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第3話

 時刻はいつの間にか八時を一時間以上も過ぎていて、普段ならとっくに閉店している時間。でも、店内は相変わらず誰も居ないのに電気だけはついていて、店内放送も鳴ったまま。

 さすがにここまでくると、ここが普通の空間じゃないことは疑いようがない。だから私も、そういうつもりで行動することにした。

 つまり……このダイソーからはしばらく出られないという前提で、その間の時間を快適に過ごすための努力をすることにしたわけ。

 まずは、店内にある食料の把握だ。


「やっばい! えりかちゃん、こっち来てこっち来て⁉ カップ麺がある! 知ってた⁉」

「ミクさん……残念ながら、お湯がねーんすよ」

「あ……じゃあ、意味ないかー……って、待って待って待って? そっちに、鍋あったよね? それに……冷蔵庫にペットの水もあって……ライターもあるし……」

「…………マジだ!」


 店内の物は一応ダイソーの商品なわけだけど、こういう状況だから自由に使わせてもらう。せめてセルフレジがあったら使う前に会計することも出来たかもしれないけど……それも消えちゃってるんだから仕方ないよね? まあ、緊急事態ってことで許してもらおう。

 食料で一番多かったのは、お菓子や調味料。だけど、他にもパンとかカップ麺もあったりして、ミクさんが言った通りしばらくは食べ物に困ることはなさそうだった。水分も、コーラとかジュースとかも含めれば、まあ一週間くらいはなんとかなると思う。

 でも、問題は……。


「や、やばい……ミクさん。私、最悪なことに気づいちゃいました……。ここのダイソー、トイレが……店の外にしかないっす!」

「……しゃーない。作るべ!」

「マ、マジすかぁ⁉」


 そう言うとミクさんは、店の隅の一角に、フタが閉まるタイプのプラスチックのゴミ箱を置いて、黒いゴミ袋をかぶせる。それからその中にペットトイレ用の砂と芳香剤をガンガン突っ込んで、周りの棚の上に突っ張り棒を渡して、カーテン代わりのブルーシートを掛けて……。


「じゃ、今からここがトイレねー? 使ったら、各自で片付けて新しい砂を入れること!」

「ええぇっ⁉ で、でも、ここ……普通に店の中ですよぉーっ⁉ いい歳した大人の女子が……ダイソーの店内で用を足すとか……ちょっと、人間の尊厳的なものが……」

「んなこと言ったって、非常事態なんだからしゃーないっしょー? どうせここ、普通のダイソーじゃないから! 問題ないないー!」

「う、うう……なんか、ネコになった気分……」

「よぉーしよしよし! ネコちゃんいい子だねー? キレイにトイレ出来たら、喉なでてあげるからねぇー?」

「も、もぉーうっ!」

 

 そんな感じで。

 女同士で、歳もそんなに変わらないこともあって。普段なら絶対ありえないようなトイレ事情も、友だち同士のふざけたノリの延長みたいに、なんとか我慢できてしまうのだった。


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