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世紀末とボク?  作者: さくら
16/134

three

「き、気軽に話しかけてこないでよね。敵同士なんだから!」

 そう言いながら、少女は顔ごと視線を逸らした。

「ごめんなさい……」

 言われてみればそうなのだと思い、落ち込みながら謝罪を告げる。

「べ、別に謝る事じゃないし」

 そう言いながら、少女は夏月に視線を戻した。見るからに肩を落とし落ち込む姿が視界に入ってきた。

「アリーチェよ」

「アリーチェちゃん。あの、僕、話しかけないように頑張るから……」

「べ、別に話しかけるぐらいいいわよ」

「いいの? ありがとう」

 今度は嬉しそうな夏月の笑顔が、アリーチェの視界に入る。

「あなた、日本人?」

「夏月だよ。えっとね。日本人とアメリカ人。両親の仕事の都合でアメリカに居たんだけど、学校に入るからって日本に来たんだ」

「所属はどっちなの?」

「所属?」

 アリーチェの問いに、夏月は考え始める。考えるが、意味が分からず答えが出てこない。

「すみません。まだ、どちらとは決めていないんです」

 秋月が助け船を出す。

「貴女の神は、それを良しとしたの?」

 アリーチェの問いに、夏月は再び考え込む。そういえば、自分が代理を務める神は何なのかと考えるが、どんなに考えても浮かばない。

「しづきちゃん。僕の神様って何?」

 秋月に視線を移し、そう尋ねた。

「聞いていない」

 何度か一郎に尋ねたが、その度にはぐらかされていたのだ。

「ごめんなさい。分かんないみたい……」

 アリーチェに視線を戻し、夏月が答える。すぐに、あきれたような顔を返された。

「なに? あんた、自分の神様知らないの? ちょーウケるんですけど」

 蓮華が夏月を指さして笑う。

「しかも、今時、ぼくっ娘だし。マジウケルー」

「深大寺さん。もうすぐ食事なのでお静かに願います」

 蓮華の横から、咲耶が窘める。

「はーい」

 目の前に並べられていく料理を見つめながら、蓮華がふざけた感じで返事をした。

「そういえば、みなさんは自分の神様をご存じなのですか?」

 秋月が尋ねる。

「はいはい!うち、日本仏教」

 秋月に向かって勢いよく手を上げて蓮華が答えた。

「うち、家が寺だしさ。まーしょうがないよねって感じ?」

「日本神道です。深大寺さんと同じく、家が神社です」

「……アイヌ」

 最後にぽつりとノンノが答えた。

「アリーチェちゃんは?」

「我が神は、主イエス・キリストただ一人」

 アリーチェは再び胸の前で両手を組み、祈りを捧げる体勢を取った。

「みなさん、ご存じなのですね」


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