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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

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農業の町、フォーリウム

 都市を出た竜車は、エリア沿いの道に入る。

 大きく長い山を横に、竜車が進んで行く。

 その場所に、セシルは心当たりがある。


「ここって、拠点の町の道ですか?」


「そうだよ。その道の横に畑地帯があって、そこに学校があるんだよ。」


「馬や小竜の研修の一つに、実際に仕事を体験するっていうのがあるんですよ。」


 実際に職場を経験させて、仕事の練習をさせる為だ。

 なので、畑の近くに学校を建てるのは合理的という事だ。

 セシルが質問をする。


「そういえば、ウルフの研修ってどうなるんでしょう。」


「さぁ、どうだろうねぇ。それより酔わない? 大丈夫?」


「まぁ、いつもはもっと揺れるんで。」


「それもそうだね。あはは。」


 話を逸らされた。

 何か隠しているのだろうか。

 すると、いきなり竜車が止まった。

 外を見ると、ギルドの職員がこっちに来ていた。


「すいません。ここから先は許可証がいるんですよ。ありますか?」


「それならありますよ。」


 竜車の操縦者が許可証を見せる。

 それを受け取った職員が判子を押した。

 それを、操縦者に帰す。


「はい。確認しました。どうぞ、お通り下さい。」


 再び、竜車が走り出した。

 検問をしているらしい。

 セシルが質問した。


「検問? 何かあったんですか?」


「そういえば、こっちの道から来てないんですよね。まぁ、ただの調査だから安心して良いですよ。」


「何かあったんですか?」


「君達が倒した漆黒竜に関係することだよ。ガーネリヤによると、一直線で荒れ地から下りてきた。って。だから、警備と共に足跡の捜索らしいよ。」


「警備ですか。でも、もういないから安心ですよね。」


 警備と聞いたら不安になるだろう。

 でも、もうその漆黒竜はいない。

 だから、怯える必要はない。

 しかし、トーパが否定した。


「ところがどっこい。危険はまだあるのだよ。」


「えっ。どうしてですか?」


「君達が倒したコングの王の事は覚えてるかい?」


「自分がハンターになりたての時のですね。」


「そう。そのコングの王も荒れ地の森から来た奴さ。つまり、他にも来ていないか足跡を調べているという訳だね。」


 調べている足跡は、漆黒竜のものじゃない。

 足跡を調べて、知らないのがあれば他にもいるという事だ。

 トーパが、続ける。


「ただし、追えるのは地上を歩いている奴のみ。空を飛ばれていたらどうしようもないのだよ。」


「その時は?」


「周りの環境の変化を調べる。だよ。それしか手がかりがないからね。」


 大型が紛れ込んだのなら、必ず環境に影響を与える。

 その環境の変化で判断するしか無いのだ。

 そんな話をしていると、竜車が大きく右へ曲がる。

 拠点の町までの道を外れて進んで行く。

 すると、ウルフの子がセシルの膝の上に。


「ふふっ。仲が良いですね。」


「飽きたのかな? じゃあこのおもちゃで遊ぼうか。」


 トーパが懐から出した紐をウルフの子の前に。

 それをくわえたのを確認すると引っ張り始めた。

 ウルフの子も抵抗して引っ張る。


「なんとなくやってましたけど。これに、なんの意味が?」


「顎の力を鍛えるためだよ。ウルフにとって顎は大事だからね。顎が弱いと食事にありつけないのだよ。」


 獲物を取るときや肉を引きちぎる為だ。

 顎の力は生きるのにとても大切なのだ。

 トーパが紐を、セシルに渡す。


「ほれ、セシル君も。これもまた交流だよ。」


「やってみますね。」


 ウルフの子と紐を引っ張り合うセシル。

 ウルフの子は、紐が伸び縮みするのが楽しいのかずっと紐を見ながら引っ張っている。

 セシルもリズムをつけたりして紐を引っ張る。


「ほら、これでどうだっ。」


 セシルが勢い良く引っ張ると、首を何度も動かして引っ張る。

 段々、セシルも乗ってきたようだ。

 すると、前の席からパシャりと音が。

 

「こっちは気にしないでね。」


「いつもの事だから無視をした方がいいよ。すぐ慣れるから。」


「昨日、忘れた事が悔しかったから、今日はちゃんと持ってきたんだよ。」


 そう言って、更に数枚の写真を取っていくトーパ。

 ウルフの子は、一瞬見たけどすぐに紐へ意識を戻す。

 すると、アメッサが外を見る。


「もうそろそろですね。外を見てみて下さい。」


 アメッサに促されて外を見るセシル。

 今は、草が所々にあるだけの地面。

 その先を見ると、一面の畑が見えた。

 その前の柵の前で止まった。

 柵の所にいる門番が声をかけてきた。


「通行料金をお願いします。」


「通行許可証で。」


「確認しました。どうぞ。」


 両開きの木の門が開いた。

 その門を竜車が通る。

 畑の中に敷かれた、大きな道を進んで行く。

 その広さにセシルが驚いた。


「凄い、奥まで続いてる。」


「そりゃあ、この国のほとんどのを、まかなっているぐらいだしね。元々は、農業ギルドが担当してたんだけど、大きくなって手がつけれないって。」


「だから、町を作ってまとめて管理しているんですよ。学校もその町にあるんです。」


 これだけあると、ただの一組織では賄えない。

 人数もそうとう必要になるだろう

 なので町を作ったのだ。

 つまり、この辺り一面が町の管轄でありギルドの管轄となる。

 すると、目の前に大きな壁が見えてきたのにセシルが気づいた。


「あれが町ですか?」


「そうですよ。農業ギルドの町、フォーリウム。到着ですね。」


 真っ直ぐ進んで門の前へ。

 列にならんで順番を待つ。

 今回は、専用口からでは無いため長い列の方へ。

 セシルが列を覗きこむ。


「いっぱいいますね。」


「そりゃあそうだよ。なにせ、この国の台所と言われているからね。」


「じゃあ、この場所に漆黒竜が来たらこの国から食べ物が無くなってたんですね。」


「考えたくはないけどねー。でも考えないといけないのが私達のお仕事。もし漆黒竜が来てたら、七割ぐらいの食事が無くなってたね。」


 食べ物を直接荒らされていたら、その分減るのは当然だ。

 セシル達の知らない所で、国規模の食料不足になっていたかもしれないのだ。

 そして、竜車が門の中へ。


「許可証を提示して下さい。」


「どうぞ。」


 許可証を門番へ。

 受け取って確認。

 すると、門番の態度が変わった。


「おっ、いつもご贔屓に。今日は取引ですかい?」


「いえ、滞在です。」


「そうですかい。では、ごゆっくりしてってなぁ。」


 許可を得て門の中へ。

 親しげな門番が見送ってくれる。

 セシルが疑問を持つ。


「知り合いですか?」


「いいや。でもよく利用するからね。いつの間にか、ここのギルドに知られてるんだよ。」


「あと、スピナがここに協力したりしてますから。」


「そうそう。この季節は雨が多いぞー、とか。そっちに嵐が向かってるぞー、とか。その縁で私達も優遇してもらっているんだよ。」


 知り合いだからと、色々歓迎されているのだろう。

 同僚、様様だ。

 竜車は、町の中を走っていく。

 トーパが周りを眺める。


「相変わらず、良い町だねぇ。」


「そうだね、後でお店を回ろうか。」


 すっかり観光気分の二人。

 町は木で出来た三階建ての大きな建物が多い。

 そして、道はレンガで作られている。

 その道を真っ直ぐ進んだ先に、更に大きな建物がある。

 見つけたトーパが言う。


「あっ、見えた。そろそろ着くから準備してね。」


 竜車が、その建物の敷地内へ。

 すると、職員らしき人が建物の前へ。

 その職員の前で、竜車が止まった。

 トーパが竜車の扉を開いて降りた。


「ついたー。疲れたー。」


「はいはい。目立つから静かにね。セシル君も降りてください。」


「はい。おいで。」


 ウルフの子を連れて竜車から降りるセシル。

 その際、竜車の壁に手をついた時にぴりっと痛みが走った。


「いたっ。」


「どうしたの?」


「今、手に痛みが。」


 手を見るが、傷はない。

 しかし、本当に痛みが走ったのだ。

 トーパが説明する。


「静電気だね。でも、もう暖かいのに。」


「気をつけてください。最近多いんです。」


「へぇ、そうなんだぁ。ふーん。」


 職員が言った事に、トーパが興味を持っている。

 その職員が、お辞儀をした。


「ようこそ。我が学校へ。お待ちしておりました。」


「いやはや、お待たせしてすみませんねぇ。って事で、私は竜車をしまうから、二人と一匹をよろしくね。」


「分かりました。ご案内します。」


「じゃあ。後でねー。」


 職員が、アメッサとセシルとウルフの子を連れて学校の中へ。

 トーパがそれを見送った。

 そんなトーパに、操縦者が言った。


「あの、竜車をしまうのなら。私が。」


「ふぅ。いえ、私がこっちに来た本題の事ですわ。セシル君がいる場所では言えないんです。」

 

 そう言って、髪を上げて留め具で止めたトーパ。

 そして、竜車の通信機の受話器を取る。

 番号を押してしばらく待つと受話器から声が。

 その声はエメリナだ。


『はい。エメリナです。』


「エメリナ。私です。トーパです。いきなりですが当たりました。アリアを呼んでください。」


『それじゃあ、まさか。』


「えぇ。まさか、本題の方が先に来るとは思いませんでしたわ。グレンチームの出撃を要請いたします。」


『分かったわ。あなたは、そのまま見張りをしてて。』


「えぇ。では。」


 通信機を切ったトーパ。

 竜車から出て空を見る。

 気づいたのは、セシルが感じた静電気。

 素人からするとただの静電気だけど。


「間違いなく自然に出来た静電気ではない。」


 研究者の目は欺けない。

農業ギルドの本社的な奴です。

農業とは言っても漁業とかもまとめてやっています。

ちなみに、基本的な施設は町の外にあります。

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