表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/166

帰還の準備

 翌日、ウルフの子の元を訪れるセシル。

 アメッサに案内されウルフの子に会う。


「体調はどうですか?」


「傷はちゃんと縫ったし大丈夫だよ。まぁ、しばらく安静にしなくちゃだけど。」


 部屋の扉を開けると、そこでウルフの子が寝ていた。

 セシルを見た瞬間、起き上がる。

 アメッサが慌てて止める。


「駄目だよ。まだ安静に。」


 また横に寝かせる。

 ウルフの子は、素直に受け入れたようだ。

 その頭を優しく撫でるセシル。


「そこらのウルフと同じと思えないぐらい素直ですね。」


「元々がそういう種族なんだよ。昔の資料では人と共存していたって話もあるんだ。」


 アメッサが解説する。

 人を襲うウルフしか知らないセシルには、想像が出来ないことだ。

 しかし、実際に目の前のウルフの子は、人に身を預けている。

 その様子を見たアメッサは感心している。


「とは言っても、私達も原種を見たのは初めてだからね。こんなに人になつくなんて驚いたよ。」


「やっぱり、凄い事なんですね。」


「そうだよ。今まではそれっぽい死体がある程度だったから、資料でしか知らないって教授しかいないんだよ。」


 まさに未知の生き物。

 資料通りに、襲わないとは限らない。

 それなのによく置いてくれたものだ。


「必ず襲わない訳ではないんですよね? 面倒見て貰って良いんですか?」


「確かに資料通りにはいかないかも知れない。でも、その時はその時だよ。どんな結果だろうと新しい情報には違いないからね。」


 凶暴なら凶暴で良いという事だ。

 大事なのはどんな生態か。

 それを知る事に価値を見いだしているのが研究員と言うものだ。

 しかしと、付け加えるアメッサ。


「この子を預かれるのは研究の間。聞いているとは思うけど、人を襲う生き物として扱われる以上、研究が終わったら自然に返すのが決まり。どうするかは君次第だよ。」


「それなら聞きましたよ、でもまだ決めてないです。」


「分かってるなら良いんだよ。それまではちゃんと面倒見ておくから安心してね。」


 そう言っているが、迷惑をかけている以上早く決めなくてはいけない。

 しかし、セシルには生き物を飼うということがよく分からない。

 そんな状態で、一つの命を背負うなんて出来ない事だ。


「生き物を飼うって大変なんですよね?」


「そうだね。手続きも面倒だし世話もあるしね。そういえば、私達の教授に会いに行くんだっけ。その時に、いろいろ教えてもらうのが良いよ。」


 確かにそんな話をしていた。

 あの教授には、また会う約束もしている。

 丁度良いのかも知れない。


「では、しばらくお願いします。」


「任せて。次会うまでに傷は直しておくよ。」


 診療所から出て研究所へと戻るセシル。

 そこでは、既に会議が行われていた。

 気づいたアリアが手招きをする。


「良いタイミングね。それで、ウルフの子の様子はどうだったの?」


「元気でしたよ。暴れる様子もないです。しばらく、安静が必要ですけど。」


 向こうの情報を伝えるセシル。

 そして、空いた席に座った。

 すると、にっこり笑ったエメリナがセシルに言った。


「後は、私達が面倒を見るので安心してくださいね。」


「お願いします。」


 エメリナに頭を下げる。

 それと同時に、グレンが現れ席に座る。

 アリアが、グレンに質問をした。


「皆はどうだった?」


「体の痛みが酷いらしいな。それでも、気持ち悪さが勝っているらしいが。」


「今回ばかりは仕方ないわね。それじゃあ予定通り、休暇を取るって事で。」


「それが良いな。あいつらは、しばらく戦えないだろう。」


 それほど、手酷くやられたという事だ。

 動けないのなら、戦えないのも仕方ない。

 そんなグレンにエメリナが疑問を持つ。


「あなたも、昨日は歩けない程だったはずですよね。」


「彼はそういうものよ。もう、慣れちゃったわ。」


「そう言うことだ。気にしないでくれ。」


 あっさりと、答えるグレン。

 そう、とエメリナも考えるのを止めた。

 しかし、するべき事は決まった。

 これを踏まえて今後の予定を決める。


「それじゃあ、明日にでも帰還するわね。そこで教授に話を聞く。」


「それで、こっちは居場所を。ね。あなた達が会った施設長に連絡を取って合流するわね。」


「お願いするわ。とにかく情報が大切よ。頑張りましょう。」


 お互いのやる事を確認し会議を終える。

 そして、そのまま解散する。

 研究所から出たセシルは、カリネに捕まった。


「荷物持ち確保。暇でしょ? 協力してね。」


「良いですけど。何処に行くんですか?」


「買い物だよ。ここを離れる前に、良い品質のを買って起きたいんだよ。」


 セシルを連れたカリネが、店があるエリアに向かう。

 研究所から離れると、大きな通路がある場所へと向かう。

 そこにいた、とある人影が二人に声をかける。


「どうも、待ってましたよ。もう少しで町の一角のオブジェになる所でした。おや、予定より一人多いですね。」


「待たせてごめんね。彼は荷物持ちだよ。」


「なるほど、頼もしいですね。三人集まればなんとやら。」


 人影の正体はスピナだ。

 口ぶりからすると待ち合わせしていたのだろう。

 カリネが事情を説明する。


「案内を頼んだんだよ。今日は、よろしくね。」


「よろしくお願いします。」


「よろしくされました。任せて下さい。百人力でいきますよ。」


 早速、スピナが通路脇を歩きだす。

 二人もその後をついていく。

 目的地は既に伝えているのだろう。

 セシルが質問した。


「それで、何を作るんですか? 」


「ボウガンや大砲の強化だよ。もっと威力を出せるのを作りたいんだよ。」


「大事ですよね。私のロマンここにありです。」


 前の戦いでもカリネの武器が役に立っていた。

 しかし、まだ強くする必要があると思っているらしい。

 早速、ある店の前で止まった。


「つきました。この都市自慢のお店です。」


「そうなの? じゃあ、入ってみよう。」


 建物に入ると、そこにはありとあらゆる鉄具がある。

 分からないほどの数が陳列されている。

 嬉しそうに店内を見ているカリネ。


「凄い数だね。驚いたよ。」


「満足頂けたようで。まさに選び放題。」


「そんなに買わないけどね。でも、良かったよ。」


 自慢と言うだけあって、種類も多い。

 早速、鉄具を取るカリネ。

 組み合わせながら、何かを考えている。

 そんなカリネに、店の奥から現れた人影が声をかけてきた。


「ん? 女の客たぁ珍しい。何か欲しいもんでもあんのか?」


「どんな爆発にも耐える奴が欲しいんだよね。」


「どんな爆発でもか。随分、過激なもんを要求するなぁ。」


 店長だろうか。

 いきなりな言葉に戸惑っているようだ。

 そんな彼に構わず、カリネが続ける。


「で、あるの?」


「勿論あるけど何に使うんだ?」


「これでも、ハンターチームのメカニックでね。強力な飛び道具を作りたいんだよ。」


「強力な飛び道具か。何度も使うとなると一回持てば良いって訳にはいかねぇな。」


 店内の奥へ向かう店長。

 三人も後についていく。

 止まった先にあるのは、白く光る鉄具。


「ほらここだよ。」


「なるほど、高純度のが揃っているね。でも高い。」


「そりゃあな。それぐらいは当たり前だぜ。」


 値段を見ているカリネは悩んでいる。

 純度が上がると値段が上がるのは当たり前だ。

 それも、カリネは分かっているはずだが、思ったよりも高いらしい。


「値引きとかしてない?」


「してねぇよ。ただでさえ高純度のは、品が少ねぇってのに。」


 確かに、他と比べると高純度の鉄具は一つの棚の分しかない。

 悩んだ末に、小さい部品を手に取っていく。


「仕方ない。一つ分しか作れないけど我慢しよう。」


「すまねぇな。それで、どんな飛び道具を作るんだ?」


「ボウガンだよ。」


「ボウガンに火薬なん使わないだろ。」


 疑問を持つ店長だが、カリネは何も説明しない。

 何か考えがあるのだろう。

 それに何度も助けられたので、セシルは何も聞かない。


「よし、これぐらいかな。勘定よろしく。」


「おう。出来たら見せてくれよ。」


「上手くいったらね。」


 店長は気になるようだ。

 勘定を済ませた三人は店を出る。

 荷物を持つのは、勿論セシルだ。


「いやぁ、中々の店だったね。」 


「満足して頂けたようで何より。何事もなく私も満足。」


 紹介したカリネも、満足してくれるか心配だったらしい。

 店を出た三人は、来た道を戻る。

 買い物は済んだらしい。


「さてと、帰ったら作業に取りかかりますか。」


「待ってください、何か騒がしくないですか?」


 奥の方で誰かが叫んでいる。

 その叫んでいる人達は、通路沿いに並び出した。

 見ていた三人の前にも並んだ。


「危険だから離れてっ。」


 どうやら、通行人が通路に近づかないようにしているようだ。

 三人も、通路から離れる。

 すると、スピナがある事に気づく。


「あの服、ギルドの制服ですね。正体見破ったり。」


「つまり、職員さんね。何があるんだろう。」


 周りの通行人は、通路を見ている。

 三人も、周りに合わせて通路を見る。

 次の瞬間、通路の奥から激しい車輪の音が聞こえて来る。

 それと同時に、通行人の悲鳴も。


「なんだあれ、でけぇ。」


「怖い。」


「あんなのが近くにいたのかよ。」


 段々とその物体が近づくと三人の前を通った。

 すると、カリネとセシルがその正体に気づいた。

 複数の竜車に引っ張られている黒い物体。


「あれ、自分達が倒した奴ですよね。」


「だね、今運ばれたのか。」


 そう、先日倒した漆黒竜の死体だ。

 丁度都市に運ばれてきた所だったのだ。

 スピナは感心している。


「死体なのにまがまがしかったですね。ここまで、大掛かりで運ぶのは初めて見たです。手間がかかってます。」


「よくある事なの?」


「えぇ、元々モンスターの死体を運ぶ為の通路ですから。でも、普通なら二人ぐらいで誘導してるんですけどね。今回のはまさに総出。」


 あんなに大きい死体を運ぶ事が無かったのだろう。

 通行人へのインパクトも大きいだろう。

 普段見慣れていても、悲鳴をあげてしまうのは仕方ない。

 漆黒竜の死体を見送った三人は、研究所へ戻った。


「それじゃあね。」


「また何かあったら呼んで下さい。まぁ、しばらくは忙しくなりそうですが。」


 そう言って別れる三人。

 荷物をカリネに渡したセシルは、研究所に入る。

 明日の為に、疲れを取るべく休むのだった。

 そして、そのまま次の日を迎える。

構成を作り直したせいで遅れました。

四章開始です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ