表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
都市編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/166

帰還、手掛かり

「連絡してくれた者だな。本当に越境線の外だったとは。しかも、途中で見たあの村も。それで、例の竜とは?」


「あれだ。」


 グレンが、副団長とギルドマスターを案内する。

 倒れている漆黒竜を見て、二人は驚いている。

 ギルドマスターが、胴体を触る。


「すごいな、こんなに肉体が硬い奴を見たことがない。今回の事件を起こした奴はこいつで間違いないのか?」


「らしいな、滅んだ騎士団が残した手帳に記された存在と一致しているらしい。」


「手帳だと。」


「ほら、これなんよ。栞がある場所を読んでみな。」


 聞いてきた副団長に手帳を投げ渡したシルファ。

 受け取った副団長は、手帳を開いて中を見る。

 中を読む度に、顔が歪む。


「なるほど、全ては我々の監督不行きが原因というわけか。」


「そうなんよ。まったく、お陰で面倒な事に巻き込まれたんよ。」


 愚痴を言うシルファ。

 騎士団の内部事情により引き起こされたと言ってもいい。

 実際に、騎士団がきちんと機能していれば楽になったかもしれない。

 グレンが騎士団をフォローをする。


「そう言ってやるな。こいつの対処はどこも不可能だった。」


 仮に騎士団が対処しても、沢山の命が奪われていたかもしれない。

 グレンの言う通り、止められる者はいないだろう。

 しかし、助けられた命があったのは事実。

 騎士団の副団長が頭を下げる。


「すまない。きちんと騎士団の統率をしていればこんな事にならなかった。」


「そう思うんなら、その手帳と栞、ちゃんと届けてやるんよ。」


「必ず届ける。約束しよう。」


 そう断言する副団長。

 しかし、遺品はそれだけではないはずだ。

 まだ、戦場をきちんと見ていない。


「森を真っ直ぐ抜けた所に例の戦場がある。そこにある遺品も回収した方がいい。」


「分かった。情報の提供、感謝する。」


 再び頭を下げる副団長。

 これで亡くなった者達も報われるだろう。

 ギルドマスターが話を事後処理に移す。


「事件の調査とかする事は多いが。今は、事件の収束をしなくてはいけない。幸い、エメリナ教授のお陰でエリアの奪還は進んでいるが、まだ子分共が暴れている。」


「俺達も手伝おうか?」


 グレンが提案する。

 ハンターとして参加したいとの事だ。

 しかし、首を横に振るギルドマスター。


「これぐらい我々でも出来る。それに時間もかかる。あんた達は、ゆっくり休んでくれ。」


「そうか、それなら先に帰らせて貰う。お前達、竜車に戻れ。帰還する。」


 グレンの指示で、メンバーが竜車に戻る。

 上がり込んだ一同は、武器をカリネに預ける。

 そして、床に倒れ込んだ。


「今回は、死ぬかと思ったんよ。」


「本当にな。あんなのがいるなんて思いもしなかった。」


「世界は広い。」


 それぞれ感想を述べながら寛ぐ。

 ぐったりとして動かない。

 そんな一同に、アリアが忠告する。


「体のダメージは大きいはずよ。しばらく安静にしてなさい。」


 今回のダメージは、今までとは比べ物にならないものだ。

 痛みはないけど疲労と痛みは相当なはずだ。

 最後に乗ったグレンが返事をする。


「分かっているさ。今回は、俺さえも相当堪えているからな。」


 グレンですらダメージをおっている。

 しかも、攻撃を受けただけでなく与えた時もダメージをおっている。

 乗り込んだグレンに、ギルドマスターが声をかける。


「あいつの素材はどこに送ればいい?」


 アリアが代わりに返事をする。


「エメリナの所に送ってちょうだい。」


「だそうだ。この周辺で活動するときは、基本エメリナの研究所にいる。用事がある時は、エメリナに言ってくれ。」


「そうか、そうするよ。じゃあ、後は頼んだ。」


 返事を返すと、竜車が動き出す。

 二人に後を任せ都市に帰還する。

 エリアに入らずに、山に沿って安全な場所を進む。

 ドリンクが切れ始めているのか、誰も喋らない。

 そして、何事もなく都市についた。

 手続きを済ませて研究所に向かう。

 中に入るが、エメリナはいない。

 代わりに出て来た、助手の獣にアリアが尋ねる。


「エメリナは帰ってるかしら。」


 首を横に振る助手の獣。

 まだ、作戦に協力しているのだろう。

 なので、代わりに助手の獣にお願いをする。


「怪我人を運びたいから部屋を二つ準備してくれる?」


「にゃ。」


 敬礼した助手の獣は、他の助手に指示を出す。

 その間にハント組を中に入れる。


「ほら、早く休んでね。」


「分かってるんよ。」


「というか、いつもよりしんどいんだが。」


「目が回る。」


 ドリンクが切れたのか、宿酔いに襲われている。

 気持ち悪そうに歩いている。

 アリアが説明する。


「今回は、沢山飲んだからでしょうね。寝れば落ち着くと思うわよ。」


 奥から助手の獣が現れた。

 助手の獣に引っ張られながら奥の部屋に向かうハント組。

 それを見送ったアリアにセシルが問いかけた。


「あの、ウルフの子の治療は。」


「分かっているわ。今、獣医を呼ぶわね。」


 通信機の受話器を取ったアリアが連絡を取る。

 いくつか事情を話すと、すぐに受話器を置いた。

 一つ返事で答えたのか。

 セシルに通信の内容を話す。


「直ぐに来てくれるわ。今のうちに籠を外しておきましょう。」


 竜車に戻りウルフの子の様子を見る。

 まだ、寝ているようだ。

 籠の隙間から紐を通して先の輪っかを首にかける。

 そして、さっと頭を撫でる。


「こうしないと、籠から出せないの。苦しいと思うけど我慢してね。」


 危険な生き物を人が住む場所に入れる時は、常に自由を奪っていないといけない。

 ルールはルールだ、例外はないのだ。

 しかし、ぐっすりと寝ているので大丈夫そうだ。

 すると、研究所の敷地に一台の馬車が止まった。

 中からアメッサが下りて来た。


「おーい。アリア、来たよ。」


「待ってたわ。それにしても、あれ診察室よね。わざわざ持ってきたの?」


「そうだよ。お金を貯めて、自分用のを買っちゃった。ついでだからcここに置いておく事にしたの。」


 どうやら、アリアが呼んだ獣医とはアメッサのようだ。

 動物の治療も出来るらしい。

 セシルがアリアに聞いた。


「この人、獣医だったんですか?」


「そうよ、学生の時に免許を取ってたのを思い出してね。」


「植物の研究をしていたら、薬を調合出来るようになったんだ。だから、ついでに獣医の免許も取ろうって。」


 取ろうと言っても、取れるものではないのだが。

 おっとりしているが、これでもアリア達と肩を並べる一人。

 早速、例のウルフの子を見るアメッサ。


「この子が患者だね。ウルフの原種なんて初めて見たよ。それで、どこに怪我があるの?」


「右足に太ももから足首にかけて深い傷があるのよ。」


「なるほど。じゃあ、消毒して傷を縫えばいいんだね? 早速、診察室に移しちゃおう。」


 ウルフの子を覆う籠を外して抱えるアメッサ。

 紐を持ったアリアがセシルに渡す。


「起きた時にあなたがいないと暴れるかもだから一緒に行ってあげて。」


「そうだね、その方が寂しくないからね。」


 はい、と答えたセシルは紐を受け取った。

 そして、馬車の中に入っていった。

 竜車からコガラキが降りてきた。


「竜車しまうっすよ。」


「えぇ、お願い。」


 コガラキが、竜車を奥に連れていく。

 すると、もう一台の馬車が来た。


「帰ってきたかしら。」


 中から、エメリナとガーネリヤが降りてきた。

 研究所の敷地にある馬車に驚いている。


「これは、診察台?」


「私が注文した覚えがないけど。」


 不思議そうに馬車を見ている。

 二人は、事情を知らないのだ。

 アリアが答える。


「アメッサのよ。私のメンバーがウルフの子の原種を拾ってね。怪我もしてたし、メンバーになついているから連れてきたの。しばらく、研究対象保護として置いてくれないかしら。」


「つまり、治療をしているのね。分かったわ、許可書を届けておくわね。」


「ありがとう。」


 お礼を言うアリア。

 エメリナが首を横に振った。

 仲間として同然の事をしたまでという事だろう。

 そんな二人に、ガーネリヤが言った。


「ウルフの原種も気になるが、疲れたし中に入ろう。」


「そうね、休みましょう。皆降りていいわよ。」


 馬車の中に声をかけるエメリナ。

 中から、助手の獣達が出て来た。

 三人に挨拶をして研究所に入っていく。

 そのうちの三匹が、馬車を奥まで誘導する。

 後についていくエメリナ。


「馬車をしまうのを手伝うわ。二人は先に入ってて。」


「分かったわ。」


 お言葉に甘えて先に入る二人。

 入り口のソファに座って落ち着く。

 ポーチからカメラを取り出したアリアが、何かいじっている。

 そんなアリアに、ガーネリヤが聞いた。


「それで、これからどうする?」


「メンバーの休みを取らせるから、しばらくは情報集めね。追っている奴の手掛かりも掴んだから当たってみるつもりよ。」


「手掛かり?」


「覚えてないかしら。教授が言うには、昔の大地はマグマで溢れていた。それが、固まって大地が出来たって。」


 助手の獣が置いた水を飲みながら、その話を思い出すガーネリヤ。

 それはまだ、学生の頃の話だ。

 担当してくれていた教授が言っていた。


「確かに言っていたな。水が生まれ樹木が生まれ。」


「そして、人が生まれた。」


 研究所に入ってきたエメリナが続きを呼んだ。

 ソファに座って、話を続ける。


「それがどうしたの?」


「まず、どうやって固まったのか。」


「踏み固めたのがいると。」


「そこまでは分からないわ。でも、可能性はある。」


 そんな事が出来るのは・・・。

 たったそれだけの事。

 でも、アリアは気になるのだ。

 

「確か、古文書があったはず。」


「教授が持っていったわよ。」


「向こうに行く時は持ってなかったわ。」


「後で送ったのよ。向こうにいたのに分からないの?」


 そっと目をそらすアリア。

 それで事情を察するエメリナ。

 呆れながらアリアを見る。


「下の子に、片付けを押し付けたわね。相変わらず、ずぼらなんだから。」


「まぁ、そう言ってやるな。アリアも忙しいんだろうね。」


「ずぼら二号は黙ってなさい。ほんと、前しか見えなくなると周りの事が見えなくなるんだから。」


 ガーネリヤも目をそらす。 

 頭が良いと、前の事しか見えなくなるのだ。

 ただ前を突っ走って、後ろを見なくなるような物。

 しかし、今はそんな事を言っている場合ではない。

 悩むアリア。


「古文書がないならどうすれば。」


「本人に直接聞けばいい。同じ町にいるんだよね?」


「でも、ここから離れられないわ。」


 巨大な生き物の居場所を探してもらっている。

 情報を貰い動けるようにしておきたいのだ。

 すると、エメリナが提案する。


「どうせしばらく動けないんでしょう。私達でどうにかしておくから行きなさい。」


「そうね。じゃあ、任せるわ。」


「それがいいね、少しは私達を信じるといい。」


「もちろん、信じているわよ。」


 これで、アリア達が住む町に戻る事となった。

 しかし、手掛かりを見つけたのは事実。

 何か、情報がある事を祈るアリアであった。




 ある地方の事。

 そこには、沢山の生き物がいる。

 そこで、いつもの日常をすごしている。

 食事をするもの。

 水を飲むもの。

 寝るもの。

 喧嘩をするもの。

 それが当たり前のように、毎日繰り返される。


 そんないつもの光景の中、一つの稲妻が走った。

 ただそれだけだ。

 それだけで、全ての生き物が地に伏し体を痙攣させる。

 起き上がれるものは誰もいない。


 そんな中、一匹のドラゴンが一番高い丘に立つ。

 空を見上げて咆哮する。

 大量の雷を発しながら。


三章終わりました。それと二千pv達成。

読んでくださる方々、本当に感謝です。ありがとうございます。

頑張って書きましたが、ちゃんとストーリーになっているか不安です。

なってますよね?

なっていると信じてこれからも頑張ります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ