six
その言葉に、秋月は夏月を通り越しアリーチェへと視線を向ける。
「すみません。ありがとうございます」
丁寧に礼を述べる秋月に、アリーチェの頬が朱に染まった。
「あ、いえ……」
女子だけの園に、華やかの彩りを添えるような秋月は、周囲の注目の的であった。あまり、異性との接触がなかったアリーチェも周囲の女子と同じように秋月に目を奪われる。
「すみません。お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
秋月はアリーチェに向かって話しかけたつもりであったが、すぐに周囲の女子が集まり返事をする。夏月はその様子に特に驚くこともなく、昼食を待っていた。
「ありがとうございます」
爽やかな笑みを浮かべ、秋月は周囲の女子へ礼を述べる。
「なんですか?」
「なんでも聞いてください!」
女子たちは、まるで自分をアピールするかのように問いを口にする。
「それでは、今回のバトルって、何が目的なのでしょうか?」
詳細を知らせれていないため、疑問ばかりである。それらを解消するため、情報収集を試みる。秋月の問いに、周囲からたくさんの答えが返ってきた。それらを総合すると、神様と呼ばれる存在の覇権争いなのだということが分かった。本気でそれらが争えば深刻な事態になることから、このような方法が取られている。
「それから、バトルというのはどのように行われるのでしょうか?」
秋月は、昼食が始まるまでの間だ色々な疑問を投げかけた。周囲の女子たちは、喜んでそれらの質問に答えてくれる。今まで、何度も一郎に求めても分からなかった詳細を知ることが出来た。確かに、一郎の言うとおり中で詳細を知ることが出来た。特に、そこまで隠し立てするようなことでも無いと思うのだが、なぜ、あそこまで話そうとしなかったのかが謎である。
やがて、昼食が運ばれると女子たちはそれぞれの席に戻る。
「お兄さーん、担当者から何も聞いてないの?」
日本仏教の蓮華が尋ねる。
「姉です」
「そうなんだけどぉー」
男性と間違われるのを嫌う秋月は、無表情に答えた。
「夏月の担当の方からは、何も伺っていません。中で話を伺えるとのことでしたが、未だ分からないことだらけです」