現れた神獣。
海竜を追う一同。
すると、大ワニが森の中に向かった。
グレンが焦る。
「くそっ。海から離れてくぞ。」
「大丈夫だ。弱らせれば、勝手に戻る。」
海のハンターが説明した。
結局やる事は変わらない。
すると、密林の方から悲鳴が聞こえる。
「なんだっ、こいつは。」
「くそっ。竜車がっ。」
大ワニが逃げ込んだ方から聞こえてくる。
誰かが襲われたのだろうか。
アリアが言う。
「確か、第二陣のハンターのルートの一つだったわね。急ぎましょう。」
「あぁ、持ちこたえてくれよ。」
大ワニが上がった場所に到達。
ルートを変えて、密林の中へ。
奥からは戦う声が聞こえる。
「くそっ。こいつ、速いぞ。」
「近づけねぇ。」
グレン達が追いついた。
すぐさま、竜車から飛び降りた。
倒れているハンターに、噛みつこうと襲いかかる。
その横の顔に、グレンが大剣を叩きつけた。
もろに、顔に受けた大ワニが転がった。
ハンターの前に立つグレン。
「俺達が対処する。下がれ。」
「任せたっ。お前ら、引けぇっ。」
仲間のハンターと共に木に隠れる。
それと同時に大ワニが立ち上がった。
グレンと向かい合う。
「尻尾に気をつけろっ。」
「噛みつきじゃ無いのか?」
「その後だ、近寄った相手を尻尾で吹き飛ばす。速いぞ。」
「気をつけよう。情報感謝する。」
大ワニが飛び込んできた。
グレンに噛みつこうと口を開く。
それを、横に避けるグレン。
さらに、遠くへと飛び込んだ。
そこに尻尾が通過する。
「言ってた通りか。」
やはり、尻尾が来た。
少しでも遅れていたら、吹き飛ばされていただろう。
勢いも早さも凄い。
しかし、そんな大技、もちろん大きな隙が出来る。
「それを待ってたんよ。」
「後隙、ばっちし。」
シルファとユーリアが胴体の皮を斬る。
皮膚ごと斬ったのか血が流れる。
「まだまだぁっ。」
さらに、エリクが横を槍で突いた。
そのまま押し上げひっくり返す。
その上に乗った、シルファとユーリアが剣を突き刺した。
横に引き、傷を裂いて開く。
「おっと、危ないんよ。」
「知ってる。」
回転する様にひっくり返る大ワニ。
上にいた二人は、振り落とされる。
口を開いて威嚇する。
「来るっ。」
「っ。」
二人に向かって飛びかかった。
迫る口を回避する。
さらに、尻尾が迫る。
「邪魔なら切り落とせばいい。」
前に出たグレンが、尻尾に合わせて大剣を振る。
両手でしっかり握って叩きつける。
尻尾と大剣の押し合いが始まる。
「うるぁっ。」
大剣が尻尾を裂いていく。
さらに、力を込めるグレン。
とうとう、尻尾を切り裂いた。
「よっしゃあ、ナイスだリーダー。」
「このまま攻めるんよ。」
「続くっ。」
大ワニは、勢いで転がっている。
シルファとユーリアが、お腹をさらに斬る。
エリクが槍で首を突き刺す。
大ワニの裏側は、一面血で染まっている。
「くっ。起き上がるぞっ。」
首を押さえきれず、槍を離してしまう。
解放された大ワニが、起き上がる。
シルファとユーリアは、離脱しているので無事だ。
「しぶといんよ。」
「だが息が上がってやがる。」
「もう少し。」
しかし、向きを変える大ワニ。
そのまま、海に向かって走り出した。
逃げたのだ。
すなわち、弱ったのだろう。
「海のハンターのおっさんの言う通りだな。」
「どうする?」
「向こうで何とかしてくれるだろう。追う必要はない。」
元々、海に戻すのがグレン達の目的。
それに、グレン達にもやる事がある。
もうそろそろ、作戦も次の段階に来ている頃だろう。
竜車へと戻るハント組。
すると、大ワニに襲われたハンター達が寄ってきた。
「あんたらすげぇんだな。さすが、先陣を任されるだけはあるな。」
「いや、情報をくれたお陰だ。それより傷は無いか?」
「傷は無い。でも、あちこちが痛む。尻尾をもろに受けたからな。これじゃあ、次の作戦に参加できねぇ。」
体が痛めば武器も振れない。
このあとは、群れを抑える役目の筈だ。
捌ききれずに、やられてしまうだろう。
そんなハンター達に、カリネが声をかける。
「要するに、痛みが引けば良いんだよね? ほい、これどうぞ。」
竜車から降りたカリネが、瓶を渡していく。
例の特性ドリンクだ。
受け取ったハンターがそれを見る。
「何なんだ、この液体。」
「痛みを誤魔化してくれる液体だよ。」
「それ飲んだら後の酔いがヤバイから注意な。」
「酒みたいなもんか? 酒は得意だ。ありがたく頂こう。」
エリクの忠告に、むしろ興味を持ったようだ。
ふたを開けて飲む、ハンター達。
すると、顔を歪めて息を吐いた。
「甘ぇ。何が入ってんだ。あれ、痛みを感じねぇぞ。」
「リーダー俺もだ。これすげぇよ。」
「味は酷いが、疲れも無い。」
残りのハンター達も、効果には満足なようだ。
痛かった場所を押さえて確認する。
瓶を回収したカリネが忠告する。
「言っとくけど、誤魔化してるだけだからね。無理はしないように。」
「あぁ、分かってる。恩に着るぞ。」
動けるだけでも充分なのだろう。
次の作戦に向けて、自分達の竜車に戻っていった。
一部壊れてはいるが問題なさそうだ。
その直後だった。
ざばぁぁん。
大きな水しぶきの音。
海の方から聞こえる。
コガラキが叫んだ。
「津波が来るっす。竜車の影に隠れるっす。」
その言葉に一同が動いた。
竜車を盾にするように隠れる。
向こうも、同じようにしているようだ。
コガラキが滑り込んだ直後、密林に水の塊が落ちた。
「なんだこりゃあ。」
「竜車が押されるんよ。」
「何とか押さえろっ。」
「きついっ。」
ハント組が、竜車を抑える。
偵察組も、それに混ざる。
なおも、竜車は押される。
「小竜達、頑張って。」
アリアの励ましに、小竜もぶもーと踏ん張っている。
水が収まるまで押さえ続ける。
しばらくすると、水が収まった。
「ふはぁ。やばかった。」
「死ぬかと思ったんよ。」
エリクとシルファが、濡れた地面に座った。
津波を耐えきったのだから無理もない。
どうやら向こうも耐えたようだ。
次が来ないか、確認するグレン。
「もう来ないようだな。一体何だったんだ。」
「何って、神獣が現れたんでしょ。」
「とうとうか。」
へばっているアリアが、竜車の中から出て説明した。
竜車の中から押していたのだろう。
大きな津波を引き起こせるのは、大きな力が働いたから。
そんな力を起こせるのは、神獣しかいない。
すると、通信機が鳴った。
ボタンを押すと、ガーネリヤの声が流れる。
『アリア。無事か?』
「死にかけたけど大丈夫。そっちは?」
『こっちも大丈夫だ。こんな事もあろうかと用意しておいた物が役立った。本来の使い方とは違うけどね。という事で、作戦続行だ。持ち場についてくれ。』
「分かったわ。」
通信機を切ったアリア。
それを聞いていた一同が竜車に乗り込む。
アリアも前座に座って、竜車を動かす。
「急ぎましょう。自走船を守っていた第三陣も、もう来ているはずだわ。」
密林を抜けると同時に、他の竜車が入ってきた。
ここからは、三つの陣を一つにして、密林の各地に配置する。
海を見ると、長い首が水面から出ている。
「やっぱりね。さっき津波は、首を出した時の勢いで発生したものね。」
「首を出しただけであれか、すさまじいな。」
グレンが感心している。
その凄まじいのが、少しずつこっちに迫っている。
しかし、人間側も負けてはいない。
片方に大きな壁を立てている数台の自走船が海岸に現れる。
一列に並ぶよう海岸に配置されていく。
シルファが、自走船の壁に気づいた。
「あの壁は何なんよ?」
「あれは、バネが仕込まれた壁よ。小物から大物まで、あらゆる存在の突進を跳ね返すの。今回は、津波対策に使ったのね。」
「対策はばっちりって事か。」
エリクが言った通り対策は充分。
津波を押さえてしまえる程に強力だ。
生き物ぐらいならはね飛ばせる。
先程では無いにしろ、神獣が歩く度に波は起こる。
だから、しっかり防いでくれるだろう。
アリアが続ける。
「後は、ガーネリヤとエメリナに任せましょう。私達は、来た道を戻るわ。」
この場所では、グレン達の出番はない。
後は任せて密林に入る。
次の段階に向けて、準備を進める。
津波を耐えたのは、大体グレンと小竜のお蔭です。
小竜を飼っていないお家の人は、素早く高台へ避難しましょう。




