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コバルトソフィア  作者: SHOW。
第一章
41/156

41 倒壊

 第二塔までもが真希の発現能力に屈し、少し前に一瞬で破壊された第一塔の破片の真上にガラクタと化した小山と成り果てる。ちょうど膝から崩れ落ちて尻もちを着いていた墨花と苑士郎の視点よりも、やや低いくらいに頂点がある山なりだ。

 真希の白色の光線は、元々視界に三つあった塔矢の第三塔に到達。塔矢が生み出した塔を全て倒壊させれば、真希の勝利を千尋を含めここに居る誰もが認めるしかない状況。ついでに発現能力の脅威と、なかんずく真希の【皓々三原色】の威力が理人や塔矢よりも勝っている証明にもなる。先々のことを考えれば政府管制課の所業にようやく鉄槌を下す機会と、まだ顕示に至っていない新規協力者や発現能力者を味方につけるには好材料となり得るだろう。


 付随すれば真希の発現能力は攻撃力もあり、対象を足止めることも出来て、気落ちさせて思考を鈍らせる。全てを同時に発動することは未だ困難だが、政府管制課という不特定多数に宣戦布告をするなら適材といえる。

 そんな彼女が統率を執る集団は、もしかしたら千尋の望みすらも叶えるかもしれない。二人は相容れないとは言うが、結局は過程に於いて対立しているのであって、帰結はかなり近しいものを描いている。千尋も真希も人工島民のために腰を上げる勇敢な一般人に違いない。


「自信満々だったみたいだったけど、壊れちゃったねぇ」

「……うだうだほざいてんじゃねぇよ真希、まだ残ってんだろうがぁ!」


 精神的な許容が逆転する。既に二つの塔を貫いたことで真希が自信を手に入れ、塔矢は追い込まれて焦燥が冷や汗となり湧き上がる。

 目に見える成果が心穏やかにさせる。

 発現能力への過小評価が確信に変わっていく。


「もう諦めたら?」

「いいや、例え俺が負けてもそれは絶対にねぇよ」


 白色の光線と第三塔が火花を撒き散らす。

 真希の方は第一塔と第二塔の関門をくぐり抜けたが止まることを知らず、減速どころか先にも増して再加速する。

 塔矢の方は更なる強度と硬度を第三塔に含有させている。

 お互いに譲らない真理が三度ぶつかり合う。


「けどそれ、防御特化だけど悪くない能力だよね」

「……そりゃ、どうも」

「念のため訊くけど、今すぐあたしと手を組むならこの場は見逃してあげてもいいけどね?」

「まさか、冗談だろ? 俺が今更裏切るわけがないだろうがっ」

「……残念。でもそう言うと思ってたよ、塔矢なら——」


 苦笑しながら真希はわざとらしくかぶりを振る。ただ仲間に加わって貰えないことを残念がったのは紛うことなき本心だ。最初こそ塔矢を見縊(みくび)ったが、この盤面では真希自信の欠点を補える人材として、長らく一緒に生活を共にし暮らしてきた友人としても誘いを承諾して欲しかった。

 ちなみに理人と塔矢が千尋と共闘しているのはほとんどタイミングの問題に過ぎない。先に千尋が示した、能力者への理解を深める方が先決だとする論理。対して後にその能力を最大限利用して人工島を脱出しようと提案した真希。現段階の優先度で前者を選んでいるが、もし後者のみの論調しか無ければ、二人は真希の考えに乗っていたかもしれない。


 この人工島に赤子のときから世界政府もとい政府管制課の主導の下、半ば強制的に閉じ込められている行政に潜在的な不平不満が島民のみんな全員にある。そして極め付けはソフィアがいなくなってしまったこと。曖昧な理屈だけ説明を受けて彼女が人工島を去った本当の理由を誰も知らない。


 もしかしたら彼ら彼女ら自身も同様にいなくなる蓋然性を孕ませていて、その危機感から揺さ振りを掛け共闘を煽ることも出来ただろう。ただ真希にとって誤算だったのは、千尋が理人と塔矢という二人の発現能力者を先立って発見し、更には非発現能力者であるのにも関わらず理解を深めていたことだけだ。

 普通ならなんのアドバンテージにもならない非能力者という性質が、まだまだ不確定で精神的に蝕む要素でしかなかった発現能力者たちの信用勝負を勝ち取るには、却って十分な特殊能力となる。真希としては堪ったものじゃないが、今更塔矢が叛旗を翻すわけがないとも分かる……いや、長年の経験から分かってしまう。


「——その決断、後悔しないといいね……塔矢っ」

「それは俺のセリフだわ、真希」


 双方の衝突撃による摩擦が鮮烈な閃光を乱反射させる。

 第一塔、第二塔のときよりも増して光耀とする。

 (くだん)の塔矢も真希も実質遠距離でのぶつかり合いのため会話を交わす余裕があるが、どちらが劣勢かと言うと塔矢だ。この第三塔は第二塔よりも硬質だけど、第二塔の時点で既に完成形にはなっていて、その第二塔がほぼ成果なしに破壊されたことから、第三塔も上位互換としても程度が知れている。

 もちろんこの理論は、あくまで交戦中の塔矢と真希以外の千尋たち第三者視点からの推測に過ぎない。もしも渦中の塔矢に奥の手がある場合や、なんらかの理由で真希が元々コントロールしていた加減を余計に緩める事情などがあれば優劣が逆転する。確率論ではかなり低いが、無くはない。

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