみようと決意する。土曜日は部活が午前中で終わるので、ランチとしてたこ焼きを買いたいと考えた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ