twelve
「分かったなら、夏月も早く準備しないと朝食に間に合わなくなるけど?」
朝食という言葉に反応し、夏月は急いで準備を始めた。
夏月は、机の上に置かれた小型のタブレットのようなものを見つめながら、首を傾げた。一郎に渡された、バトル用のデバイスである。今の授業はこのデバイスについての説明であるが、何を言われているのかまるで理解できていなかった。後で、姉の秋月に聞けば大丈夫と思い、夏月は昼食のことを考え出す。食事は、色々な国から生徒が集まっているからなんか、バラエティーに飛んでいた。とりあえず、夏月たちには、その時によって和食や洋食、中華などが振る舞われた。食事に制限のある国の生徒も、それぞれにかたまり食べられるものを出されていた。前の日にリクエストすれば、その時に出されるメニューからも選べると知り、食事時間がとても楽しみになったのだ。
色々と妄想をしていると、ふと、教師のある言葉が耳に入ってきた。
「みなさん、これで自分の神様を確認出来ましたね?」
その問いに、生徒たちは次々と答えていく。中には操作が分からずに困っている生徒もおり、教師が直接操作を教えに行っていた。
「ねえ、これで自分の神様って分かるの?」
隣のアリーチェに尋ねるが、必死の形相でデバイスとにらみ合っており、夏月の言葉は届いて居ないようだ。しばらくアリーチェの様子を見ていたが、これはダメだと思い教師に聞こうと教室内を見渡す。遠くの席で、使い方を教えている姿が目に入り、それが終わるのを待つことにした。教師は、教壇へと戻っていた。
「このデバイスを使うことにより、バトルフィール内限定ですが、魔法を使うことができます」
「魔法?」
思わず、夏月が疑問を口にする。同じように周囲でも疑問が沸いていた。
「僕、魔法少女? になるの?」
そう呟きながら自分のデバイスを見る。未だに使い方がよく分からないそれを、夏月は静かに触れる。すぐにデバイスの画面が光った。ゆっくりと光が収まると画面には文字やアイコンが描かれている。適当にその中のアイコンに触れた。すぐに画面が切り替わり別の画面が現れた。だが、これがどういう使い方をするのか全く分からない。
「やっぱり、後でしづきちゃんに聞いた方がいいかな……」
未だに必死になって画面を見ているアリーチェを見た。
「ねぇ、後で一緒にしづきちゃんに教えて貰おう?」