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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

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はるか昔のお話

 研究所に入ると、教授が生徒に指示を出していた。

 セシルとアリアが挨拶をするとこちらに気づいた。

 二人に挨拶を返す。


「お帰り。そして、いらっしゃい。今回は長く離れていたわね。」


「少し事情がありまして。それで、話があるんです。」


 アリアがそう切り出した。

 早速、例の件を聞くのだろう。

 長くなりそうだと察知した教授が提案する。


「立ち話も何だから移動しない? 私の部屋に行きましょう。」


「分かりました。」


 助手にしばらく離れると伝えた教授は、自分の部屋へと歩き出す。

 二人もその後についていく。

 目指すは前回行った教授の専用の部屋。

 扉を開けた教授に促され部屋に入る。


「どうぞ、ソファに座ってね。」


 ソファに促されたのでアリアと並んで座った。

 最後に部屋に入った教授は、何かの器具に火をつけた。

 そして、取り出したカップに何かを入れていく。

 一通り終えると、二人の前に座った。


「教授、学校時代のチームの皆に会いました。元気そうでした。」


「あら、そうなの? 元気なら良かったわ。いえ、あなた達の場合、元気な方が問題なのかしらね。」


 口を抑えて軽く笑う教授。

 教授もそういう認識らしい。

 そこで、教授が疑問を持つ。


「ということは、都市に行ったのね。でもどうして?」


「私達が追っていた件で、現地に向かったら巨大な生き物に遭遇したんです。それの件で協力をして貰いに行ったんです。」

 

「巨大な生き物。ね。」


 話を聞いた教授は、巨大な生き物という点が気になっているようだ。

 やはり、何かを知っているのだろうか。

 アリアが続けて話す。


「それを聞いた時に、教授が昔していた話を思い出したんです。何か、関係があるんじゃないかと思い聞きました。」


「そうね。確かに巨大な生き物は、はるか昔、人間というものが誕生したと言われる、はるか昔に確認されているわね。」


 席を立った教授は、棚に向かって歩き出す。

 棚を調べて本を探している。

 それと同時に、水が沸いた音が部屋に響いた。

 教授がアリアにお願いをする。


「アリア、お茶を入れて頂戴。約束を通り良いお茶を用意しておいたのよ。」


 分かりましたと、用意されていたカップにお湯をそそぐアリア。

 その間に本を探している。

 しばらくすると、一冊の本を取り出した。

 本を持って席に戻る。


「気に入ってくれると良いんだけどねぇ。」


 席に座ると、本を机においた。

 同時に、アリアもカップを置いていく。

 本題の前に教授がお茶を飲む。


「心を落ち着かせるお茶よ。新人のハンターってね心が壊れやすいの。少しでも休めて貰えたら幸いだわ。」


「では、いただきます。」


 セシルもお茶を飲む。

 すると、体の底に貯まっていた何かが抜けていくのが分かる。

 それだけじゃなく、体も溶けてしまいそうな程の脱力感に襲われる。

 セシルも、気づかぬ内に疲れを貯めていたのだろう。

 教授に感想を伝えるセシル。


「美味しいです。それに、何だかふわふわした感じがします。」


「それだけ疲れが貯まっていたということよ。慣れてない新人が経験してはいけない事ばかり起こったもの。無理も無いわ。良く頑張ったわね。」


 そう言って、セシルを誉めるアリア。

 確かに、普通なら心が壊れても仕方がない事ばかり起こった。

 だけど、自分の頑張りだけでは無い事をセシルは知っている。


「皆さんのおかげですよ。皆さんの頑張る姿に自分も突き動かされているだけなので。」


 いつも前に立って戦ってくれる皆のおかげでセシルも動けた。

 この人達がいれば大丈夫、と思うだけで勇気が湧いたのだ。

 そんなセシルを、教授も誉める。


「しばらく見ない間に大変な思いをしたのね。でも大丈夫。それを乗り越える度にハンターは強くなるの。お茶、満足したようで何よりだわ。さて、落ち着いた事だし本題に入りましょうか。」


 そう言いながら、机の本を開いて二人に見せる。

 そこには、ある挿し絵があった。

 巨大な生き物を囲む人のような物達。


「アリアは、この大地を作ったのが巨大な生き物が関係している。と、思ったのよね? さすが正解だわ。この大地は巨大な生き物によって作られたの。」


「やっぱりそうだったんですね。そんな事が出来るのは巨大な何かしかないもの。」


 予想通りだったからかアリアは動じていない。

 教授が話を続ける。


「この世界は、マグマで覆われていた。陸も水もない。ただ、巨大な生き物の汗を除いてわ。」


「その汗で地面が固まったと?」


「その説が濃厚と言うことだけよ。その時はまだ人間がいなかったもの。証人がいないから本当の所は分からない。ただ、何かしらの方法でマグマが固まったのは事実ね。」


 原因はどうあれ、マグマが固まったという事が起きたのは事実のようだ。

 それが、大地の始まり。

 教授が話を続ける。


「固まったマグマを踏んで砕いて行った。そのおかげで、地面が柔らかくなっていったのよ。それで、どうなったと思う?」


「気温が下がって水が生まれた。」


「正解。」


 急に振られたのにも関わらず、直ぐに返すアリア。

 大体の話は、既に憶測していたのだろう。

 ただ、確信が欲しかったのだ。

 教授が更に続ける。


「水が生まれて海ができ、大地に植物が生まれた。そして、何処からか生き物が現れて人間が生まれた。」


「まだその辺りは、分かっていないですよね?」


「そうね。昔には沢山の巨大な生き物がいた。と、いう事ぐらいしか分かっていないわ。」


「えっ、沢山?」


 話を聞いていたセシルがつい口に出した。

 セシルは、巨大な生き物は一匹だと思っていたのだ。

 教授が疑問に答える。


「勿論。この広い大地を一匹で作るのは無理でしょうね。」


「この世界には沢山の大地があるの。各地で同じ事があったという事よ。」


 アリアも補足する。

 もう既に確信に至っているようだ。

 つまり、大地がある数だけ巨大な生き物がいたという事だ。

 教授が説明する。


「驚くのも仕方ないわ。でも滅んでいる安心して頂戴。って、言いたかったんだけどねぇ。」


「自分達が見ちゃったと。」


「そうね。生き残り、かしらねぇ。」


 悩む教授。

 本来なら、あり得ない事が起きたのだ。

 なぜ、滅んだ生物が存在しているのかが分からない。

 教授が話を戻す。


「ともあれ、巨大な生き物がこの世界を作ったのは事実ね。その一部を見た人間が、死体が土を作ったと記録をのこしている。」


「死体が大地を仕上げたのね。」


「そう、昔の人達はこの巨大な生き物の事を神獣と読んでいたらしいの。」


「神獣・・・ね。」 


 昔の人達は、神獣を崇めていたのだろう。

 それもそうだ、自分達が住める場所を作ったのだ。

 自分達の導き手と思うのも仕方ない。

 セシルが質問をする。


「神獣は、なにが目的なんですか?」


「目的なんて無いでしょうね。ただ、歩いているだけ。」


 巨大なだけで、ただの獣なのだ。

 そこには、何の思惑も無い。

 人間の事情も関係無い。

 セシルが不安を口にする。


「これからどうなるんでしょう。」


「それは、あなた達の方が詳しいんじゃないの?」


 教授の言う通り、直接被害を見たセシル達が一番知っている。

 沢山の死者が出た事件が起きたのだ。

 一刻も早くどうにかしないといけない。

 アリアが同意する。


「そうね、一刻も早くどうにかしないといけないわ。でも居場所が分からない。教授、何かヒントになる情報はありますか?」


「そうね、海によく潜っていたと記録が残っているわね。」


「海、そうよ。確かに向かった先に都市側の海があったはず。潜っていたなら見つからないのも仕方がないわ。早速エメリナに連絡しなきゃ。」


 急に立ち上がったアリア。

 直ぐ様、部屋から飛び出した。

 その姿に、教授はお茶を飲みながら呆れている。


「ああいう、そそっかしいところは変わらないわねぇ。迷惑かけてない?」

 

「頼りにしていますよ。凄い人です。」


「そうなの? まぁ、昔の仲間達の前でだけ見せてたから大丈夫かしらね。」


 それだけ、仲間を信頼している証拠なのだ。

 ひとまず、聞くべき事は終わったようだ。

 次はセシルの番だ。


「あのう。一つ聞きたい事があるんですけど。」


「何かしら?」


「実は、ウルフの原種の子供を拾ったんです。」


 教授は、目をぱちくりさせている。

 予想だにしない存在が出て、驚いているようだ。

 教授は聞き返す。


「ウルフの原種? それ本当なの?」


「はい、アリアさんが断言してました。それで、自分になついているらしいんですけど。」


「そうね。原種とはいっても、危険生物に指定されているものね。」


「はい。今は、エメリナさんが保護してくれていますが、何時までも置いとけないらしいです。でも、逃がしたら死ぬって、だから嫌なら自分が引き取るしかないと。」


 教授に事情を説明するセシル。

 子供だけで生きるのは不可能と言われている。

 だから、引き取って保護するしかないと。

 教授がセシルに聞く。


「どうすればいいか分からないのね。」


「はい、生き物を飼ったことがないので。」


「命を預かる事だものね。いきなり言われても分からないわよね。」


 簡単に決めて良いことではないとセシルは知っている。

 失敗すれば、死なせてしまうからだ。

 すると、教授はこほんと咳払いをした。


「それでは、特別授業を始めましょうか。」


「特別授業?」


 にこりと笑う教授。

 何だか楽しそうだ。

 教授直々の特別授業が始まる。


「生き物を飼うにあたって大事な物は何かしら?」


「ご飯ですか?」


 いきなり振られて、慌てて答えるセシル。

 とっさに思い浮かんだ、

 良かったのか、正解と笑いながら言った。


「それも大事よ。食べ物によっては毒になるのもあるの。あった食事を選ばないといけないわ。それと、体調を気にかける事。中には、具合が悪いのを隠す子がいるわ。」


「隠すんですか?」


「心配かけたく無いって教えないのよ。だから、ちゃんと見てあげなくてはいけないの。」


 アリアが小竜の体調を見ているのを思い出す。

 あれには、そういった意味があったのだろう。

 すると、二本の指を立てる教授。


「この二つが大事な事ね。それと、指示を教えるのも大事よ。伝えたい事が伝えれればスムーズにコミュニケーションが出来るわ。」


「指示ですか。でもどうやって教えるんですか?」


「それ専用の学校があるの。そもそも、生き物を飼うにはいく必要があるのよ。」


 周りに危害を与える可能性がある以上、きちんと教える事が大事なのだ。

 しかし、ウルフは危険生物だ。

 受け入れてくれるのだろうか。

 セシルが教授に聞いた。


「危険生物も受け入れてくれるんですか?」


「受け入れてくれなくは無いわ。ただ、難しいかもしれないわね。でも大丈夫。飼う意思があるのなら私が推薦を出すわ。」


「良いんですか?」


「もちろん。たまたま、ツテを持ってて良かったわ。いえ、誰かに言われて私を訪れたってところかしらね。」


 教授に聞くように言ったのはアメッサだ。

 自分で教えなかったのは、ここまで考えての事だろう。

 素直に答えるセシル。


「アメッサさんです。ウルフの子の面倒を見てもらっています。」


「なるほど、彼女なら信頼できるわ。そうだ、推薦をするには一つ条件があるわ。エメリナ達の監視を受ける事。守れる?」


「はい。むしろ、ありがたいです。」


 どちらかと言うと、後ろ盾をつけて推薦をしやすくだろう。

 教授がサポートについているのなら学校側も安心して危険生物を受け入れられる。

 それに、エメリナ達の協力が得られるのは素直にありがたい。

 

「じゃあ、決まったら教えて頂戴ね。」


「はい、お世話になってばかりで申し訳ないです。」


「そんな事ないわよ。人に教えるのは楽しいもの。アリア達なんて、もう知ってますばかりでつまらなかったのよ? だから、気にしないでね。」


 教えるのが好きだから教授になったのだろうか。

 この町に来たのも、そのためだろう。

 当の本人は、本を持って立ち上がった。


「どうしてもと言うなら、また手伝いをしに来てくれればいいわよ。」


「はい。ありがとうございました。」


 さようならと挨拶して、教授と別れた。

大体こんな感じです。

昔は沢山いて活動した場所が大地として残ってる感じです。

なんかお墓みたいな感じがします。

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