表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/166

強力な援軍。

「リーダー!」


 セシルに呼ばれたグレンが、そっちを見た。

 ラックを離して、指示を出す。


「今の内に下がりなさい。」


「は、はい。」


 セシルのいる方へ下がるラック。

 ふらついているが、何とか歩けるようだ。

 すると、背後で大とかげが立ち上がる音。

 千切れた舌を伸ばして、グレンを襲う。


「そんなに斬られたいか。」


 振り向くと同時に、舌を掴むグレン。

 強く引っ張ると、片手で大剣を叩き込んだ。

 舌が更に千切れた。


「まだまだっ。」


 大剣を両手で掴み直すと、大とかげの顔に叩き込んだ。

 さらに、懐に飛び込み、足に一撃を当ててよろめかせる。

 体が傾いたのを確認すると、一回転して勢いをつけ、飛びこむように叩き込んだ。

 その衝撃を胴体に受けた大とかげが、横に吹き飛んだ。

 それでも立ち上がる。


「手早く済ませたい。とっとと来い。」


 煽りを受けたからなのか、グレンに突っ込む大とかげ。

 それに対して、後ろに大剣を構えるグレン。

 直撃する直前に回避。

 その際、首に向かって斬り上げた。

 またまた横に吹き飛ぶ大とかげ。

 首からは、大量の血が流れている。


「とどめだっ。」


 飛び込むように、首に大剣を叩き込んだ。

 首から血が溢れると、動かなくなった。

 目を覗き込んで、死を確かめるグレン。

 無事、死んでいるようだ。

 大剣をしまい、セシルと合流する。


「怪我は無いか?」


「はい、大丈夫です。でも。」


 後ろを見るセシル。

 倒れている同期が呻いている。

 隣でも、ラックが足を押さえている。


「皆を守れませんでした。」


「弱かったから負けた。それだけだ。」


 セシルに教えるグレン。

 自然相手に言い訳なんて通用しない。

 誰か一人が、何て事も無い。

 結果だけが残る世界なのだ。


「そう、ですね。でも、守れるようになりたいです。」


「なら、強くなればいい。方法ならいくらでもあるからな。自分に合うのを探していけばいいさ。」 


 力が無くても出来る事はある。

 方法次第で誰でも強くなれるのだ。

 それを聞いていたラックが呟いた。


「自分に合った、か。」


 その言葉は、誰にも届かない。

 自分のあり方を考えているのだ。

 そんな話をしていると、広間に竜車が入って来た。

 グレン達の近くで止まった。


「無事、済んだようね。ギルドにも伝えておいたわ。さぁ、怪我人を竜車に運んで頂戴。」


 セシルとグレンで、怪我人を竜車に運んでいく。

 地面にしいた布に、寝かせていく。

 最後に、ラックを運んだ。

 まだ、足を痛そうにしている。

 アリアが気づいた。


「あなた、足が炎症しているわね。カリネ、治療薬を足にかけてあげて。」


「はいよ。」


 薬品棚から薬を出すと、ラックの足にかける。

 痛みが収まったのか、足を抑えなくなった。

 アリアが説明する。


「生き物の中には、酸の唾液を持ったのがいるわ。気を付けなさい。」


 そう言って、前座に戻るアリア。

 カリネが階段を上げると、竜車が出発した。

 森を抜けて、平野を進む。

 その間、セシルが質問をする。


「そう言えば、どうして来たんですか?」


「今までの情報を見て気づいたからよ。資料には、子供の群れが何度か確認されている。でも、大鼠の親が子供をけしかける事はありえないのよ。じゃあ誰が。要するに、親じゃない誰かがけしかけているって事。しかも、親よりも強いのが、ね。」


「でも、どうやってここの場所が分かったんです?」


「相手の狙いは大鼠の巣。なら、この辺りの巣の情報、群れが来た順番から次の狙いを計算したのよ。そしたら、案の定群れの死体が転がっていたからやっぱりって。」


 たったそれだけで、全ての答えを導き出したのだ。

 セシル達は、群れがいるから親がいる。

 全ては親のせいだ、としか分からなかった。

 しばらく平野を進んでいると、ギルドの竜車が見えたのでそばで止まる。

 職員に話しかけるアリア。


「負傷者救助。もう引き上げて良いわよ。」


「皆は、大丈夫か?」


 セシル達と同じチームに割り振られていたハンターが聞いた。

 事情は知っているようだ。

 アリアが答える。


「大丈夫よ。それより、情報ありがとうね。群れの情報が無かったら遅れてたわ。」


「その為に、戻って来たからな。役目をこなせて良かった。」


 そう言うと、ギルドの竜車の中に入っていく。

 ギルドの職員に別れを告げて竜車を走らせる。

 それから、すぐに町についた。

 門の前で、複数の馬車と白衣の人達が待っていた。

 その中の一人が、目の前で止まった竜車に近づいた。


「ギルドマスターから、怪我人の報告がありました。間違いないですか?」


「えぇ、後ろに乗せているわ。運んで頂戴。」


 白衣の人達が、階段から中に入る。

 一人一人を、外に運んで馬車に移していく。

 セシル以外のメンバーが運ばれた。

 移し終えた馬車から、町に入っていく。

 ギルドマスターから通信が来た。


『報告が来たぞ。休暇中に済まなかったな。』


「全くよ。大鼠の生態、ちゃんと覚えなさいよ。」


『すまない。群れ同士でなんかあったという認識しか無かったんだ。』


「少しは論文読んで勉強しなさい。それじゃあ、事件も解決って事で帰るわね。」

 

 元凶を討伐したのだから解決したと言うことだろう。

 後のしまつは、ギルドに任せれば良い。

 別れを告げて通信機を切った。

 そして、竜車を走らせ門を潜った。

 特に用事も無いので、そのまま拠点へと戻る。

 竜車をしまうと、グレンが皆に言った。


「今日は解散だ。今度こそ休めよ。」


「そうね、研究所に報告したらすぐに休むわよ。」


「私も休もうかな。試作品も上手くいったし、しっかり寝て完成させたい。」


 三人はもう限界のようだ。

 ゆっくりするつもりが、大変な事態に巻き込まれたのだ。

 無駄に体力を使って、疲れたのだろう。

 その場で解散して、それぞれ別れる。

 拠点に戻ったセシルは、部屋に向かう。

 すぐさま、ベッドに倒れこんだ。


(疲れた。)


 セシルも限界だ。

 無理をして行ったのだ。

 あんなことに巻き込まれてしまったせいで、溜まっていた疲れがあふれたのだろう。

 体を脱力させ、ベッドに体を委ねる。

 そして、目を閉じる。

 それだけで、眠りに入るには充分だった。



 数時間後、セシルが目を覚ました。

 空が暗い。

 早くに寝たのだから仕方がない。

 でも、日は変わっているだろう。

 真っ先に感じたのは空腹だった。


「お腹がすいた。でも、まだどこも開いてないだろうな。そういえば。」


 棚の引き出しを開けて瓶を取り出した。

 町をぶらついた時に買ったものだ。

 保存食のため、安心して食べられる。

 空腹を誤魔化したセシルは、服を着替えた。

 昨日から着たまんまだ。

 すると、脱いだ服から札が落ちた。


「そういえば返してない。ついでに皆に会いに行くか。」


 札を見て、皆を思い出したのだ。

 共に戦った、同期達が心配だ。

 でもまだ、病院も開いてないだろう。

 また寝る気にも慣れず、ボウガンの練習所へと向かった。


(もっと上手くなりたい。)


 練習用のボウガンを取って撃っていく。

 何度も何度も繰り返し撃っていく。

 以前よりも、上手くなった自信はある。

 昨日のグレンの言葉を思い出す。


「自分に出来る事か。」


 自分に出来る事を考えながら、ボウガンを撃っていく。

 強くなるために。

 それから、どれくらいたっただろうか。

 空が明るくなった。

 椅子に座って休んでいるセシル。


「さて、日課を済ますか。」


 休暇とは言っても、日課は欠かせない。

 運動をして、ユーリアと小竜の世話をする。

 その際、ユーリアに指摘された。


「なんか、悩んでるね。」


「分かります?」


「顔に出てる。」


 顔に出るほど、悩んでいたようだ。

 しかし、どちらかというと悩んでいる訳ではない。

 セシルが答えた。


「別に暗い話では無いですよ。そろそろ、自分に合った戦い方を見つけたいんですよ。」


「次のステップ。だね。」


 どこが駄目とかではなく、どうしたいだ。

 ユーリアの言う通り、次の段階に進みたいのだ。

 参考として、ユーリアに聞いた。


「そういえば、変わった武器使って増すよね。どうしてです?」


「女だから力が足りなかった。」


「えっ。」


 ユーリアの背中を見た。

 重い籠を、軽々と持っている。

 少なくとも、一般男性よりは力があるだろう。

 視線に気づくも、無視をして続けるユーリア。


「効率を考えたら、拳を振り下ろすのが良いってなった。」


「な、なるほど。」


 一番、攻撃力があるのを考えて選んだのだろう。

 武器の工夫次第で、足りないものを補えるのだ。

 そんな話をしながらも、小竜の世話を終える。

 拠点を出て、病院へ向かう。

 場所は、ギルドハウスに行く時に見えていたから分かる。


(そろそろ、この町の事も分かってきたな。)


 見慣れた道を歩いて行くと、病院へとついた。

 もう昼も近いので、起きているだろう。

 中に入って、受け付けに聞いた。


「すみません。昨日、この病院にハンターが数人運ばれたと思うんですけど。」


「お見舞いですか? 昼までにお願いしますね。」


 慣れているのか、簡潔に説明して引っ込んだ。

 まずは、近い姉妹の病室に向かった。

 ノックをすると、中から返事が来たので中へと入る。

 まず、ルイが声をかけてきた。


「やっほー。お見舞い? ありがとね。」


「迷惑をかけてすまないな。私達は大丈夫だ。」


「親に怒られたけどね。」


 娘が危険な事をしたから心配して怒ったのだろう。

 何だか、いつもより元気がない。

 スイが言った。


「それよりも、ルイが私の朝食のフルーツを奪ったのがな。」


「手をつけなかったから食べただけじゃん。」


「後でゆっくり食べるつもりだったのだ。」


 どうやら気のせいのようだった。

 今日も元気に喧嘩している。 

 そんな二人に別れを告げて次の病室へ。

 病室に近づくと、話し声が聞こえた。

 先程と同じくノックをすると、中から返事が来たので中へと入る。

 そこには、男性チームの四人がいた。

 セシルに気づいたナイルが言った。


「おぅ、セシルか。聞いてくれよ、シェルが俺のイビキがうるさいって。」


「本当の事を言ったまでだ。」


「まぁ、うるさいって知ってたけど、一緒に寝るまで忘れていたよ。」


「ちょっ、ラックまでっ。」


 そういいながらも、二人は笑っている。

 ナイルも、つられて笑った。

 ペータがセシルに謝る。


「うるさくしてすまないな。まぁ、こんな感じで元気にしてるよ。」


「おっと、見舞いに来てくれたんだったな。ありがとな。」


 ナイルがセシルに礼を言った。

 しばらくして、四人は黙った。

 ナイルがセシルに言った。


「昨日はすまなかった。勝手に巻き込んで危ないことさせて。」


「ついていったのは自分だよ。四人の考えが正しいって思ったからついていった。だから、気にしないで良いよ。」


「いや、元はと言えば俺が周りも見ずに行動したからだ。」


 申し訳なさそうに頭を下げた。

 でも、セシルは気にしていない。

 続いてペータが言った。


「実は俺達、一からやり直そうってなってな。」


「昨日は、セシルがいなかったら俺達は死んでいたからな。」


 シェルがそう言った。

 力不足を感じているようだ。

 ナイルが続ける。


「あぁ、あれぐらい俺達も出来ねぇとなって。」


「うん。もっと、戦略の幅を広げたいんだ。」


「そんな訳だから、まず、自分に出来る事は何かって話しあっているんだ。」


 セシルと同じだ。

 自分に出来る事を模索している。

 その会話を聞いて、セシルはある判断をした。

 そんなセシルに、ナイルが言った。


「そんな訳で、これからもよろしくな。」


 その言葉を最後に、四人と別れた。

 病院を出たセシルは、自分に出来る事をする為に研究所へと向かった。

セシルの同期の話は、セシルの成長のきっかけの為に書きました。

あと、グレン達のヤバさを伝えるのもありますが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ