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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

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82/166

群れの強襲。

「よっしゃあ、何とかなったな。」


 最後の一匹を倒したナイルが叫んだ。

 あれだけいたのを、被害無しに倒せたのだ。

 他のメンバーも喜んでいる。


「ペータとラックの作戦がはまったな。」


「確かに、上手くいって良かったよ。」


「そうだね。それに上手くいったのは、皆が頑張ったおかげだよ。」 


 男性チームのメンバーで健闘を称えあっている。

 実際、壁という大変な役目をこなせていた。

 そして、貢献したのは彼らだけではない。


「あんたらもありがとな。」


「当然の事をしたまでだ。」


 協力してくれた、他のハンター達に礼を言うナイル。

 彼らの協力で、壁が丈夫になったのは事実。

 姉妹とセシルも合流する。


「やぁ、お疲れ。」


「おぅ、あんたらもお疲れ。相変わらずのすげぇ連携だな。」


「君達が食い止めてくれたお陰だよ。」


「そうそう、無茶苦茶やりやすかったよ。」


 姉妹がそう答える。

 中に入り込んだ数は、丁度二人で相手が出来る量だった。

 壁の皆が、調整していたのだ。

 そんな皆に、申し訳なさそうに言うセシル。


「自分は何も出来なかったんだけど。」


「何言ってんだ。後衛を守るのが俺達の役目だ。ちゃんと役目を果たせたって事だ。」


「ペータの言う通りっ。それに、獲物を取られちゃたまんねぇしな。」


 ペータとナイルが、セシルを励ました。

 とにかく、敵を倒せたのは事実だ。

 ラックが皆に提案する。


「そろそろ次行こうよ。」


「だな。このまま俺達で、全部やっつけちゃおうぜ。」


 まだ、始まったばかり。

 いつまでも立ち止まっている訳にはいかないのだ。

 しかし、シェルがそれを止める。


「待て、物音がする。」


「何も聞こえないけど。」


 ルイがシェルに合わせて耳をすませる。

 しかし、何も聞こえない。

 シェルには何か聞こえているようだ。

 ナイルが、シェルを支持する。


「こいつ、耳が良いから間違いねぇよ。で、何が聞こえんだ?」


「足音、沢山の、こっちに来る。」


 その言葉に一同は警戒する。

 周囲を見渡し、それにそなえる。

 すると、その答えが一同の前に現れた。

 ルイが叫ぶ。


「あっ、群れが来る。大鼠の子供の群れだよ。」


 ルイが指を指した方を見た一同も、それを確認する。

 そこには、先程よりも沢山の数の群れがこちらに向かって来ている。

 一同は、慌てて陣形を立て直す。

 ペータが叫んだ。


「何だよあの数っ。」


「さっきよりも多いなっ。行けそうか?」


「当然っ。」


 スイに言われると、当たり前のように返すナイル。

 ナイルとペータを先頭に、群れを迎え撃つ。

 群れを押さえ込むが、多勢に無勢。

 沢山の数が中に入り込む。


「くそっ、悪いっ、そっち行った。」


「何とかしよう。ルイ。」


「分かってるよ。」


 しかし、とにかく数が多い。

 姉妹も対処しきれない。

 動きが硬直したスイに一匹が迫るが。


「させないっ。」


 セシルがそれを撃ち抜いた。

 更にもう一匹。

 姉妹が対処できないのを撃ち抜いていく。


「良し。これならっ。」


「スイ姉っ。速度をあげるよ。」


 速さを増した二人が、群れを減らしていく。

 そして、姉妹が戦えるようセシルが調整する。

 壁役も、押されながらも耐えているようだ。

 先頭にいる二人が、群れに負けじと斬っていく。


「ちっ、しつけぇなぁ。」


「数は減っている。耐えるんだっ。」


 ペータの言う通り、数は減っている。

 半分以上は減っただろう。

 その時を、セシルが狙っていた。

 ポーチから玉を取り出して、群れに投げつけた。

 地面についた玉から煙が出る。


「セシルか? 何だこれは。」


「目眩ましか?」


 先頭の二人が、煙を見ている。

 すると、煙に包まれた群れの一部が散らばった。

 シェルがその煙の臭いに気づいた。


「これは、薬品の臭いか。」


「なるほど、この臭いで逃げた訳か。」


 ペータが、セシルの目的を理解した。

 セシルが投げたのは、嗅覚が鋭い生き物が不快になる臭い。

 人間には通じないが、大抵の獣には有効だ。

 煙が晴れると、そこには背中を見せて散らばる群れ。

 ペータが叫んだ。


「よしっ、陣形をやめて攻めるぞっ。」


「待ってましたっ。」


 ナイルが真っ先に飛び出した。

 他のメンバーも、続いて群れを襲う。

 あっという間に追い付いて斬っていく。


「逃げる奴らに遅れをとるかよっ。」


「全員が逃げている訳じゃないんだから、調子に乗らないでねっ。」


 ナイルをラックが制す。

 大体は逃げているが、そのうちの数匹は向かってくる。

 手ごわい相手なのは、間違いが無いのだ。

 散らばるっているのを、男性メンバーで斬っていく。

 一方、多く集まっている場所を攻める姉妹。


「ルイっ、まとめて斬るぞっ。」


「わかっているよっ。スイ姉っ。」


 二人ゆえに手数が多い為、素早く数を減らせるのだ。

 そうして数が減っていき、全ての大鼠の子供が全滅したのであった。

 最後の一匹を斬ったナイルが、地面に寝転んだ。


「くはぁ、きつかった。まじで。」


「ほんとだよ。セシルがいなかったらどうなっていたか。」


 ラックも同意する。

 ナイルの周りに、皆が集まってきた。

 あの煙が巻かれてから、攻勢が逆転したのだ。

 ボウガンをしまっているセシルに感謝をするナイル。


「本当に助かった。ありがとな。ていうか、あるなら早く使ってくれよ。」


「あの場合だと無理だったんだよ。頭が良い仲間の人によると、興奮した相手には効かないって。あくまで、戦意を失いかけている相手にしか効かないらしいよ。」


「へー。セシルの仲間が言うならそうなんだろうな。」


 エリア奪還の時に使った臭いだ。

 アリア曰く、意識を誘導する為の物であり、興奮して頭が回っていない相手には聞かないとのこと。

 ナイルが耳をすませているシェルに聞いた。

 

「シェル。どうだ? 他にはいないか?」


「音はない。問題はないだろう。」


 淡々と答えるシェル。

 もう群れはいないようだ。

 そもそも、何故群れが来たのか。

 群れが来た場所を見たナイルが言った。


「もしかしてよ。この先に親がいるんじゃないか?」


「確かに、親がいてもおかしくは無いけど。」


 ラックが同意する。

 子供が来たという事は、巣があるという事だ。

 巣があるのなら親もいるはずだ。

 楽しそうにナイルが言う。


「じゃあさ、俺達で倒しちまおうぜ。」


「えっ、無理に決まってるでしょ。」


 いきなりの提案を慌てて否定するラック。

 親は、そこらの小物とは違うのだ。

 ペータもラックに同意する。


「ラックの言う通りだ。大鼠は、大物の部類。大物と戦った事がない俺達には、荷が重い。素直にギルドに報告して、後は任せよう。」


「私もそれが良いと思う。」


 スイも、ギルドに任せる派に同意する。

 大物を狩るのは、腕利きに任せる方がいい。

 しかし、ナイルは引き下がらない。


「大物っつったって、雑魚の方だろ? それに、戦った事が無いって言うんなら、一生戦えねぇだろ。折角のチャンス何だぜ? 頼むっ。」


 必死にお願いをするナイルに、ペータは悩む。

 どうあっても行きたいようだ。

 こうなると、全く引かないのを知っているのだ。

 ラックが会話に割り込んだ。


「もしかしたら、こっちに来るかも知れないよ? 早く逃げた方が良いよ。」


「だったら、尚更俺達でどうにかしないとだろ? もし無理だったら、ちゃんと逃げるからよ。」


「本当に逃げるんだな?」


「あぁ、約束する。」


 黙って考えるペータ。

 本当なら行くべきでは無い。

 でも、ナイルの言う通りな所もある。


「対処が遅れたら襲われてしまう。途中で強襲されれば、ひとたまりもない。という事か。」


「そう言われてみれば、情報を持ち帰るまでに全滅したら意味がないよね。」


 情報を伝えれなければ、ギルドの対処が遅れてしまうだろう。

 その為にも、確実に情報を伝えなければいけない。

 ラックが情報をまとめる。


「情報を伝えないといけない。でも、途中で襲われるといけない。」


「その両方をこなすしか無くなるわけだな。」


「そうなると、二つのグループに別れるべきなんだけど。」


「戦力が減ると言う事だね。」 


 スイが断言する。

 また同じ事が起きないとも限らない。

 そうなると、対処が難しくなるだろう。

 ペータが溜め息をついて決断する。


「仕方ない。ここは逃げるべきだけど、ナイルの言う通り親をどうにかしないといけない。」


「おっ。さすがペータ。」


「だけど、あくまで足止めが目的だ。いいな? シェルはどうだ?」


「お前達に任せる。」


 調子に乗り始めたナイルに、釘を刺すペータ。

 計らずしも、ナイルの意見が通ったのだ。

 ペータは、話を聞いていた他のハンターに提案した。


「そういうことだ。これはこっちが決めた事。あんた達に危ない事をさせるつもりはない。だから、ギルドに親の情報を伝えてくれないか?」


「分かった。引き受けよう。」


「姉妹とセシルもだ。逃げてくれても構わない。」


 今回の計画は、男性チームで決めた事だ。

 姉妹やセシルには関係ない話だ。

 ルイがスイに聞いた。


「だってさ。どうする? スイ姉。」


「正直帰るべきだけど、向こうの言う事も正しい。それに、ほおっておく訳にはいかないからな。」


 スイは悩んでいる。

 ほっといて、死なれる訳にはいかない。

 それに、足止めなら多い方が良い。

 スイが提案する。


「私達も行こう。ただし、無理はしない。それで良いな。」


「あぁ、ナイルが無理を言うようなら引っ張っていく。約束する。セシルはどうだ?」


「自分も戦うよ。」


 セシルも、姉妹と同じ考えだ。

 それに、皆が行くのに自分がいかない訳にはいかない。

 何だかペータは、ほっとしているようだ。


「そうか、セシルが来るなら安心だな。サポートは頼んだよ。」


「さっきみたいなの、期待しているぜ。」


 ナイルが言う。

 ともあれ、やるべき事は決まった。

 早速、行動に移す。

 情報を伝える役の他のハンターと別れて先へ進む。

 ナイルが先頭に出る。


「よっしゃ、大物との初めての戦闘だ。楽しみだぜ。」


「言っておくけど、深入りはするなよ。」


「何度も言わなくても分かってるって。」


 楽しそうなナイルを呆れた目で見るペータ。

 それを気にもせず、ナイルはどんどん進んでいく。

臭い玉は、煙が少ない分、効果が少ないです。

びびっている相手に、やべって思わせるだけです。

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