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世紀末とボク?  作者: さくら
26/134

thirteen

夏月の言葉が聞こえなかったのか、返事が来ない。なので、指先で軽くつついてみた。

「ひゃあ!」

 驚きの声をあげて、アリーチェがガタリと音を響かせ立ち上がった。休止が訝しげな視線を向けてくる。

「あ、すみません……」

 深く頭を下げた後、アリーチェは着席する。

「ご、ごめんね……」

 自分のせいで迷惑をかけたと、申し訳なさそうな表情で夏月は謝罪を告げた。

「別に……大丈夫よ……」

 まだ少し羞恥の残るその表情は赤みが差している。

「それで、何の用なのかしら?」

 軽く表情を背けながら尋ねる。

「あ、しづきちゃんが、ぱそこんとか得意だから一緒に教えて貰ったらいいかなって思ったんだけど……」

 夏月の言葉に、アリーチェの表情が明るくなる。

「本当?」

「うん」

「じゃあ、お願いしようかしら」

「うん! 一緒に教えて貰おう!」

 約束が交わされた直後、まえの席に座る人物が振り返った。

「あの……教えて欲しい……」

 タブレットを持ったノンノが、会話に入り込んできた。

「うん、ノンノちゃんも一緒に教えて貰おう」

 少し照れた表情でノンノが頷いた。

「まだ、昨日のプリンがあるから、それも食べようね」

 パッと華やいだ表情で、思いっきりノンノが何回も頷く。

「そういえば、プリンが無くなったら花子ちゃんにお願いすればいいのかな?」

「それでも良いし、購買で色々と買えるから、そこで買ってもいいわよ」

「購買があるの?」

 好奇心と嬉しさに、夏月の表情が華やぐ。

「えぇ、行ったことないの?」

「うん!」

 嬉しそうに夏月は答える。

「分かったわ。それなら、放課後行きましょう」

「ありがとう!」

 嬉しそうに礼を述べた後、夏月の表情が曇る。アリーチェとノンノはその顔を覗き込んだ。

「どうしよう……僕、お金持ってない……。しづきちゃんから貰ってくるから、ちょっと待ってて貰ってもいい?」

 ねだるような上目遣いで、夏月はアリーチェを見た。

「お金は必要ないから大丈夫よ」

 その言葉に、不思議そうに夏月は小首を傾げる。

「ここでは、お金は必要ないの」

「そうなの?」

「えぇ、生活に必要なものはすべて用意されるわ。娯楽も、ある程度なら許可が出るわ」

「ある程度?」

「さすがに、場所を取るものや高額なものはダメというのが多いけど、大抵は大丈夫よ」

「そうなんだ」

 場所を取るものとか高額なものとはなにかを考えるが、夏月には思い浮かぶものは一つもなかった。

「じゃあ、プリンをいっぱい食べたいのは大丈夫だったんだ」

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