第三章 神様はタコですか?
日曜日、この日は休息日であり、校外への外出が許可されていた。花子に尋ね、一郎とジョンに連絡を取ると、日曜日を指定され、仕方が無く承諾をした。それ以外に学校から出ることは出来ず、また二人も校内には入れないため仕方がなかったのだ。
連絡は、二人が持つモバイルPCやデバイスからメールを送れるようになっていた。なぜ、連絡方法を知らせて貰えなかったのかと秋月は怒りを覚えた。
「おはようございます」
「ちーっす!」
校門を出ると、一郎とジョンの二人が待っていた。
「おはようございます!」
制服姿の夏月が元気に挨拶を返した。
「おはようございます」
少し不機嫌そうに秋月も返す。
「それで、今日こそは、全てを話していただけるんですよね?」
「はい、もちろんです」
念を押すように確認する秋月に、一郎が答えた。
「わかりました」
軽くため息を吐き、秋月は了承を伝える。
「それでは、行きましょうか?」
そう言い、一郎は車へと案内しようとした。
「どこへ行くんですか?」
「どちらでも、行きたいところがあればお連れいたします」
秋月の問いに、一郎は笑顔で答える。それを聞き、秋月は少し考え込んだ。
「Kazuki!」
名前を呼ばれ、夏月は振り返った。目の前にはアリーチェと男性が一人居た。男性は、少し長めのブルネットの髪に、仕立ての良いスーツを少し着崩しており、いかにもイタリアの伊達男という感じがした。
「あ、アリーチェちゃん!」
「Buongiorno!」
アリーチェの言葉に、夏月は首を傾げる。
「Dove sei diretto?」
続く言葉に、更に首を傾げた。
「Kazuki?」
夏月の様子に、アリーチェも首を傾げる。
「なんでだろう? 僕、アリーチェちゃんが何を言ってるのか分かんない……」
「ここ、フィールド外っすからね」
ジョンが話しかけてきた。
「おはよう。どこへ行くの?って聞いてるっす」
「え? そうなの? ぽちは、アリーチェちゃんがなんて言ってるか分かるの?」
「かのじょまで、ぽちって呼ぶっすか?」
「あ、ごめんなさい……。しづきちゃんがそう呼んでたから……」
夏月は制服のスカートを両手でギュッと握りしめた。
「まぁ、いいっす」
そう答えると、ジョンはアリーチェに向かって話しかけた。すぐに、納得したように頷くとアリーチェは手を振り、付き添いの男性と共に車へ乗って行ってしまった。
「なんか、教会へ行くそうっす。どこへ行くのか聞かれたので、適当に買い物って答えたっす」