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異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!  作者: にんじん


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黒天使


 「ええーーーーー」



 ブランシュの悲鳴が部屋の中をこだまする。



 「ほ・・・本当なの?」



 ブランシュは腰を抜かして床に倒れ込んでいた。



 「本当よ!白銀狐ちゃんと和平を結んできたの。これが和平の証の品よ」



 私は白銀狐の毛皮と10体分の雪狐の毛皮をブランシュに渡した。



 「ごめんね、ブランシュちゃん。お母様の仇を討つことができなくて・・・」


 「いえ、そんな事はないわよ。白銀狐を討伐するなんて不可能だし、それに、悪いのは白銀狐ではなく、雪狐を勝手に討伐したアードラー達だとわかっているわ。白銀狐は仲間を殺された復讐でオランジェザフト帝国を雪の大地に変えてしまったけど、それをまた復讐でやり返したら、結局は復讐の連鎖が続くだけだわ。和平を結ぶのが1番平和的な解決だと思うわ。でも、雪の大地に変わってしまった土地が元に戻らないと白銀狐とオランジェザフト帝国の戦いは解決しないかもしれないわ」


 「雪の大地は私が雪だるまちゃんを作って緑の大地に戻したわよ」


 「えっ???雪だるまちゃん?」


 「え〜と、その〜・・・白銀狐ちゃんが雪の像を作って雪の大地を緑の大地に戻してくれたのよ」


 「雪の像を作って緑の大地に戻してくれたの?そんなことができるのかしら?」


 「できちゃったのよ!見に行けば納得すると思うわ」


 

 『ドンドン・ドンドン』



 部屋の扉をノックする音がした。



 「ブランシュ、私だ。0の少女が来ていると聞いたが、私からもお礼を言わせてもらっていいかな」


 「ハツキちゃん、お父様が会いたいと言ってるけど部屋に入れてもいいかしら」


 「いいわよ」



 ブランシュは扉を開けてメルクーア大公を中へ入れた。


 ※メルクーア大公 身長181cm 肩まで伸びた栗色の髪のイケメン。瞳はブルーで涼しげな目をしている。性格はクールであまり感情を表に出さないが、亡くなった婚約者であるモンブランを今でも愛している一途な男性である。



 「初めまして、0の少女のハツキさん。あなたのことは娘やシェーネさん達から聞いていたので、一度お礼を言いたいと思っていました。あなたの存在が娘に勇気を与えてくれた結果、娘は呪いを解除することができました。本当にありがとう」



 メルクーア大公は平民の私に深々と頭を下げた。



 「頭をお上げになってください。私は何もしていません。呪いが解除できたのは、皆さんがブランシュちゃんの心の支えになってくれたおかげです」


 「あなたは本当に娘の話通りの方ですね。決して自分のした事を誇らずに相手を尊重する素晴らしい人物です」



 メルクーア大公は笑みを浮かべる。



 「あら、お父様が笑うなんて珍しいわね」


 「そうか、俺はいつもと何も変わらないぞ」



 2人が仲睦まじく話す姿を見て私は心が癒される。



 「それよりもブランシュ、テーブルの上に散乱している素材は、もしかして雪狐の毛皮じゃないのか?」



 メルクーア大公の笑みが消えた。



 「これは・・・あの・・・その・・・冒険者『黒天使』さんのお友達のハツキちゃんが持ってきてくれたのです」


 「冒険者『黒天使』・・・もしかして、お前に火炎竜王の鱗を譲ってくれた冒険者のことか?」


 「はい、お父様。実は『黒天使』さんは私の呪いを解除するだけでなく、白銀狐と和平を結ぶために単独で動いてくれていたのです。そして、和平を結ぶことに成功して、その証として白銀狐の毛皮と雪狐の毛皮を持ち帰ってくれたのです」


 「本当なのか?白銀狐は雪狐を討伐して復讐に来ないのか?」


 「大丈夫です・・・よねハツキちゃん?」



 ブランシュは作り話に限界を感じて私にパスをした。



 「え・・・ええ。そうです。『黒天使』さんは白銀狐と和平を結んだ証拠として、雪狐の毛皮を入手したので問題ありません。それに、雪の大地を緑の大地に戻して、オランジェザフト帝国に土地を返す約束も交わしたそうです」


 「そうなのよ、お父様。白銀狐は雪の像を作って雪の大地を緑の大地に戻してくれたのよ」


 「それが本当の話なら陛下に至急連絡する必要がある。それと、冒険者『黒天使』のことを詳しく教えてもらえないか」


 

 ブランシュは私の方をチラッと見る。私は大きく頭を横に振った。



 「申し訳ありません、お父様。これ以上『黒天使』さんのことを教えることはできないの。それが『黒天使』さんとの約束です」


 「申し訳ありません。私も『黒天使』さんのことは何もお答えすることはできません」


 「わかった。これ以上のことは何も聞くことはしない。しかし、その毛皮は私が陛下の元へ持って行っても構わないか」


 「どうぞ!お譲りします」



 メルクーア大公は収納ボックスに毛皮を入れて、部屋を急いで出て行った。



 「ハツキちゃん、ごめんなさい!」


 「いいのよ。私のことは何も話していませんからね。それに『黒天使』ってカッコいいわ」


 「そうでしょう。実はずっと考えていたのよ。ハツキちゃんの天使のような優しさと、この国では珍しい綺麗な黒い髪、それとプリンツちゃんの毛並みも真っ黒だから、それを合体させた名前が『黒天使』だったのよ。私も気に入っていたのよ」


 「すでに考えていたのね」


 「そうよ。ずっと秘密の冒険者というわけにはいかないと思っていたので、冒険者名を考えていたのよ」



 ブランシュが名付けた謎の冒険者『黒天使』の名前は、次の日、国王から国民に公表され、一躍ヴァイセスハール王国中に名が広まるのである。それは、冒険者『黒天使』のランクが王者ランクと認定されたからであった。

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