ウルフの子と再会
都市の研究所に到着。
中に入って、獣を呼ぶエメリナ。
研究所の中から助手の獣達が出てきた。
その獣達に指示を出す。
「サンプルを運ぶ準備をして頂戴。」
研究所の中から、台車が出てきた。
神獣の皮膚片を、獣達が荷車から移していく。
そして、ガーネリヤに指示を出す。
「皮膚片の付着物の採取、材質の鑑定は、あなたが先導して。」
「分かっている。だけど、付着物に関しては、海で流れていないかが心配だね。」
「そうね。でも、やるしかないわ。」
研究所内に運ばれていく皮膚片の後を追って二人も入る。
この後の事は、専門家に任せるしか無いだろう。
竜車から降りたアリアも後を言う。
「じゃあ、私も行くわ。しばらくチームから離脱するからよろしくね。」
「分かった。なら、我々はギルドと連携して、周辺の警護に当たる。」
「よろしくね。それと。」
「ウルフの子の事。ですなぁ。」
「そうね。って、しれっと混ざらないで頂戴。」
突然会話に混ざって来たのはトーパだ。
知らぬ間に近づいていたようだ。
トーパが挨拶をする。
「やぁやぁ、久しぶりですなぁ。自分だけ作戦から外されていて、寂しい思いをしていたトーパだよ。でも、それはここまで。これからは、ジャンジャン協力するからねぇ。」
「あなたが来たという事は、鎧が出来たという事ね。」
「先にそっちですかな? しばらく会わない間に冷たくなりましたなぁ。でも、その通り。大竜の鱗で作った鎧、完成したよ。」
紐で束ねたそれを、アリアに渡す。
それは、間違いなく全身を守る強固な鎧。
ずしりとするそれを見るアリア。
「流石ね。これなら大抵の攻撃を防ぐでしょうね。」
「凄いのは、大竜の鎧なんだよ。加工するのに手こずったんだな。」
鎧を加工する為には、その強固な鱗を切断する必要がある。
手こずるのは、当然の事だろう。
それでも、強力な鎧が出来たのは事実。
「これがあれば戦闘の幅が広がるでしょうね。カリネ、任せれる?」
「ほいほーい。何でもござれのカリネだよ。管理は任せて。」
アリアから鎧を受け取るカリネ。
早速紐を解いて確認する。
すると、グレンに提案を出すアリア。
「リーダーここで解散しましょう。」
「そうだな。コガラキ、頼んだ。」
コガラキがアリアの代わりに前座に座る。
そんなトーパは、セシルを呼ぶ。
「セシル君。話があるから君は残ってて。」
分かりましたと、竜車から降りるセシル。
そして、竜車が倉庫へと向かう。
それを見送ったトーパは、懐から何かを取り出した。
「あぁ、そうだ。君達が倒した大蛇の皮から作ったサイフだよ。」
「いらないわ。」
「えぇっ!? 金運が上昇するんだよっ? じょうぶなんだよ?」
「学者にそんなオカルトが通用するとでも? いいからしまいなさい。」
「折角いっぱい作ったのに。まぁ、私も全く信じてないけど。必要になったらいつでも言ってね。」
即答で拒否されたサイフを懐に戻すトーパ。
代わりに、印のある布を取り出した。
それを、アリアに渡す。
「んで。こっちが本題。」
「ウルフの子に着ける許可証ね。」
「そうだよ。君達の名前を出したらあっさり通っちゃった。信頼されているんだねぇ。」
グレン達の名前は、ギルドに知れ渡っているようだ。
グレン達なら問題ない、そう判断したんだろう。
渡された布上の物を確認する。
「これがあれば、自由にウルフの子を出歩かせるわね。これは、セシルが持っていて。」
「は、はい。でも、何で自分が?」
「気の許した相手じゃないと、着けさせてくれないものだからね。」
アリアがセシルに布を渡す。
それを見るセシル。
わっかに繋げれる所を見ると、首にかける物だろう。
トーパが解説する。
「それを着けるのを許すという事は、まさに信頼の証って訳だね。」
「でも、着けさせてくれるでしょうか。」
「大丈夫だよ。あの子。君が来ないかと、よく扉を見ているんだよ。それに、自分もついてるからね。」
「それじゃあ、あなたが担当するの?」
「そうだよ。エメリナに任されてるんだ。この子は、これからの作戦に必要になるって。」
ウルフの子に関する事は、トーパが監督してくれるという事らしい。
それにしても、作戦に必要になるとはどういう事なのか。
アリアが説明する。
「エメリナと言うより、ガーネリヤの案でしょうね。皮膚片を回収する準備を済ませていたから、そんな事だろうとは思ったけど。」
「つまりどういう事ですか?」
「全力でバックアップしてくれるという事よ。」
セシルの疑問にアリアが答える。
ウルフの子がどうしても必要だという事だ。
その為、ウルフの子の教育をしっかりしておきたいのだろう。
トーパが肯定する。
「その通り。ほんとセシル君が受け入れてくれて助かったよ。あの子はこれからの作戦の要だからね。」
「あのウルフの子がですか?」
「そうだよ。ガーネリヤによるとだけど。」
「どうせ、私達がサンプルを得る事も知ってたんでしょうね。」
アリアが答える。
ここまでの事は、予測して動いてたのだろう。
すると、研究所から否定の声が。
「いいや、君達を信頼してただけだよ。もちろん、最初は自分達でどうにかするつもりだったさ。それよりも、早く来てくれないか? 人手が足りない。」
「そうね。トーパ、後は頼んだわよ。」
「任されたよ。じゃあ、行ってらっしゃい。」
ガーネリヤにつれられて研究所に戻るアリア。
残されたのは、トーパとセシル。
「それじゃあ、あの子の所に行こうか。」
「はい。」
歩きだしたトーパの後をついていくセシル。
目指すは、アメッサの医療室付き馬車。
その扉を開くトーパ。
「アメッサいる? セシル君つれて来たよ。」
「あ、こんにちは。待ってましたよ。」
馬車の中からアメッサの声が聞こえる。
それと共に、ワンと鳴き声。
アメッサが慌てる。
「あっちょっ。安静にしてーっ。」
ガタガタと大騒ぎ。
直ぐに静かになる。
アメッサの息を吐くのが聞こえる。
「どうぞ。中に入って下さい。」
「お邪魔しまーす。」
そこには、アメッサと、アメッサに抱えられているウルフの子がいた。
ウルフの子は、舌を出して嬉しそうに尻尾を振っている。
セシルが、ウルフの子の体調を聞く。
「怪我はどうですか?」
「うん。もう少しだよ。学校までには糸を抜けると思うけど。」
「まぁ、これで私達も動けると言うものだよ。」
流石にまだのようだ。
でも、もう少しという事は、大体治っているはずだ。
そうなれば、とうとう学校だ。
「というわけで、君達の面倒を見る事になったトーパだよ。」
「補佐のアメッサでず。」
先程から言っていた通り、トーパが面倒を見るようだ。
アメッサは、その手伝いだろうか。
頼れる相手が二人いるのは心強い。
「ちなみに、入学の申請はしてあるよ。」
「アリアから聞いて直ぐにしておいたんです。向こうにも連絡が行っていたので直ぐに出来ました。」
教授が連絡をしてくれていたのだろう。
それで、上手く事が進んだようだ。
トーパが説明する。
「だから、それまでに正しい飼い方とかをレクチャーしておくよ。学校で習うのは、指示とかその辺だしね。」
「ウルフを飼うなんて初めてですから。そこの所はきちんとしておかないと。」
「じゃあ、早速レッスン一だよ。」
トーパは、ニヤリと笑った。
入学に向けての特訓が始まる。
学校といっても教習所よりです。
自動車学校的なやつですね。




