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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

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同期と初めての行動

 翌日、いつもの行程を終える。

 準備をしようと、カリネの作業場に行くとグレンがいた。

 カリネと何か話していたようだ。

 入ってきたセシルに気づいた。


「ん? セシルか。準備に来たのか?」


「はい、待ち合わせているので道具を取りに。」


「そうか、遊撃隊だったな。まだ、疲れは取れてないんだから、無理するなよ。」


「はい。頑張ります。」


 そう言って、セシルの気を使うグレン。

 正直、だるさはあるが影響は無さそうだ。

 そんなセシルに、ポーチを渡すカリネ。


「はい、これ。ちなみに私も行くからね。」


「仕事ですか?」


「違うよ? 実験が出来るって聞いてね。」


「いや、そんな事は言って無いんだがな。という訳でどうしても来たいと。」


 カリネの説明を補足するグレン。

 マイペースなカリネに呆れているようだ。

 その様子を見ていたセシルも、苦笑いしながらポーチを腰に付ける。

 ボウガンと防具も着け、準備が出来た。

 セシルにカリネが声をかけた。


「ちなみにそのボウガンの矢、ちょっぴり重くしたのもいれてあるから、間違いないようにしてね。」


 ふと、ポーチを見るセシル。

 その中の一本を取る。

 確かに、いつもより重い感じがする。

 更に、カリネが言う。


「良かったら、後で感想を聞かせてね。」


「試して無いんですね。」


「時間が無かったからね。でも、計算上ギリいけるはずだよ。」


 計算上、ギり、良く分からない事を言っている。

 カリネに聞くセシル。


「えぇと、どういうことですか?」


「つまり、真っ直ぐ飛ぶ限界の重さって事。いけるか分からないから試してみてね。」


「そういう事なら、協力しますよ。」


 重ければ良いという訳では無いのだろう。

 いつも世話になっているし、これぐらい協力しても良いだろう。

 そう思うセシルであった。

 そして、約束の時間が来る。


「あっ、そろそろ時間だ。じゃあ行きますね。」


「おぅ、頑張れよ。」


 二人に別れを告げて作業場を後にする。

 そのまま拠点を出て、ギルドハウスを目指す。

 ずしりとした重さが気になるセシル。


(ポーチとボウガンを着けて町中を歩く事が無いから気になるかな。)


 いつもと違うと、気分も変わる。

 それも楽しみだと納得する事にしたセシルであった。

 そうしながらも、ギルドハウスの前についたセシル。

 姉妹がセシルを迎え入れた。


「やぁ、早かったね。」


「二人の方が早いけどね。」


「私達は、親の手伝いをしてたからね。早く終わったから、先に来て待ってたんだよ。」


 そう説明する妹のルイ。

 どうやら、ずっと前からハウスには来てたようだ。

 早くにいるのも頷ける。

 セシルが姉妹に聞いた。


「手伝いって何をしているの?」


「今度、親が行く場所の計画をしていてね。」


「私達も護衛で行くことになってね。さっきまで会議に参加してたんだ。」


 昨日、姉妹の親はここの職員だと言っていた。

 姉妹が参加するのも親が関係しているのだろう。

 そんな話をしている内に四人組も来た。

 三人を見つけたナイルが悔しそうにしている。


「なんだ、俺達で最後かよ。急いだんだけどな。」


「いや、ナイルが寝坊したからでしょ。」


「何度も起こしたのに起きなかったのはお前だ。」


 ラックとシェルがナイルに怒っている。

 そう指摘され気まずそうに謝るナイル。

 二人にこづかれている。

 そんな三人をよそに、ペータがセシル達に近づいて頭を軽く下げる。


「そんな訳だ。待たせてしまってすまない。」


「いや、ちゃんと時間通りだよ。私達が早く来ただけだ。」


「自分も今来たばかりなんで問題無いです。」


 素直にそう言うと、朗らかに微笑むペータ。

 迷惑をかけた事を気にしているのだろう。

 後ろで騒いでいる仲間を見たペータが言った。


「迷惑かも知れないが、その時はいつでもいってくれよ。」


「そうかい? 楽しそうだと思うけど。」


「はい、自分もそう思います。」


 スイとセシルがそう答えた。

 これは、二人の本音だ。

 実際、セシルは羨ましいと思っている。

 すると、ラックがペータに不満げに言った。


「迷惑の中に僕もいれてない?」


「連帯責任だよ。まぁ、そちらが良いのならありがたく甘えさせて貰うよ。」


 流石の兄さん肌。

 仲間が周りに与える影響も考えているのだ。

 残りの三人も加わり挨拶をかわす。

 すると、ギルドハウスの中から声が聞こえた。


「遊撃隊の希望の皆様。受け付けに来てください。」


「おっと。俺達も行こうか。」


「そうだね、行こう。」


 ペータとスイの提案で、建物の中に入って受け付けに。

 列に並んで順番を待つ。

 その間、ナイルが質問をした。


「この後どうするんだ?」


「ギルドの竜車に乗って現場まで行くらしい。親に聞いたから間違いないよ。」


「そうそう、チームに分けられて割り振られた場所に行くんだよ。」


 親から得た情報を話す姉妹。

 つまり、ここから直接運ばれるのだろう。

 しばらく待っていると、セシル達の順番が来た。

 皆で同じ欄に名前を書く。

 職員が確認すると、同じ色の札を持たされた。


「外に出たら、これと同じ色の布がかかっている竜車がある。そこに乗り込んでくれ。」


 返事を返した一同は、札をしまってギルドハウスを出る。

 すると、そこには入る前に無かった竜車が数台並んでいる。

 竜車の後ろには、色がついた布がかかっている。

 自分達と同じ色の布がかかった竜車に駆け出したナイル。


「おーい。とっとと乗り込もうぜ。」


「そうだね、私達も行こうよ。」


 ルイも竜車に駆け出した。

 真っ先に乗り込んだナイルの後をついて一同が乗り込んだ。

 竜車の中は、長いソファが向かい合って並んでいる。

 ナイルが勢い良く、一番奥のソファに座った。


「さすが、ギルドの竜車。ソファ完備とかすげぇな。」


「あまりはしゃぐなよ。でも、確かにな。」


 ナイルを注意したペータも、何だかんだ楽しんでいる。

 四人の男性チームが片方に座った。

 なので、姉妹とセシルがその向かいに座る事になった。

 皆が座ると、ラックが話を切り出した。


「今の内に作戦を立てとこうよ。」


「賛成っ。もちろん俺達が先陣をきるって事で。」


 ナイルが提案する。

 とにかく戦いたくて仕方ないようだ。

 しかし、ペータが否定する。


「いや、相手の数は多いと聞く。俺達は二手に分かれて左右から攻めよう。」


「そうだね。囲まれないように左右の確保が大事になって来るはずだよ。」


「俺も、それで構わない。」


 ペータの提案にラックとシェルも同意する。

 囲まれてしまえば、全方向から襲われてしまう。

 そうなると、飛び道具のセシルには対処が出来ない。

 しかし、ナイルは納得がいかないようだ。


「それならよ、まとめてやりゃあ良いんじゃね?」


「無理だよ。数に囲まれると何も出来ないんだ。」


「まぁ、ラックがそう言うなら。」


 ラックがすぐに否定した。

 数匹に飛び付かれると、身動きなんて全く出来ずに潰されてしまう。

 しぶしぶ納得するナイル。

 すると、スイが質問した。


「私達はどうすればいい?」


「俺達壁の中でうち漏らしを倒してくれ。セシルは、二人の援護だ。」


 分かった、と返事をする三人。

 作戦が決まったようだ。

 気づけば、他のハンターも乗っている。

 すると、職員が竜車に入ってきた。

 自分達も合わせて十五人ぐらいか。


「点呼を行う。渡された札を見せてくれ。」


 竜車にいるハンター全員が札を出す。

 それを数えた職員がメモを取ると、竜車から出ていった。

 その代わりに、別の職員が前座に座る。

 しばらくすると、先程の職員が戻ってきた。


「では、出発する。目的まで一直線だ。準備はいいな?」


 職員に返事をする者はいない。

 ここにいるのは、皆ハンターだ。

 準備を完璧にしているのは当然だ。

 並んでいた竜車が順番に走り出した。

 道すがら、ペータが質問した。


「そういえば、皆短剣なんだよな。セシルは違うけど。他の武器にはしないのか?」


「私達は、これがあっている。動きやすい方が連携が取りやすい。」


「そうだよ。しかも、私達の短剣細いんだよ。威力より軽量化を優先させたんだ。」


 スイの説明を補足したルイが短剣を少し抜いて見せてくれる。

 光る短剣が顔を覗かせる。

 その細さはナイフより少し太いぐらい。

 ラックが興味深そうに見ている。


「折れたりしないの?」


「今の所はね。でも、メンテは大変なんだよ。」


「そうだね、傷がついていないかを毎回見ないといけないんだ。まぁ、武器を触るのは好きだから良いんだけどね。」


 姉妹がそう答える。

 この光り具合から相当な手入れをしているのが分かる。

 それからしばらくすると、竜車が止まった。

 門についたのだろう。

 まとめて手続きを済ますと門を抜けた。

 すると、竜車は全速力で走り出した。


「うおっ。はえぇな。」


「確か、草食の竜車は速いって聞いたけど。」


 外を見るナイルにラックが答えた。

 二人は初めてのようだ。

 いや、他の二人も見ている。

 外の景色を堪能している。

 しかし、二人はそうでもないようだ。

 セシルが聞いた。


「二人は興味ないの?」


「私達は、ギルドの竜車でこの町に来たからね。」


「親が職員の特権ってやつだよ。だから、もう慣れちゃった。」

 

 姉妹がそう答える。

 草食の竜車の速さの楽しさを知るのは、初めての時だけなのだ。

 それは、セシルも同じだ。


「なんか慣れちゃうよね。これが普通って。」


「そうだね。」


「まぁ、景色を見るのは楽しいんだけどね。」


 竜車を楽しんでいると、速度が落ちていく。

 そして、そのまま止まる。

 すると、職員が扉を開ける。


「目的についたぞ。お前ら、降りろー。」


「ここか? 随分静かだけど。」


「そりゃあ、敵の前に降りる訳にはいかないからだろ。」


「それぐらい知ってるよ。ただ、鳴き声ぐらいなら、聞こえねぇかと思っただけだよ。」


 やり取りをしながら降りるナイルとラック。

 その後をついて、一同が降りた。

 職員が説明をする。


「この先、数百メートルぐらいに大鼠の子供が群れているはずだ。お前達にはそれを見てきて、確認したら倒して欲しい。じゃあ、早速向かってくれ。」


 ハンター一同が歩き出した。

 指示された場所に向かっていく。

 その先には何もいない。

 ナイルが愚痴を言う。


「本当にいるのかよ。」


「まだまだ先だと思う。」


「マジかよ。あぁ、早く戦いたいぜ。」


 スイが答える。

 戦いたくてうずうずしているナイル。

 何もない景色の中、ただひたすら歩いていく。

 すると、いきなり地面が動いた。

 ラックが叫んだ。

 

「下がってっ。」


 どんどん動く範囲が増えていく。

 それに合わせて一同も下がる。

 その直後、土の中から大量の大鼠の子供が現れた。

 ナイルが前に出る。


「よっしゃあ、行くぜっ。」


「ナイル。」


「分かってらぁ、左右を守んだろっ。」


 ナイルとラック。ペータとシェルに別れて迎え撃つ。

 その間に、スイ、ルイ、セシルが入る。

 土から出た大鼠の子供は、ハンター達を見て襲いかかってきた。


「おらぁ。」


 ナイルが、迫ってくる群れの一匹に短剣を刺した。

 それを期に他の三人も斬っていく。

 他のハンターも、参加する。


「なるほど。助太刀する。」


「助かる。」


 ペータが礼を言った。

 とにかく、囲まれるのを避けるのだ。

 更に、数匹が土から出る。

 数は二十ぐらいか。

 そのうちの何匹かが、姉妹に迫る。


「スイ姉っ。」


「あぁ、負けてられんな。」


 スイが一匹を斬る。

 そこに迫る一匹をルイが斬る。

 そこに迫る一匹をスイが斬る。

 交互に入れ替わりながら、数匹斬っていく。

 更に三匹。

 

「真ん中は任せたっ。」


 声に出したという事は、二人ではない誰かに。

 左右を姉妹が斬ると、真ん中はボウガンで貫かれて死んだ。


「ナイスだっ。」


 セシルと姉妹はこぶしをぶつけて成功を祝う。

 そして、全ての大鼠の子供が倒れた。



 一方その頃。

 アリアとカリネが、竜車の中で寛いでいる。

 グレンは、外で警戒中。

 場所は、他のハンターと交代した配置場所。

 ギルドマスターもいる。


「寛いでるなぁ。」


「休暇中に引っ張り出されたもの。これぐらいわね。」


 壁に持たれながら、貰ったメモを捲るアリア。

 大鼠の子供の騒動についての情報が書いてある。

 そばでは、カリネが兵器を拭いている。


「まだかなぁ。」


 うきうきなカリネ。

 その様子を見ているギルドマスターが呆れている。

 

「もう少し緊張をもって欲しいんだけどな。」


「無理ね。」


 速答するアリア。

 更に捲ると指が止まる。

 捲ったメモを戻して、そこをじっと見る。

 その直後、がばっと起き上がる。

 いきなりの事で、驚いたギルドマスターが聞いた。


「どうしたんだ?」


 答えない。

 しばらく黙ると口を開いた。


「群れが別々に来てるのね。」


「そうだが。」


 答えるギルドマスター。

 その答えを聞いたアリアが勢い良く立ち上がった。

 前座に座るとグレンを呼ぶ。


「リーダー乗って。」


「何かあったのか?」


「事情は途中で説明するわ。早く。」


 言われた通り、急いで竜車に乗り込むグレン。

 ギルドマスターは、焦っている。

 前座に周り、アリアに聞いた。


「どうするつもりだ。」


「話は後で。行くわ。」


「エンジンは必要で?」


 カリネが聞くと、アリアがお願いと答える。

 そして、竜車が走り出した。

 残されたギルドマスターが呟いた。


「なんだってんだ。」


 竜車はどんどん離れていく。

大鼠の子供の大きさは膝ぐらい。

囲んでくっついて押し潰してきます。

その間、身動きは出来ません。

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