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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
都市編

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71/166

手記、仲間と合流。

 迫りくる大羽鳥。

 手に持っていたボウガンの矢を構える。

 しかし、恐怖には勝てない。

 体が震えて動かないのだ。


「情けないな。こんな時に腑抜けるなんて。」


 大物との遭遇には慣れていた気がした。

 だけど実際にはこの始末。

 こっちの様子を見ていた大羽鳥が体勢を低くする。

 飛び込んでくる気だ。

 どう対処しようか迷っていたら、どこかから声が聞こえてきた。


「ほらよ。使いなっ。」


 声と共に近くでがしゃんと音がした。

 そちらを見ると、見覚えのあるボウガン。


「これはっ。」


 とっさに体が動いた。

 飛び込んできた大羽鳥をかわすように、セシルもまたボウガンに飛びついた。

 急いで、ボウガンに矢を設置する。

 それと同時に大羽鳥がセシルを見た。

 だが、セシルはもう腑抜け無い。


(狙いは一つ。)


 大羽鳥を何度も見ていたセシルには、狙う場所が分かっていた。

 後ろに倒れ、体の重心を固定する。

 そして、そこにめがけてボウガンを向けた。


「お前は、襲う瞬間に口が開く。」


 餌に食いつく攻撃故か、必ずその瞬間に口が開く。

 そして、言葉通り口が開いた。

 その瞬間、ボウガンの引き金を引いたセシル。

 飛び出した矢が、口に飛び込んだ。

 それにより悶絶する大羽鳥。

 暴れると、仕舞いに樹に衝突し倒れる。

 次の瞬間、影からシルファが現れた。


「良くやったんよ。後は俺がっ。」


 胴体にかけ上がると首に一撃。

 一度顔をあげる大羽鳥だが、そのまま地面に沈んだ。

 大羽鳥から降りるシルファ。

 更に、影から現れたエリクと共に、セシルに駆け寄る。


「あそこで冷静になれるとわな。」


「成長って奴なんよ。写真に残しておけば。」


「からかわないで下さいよっ。」


「からかってないんよ。ほら。」


 シルファが差し出した手を取って立ち上がるセシル。

 その瞬間、ポーチに挟んでおいた手帳が地面に落ちた。

 それを取ったシルファが表紙を見た。


「これセシルの? 手帳を持ってるとこ見たことがないんよ。」


「そうだな、いつの間に持ってたんだ?」


「いや、自分のじゃなくてですね。」


 事のいきさつを話した。

 例の化け物や、この先の惨状。

 そして、そこでこれを拾ったこと。

 それを聞いたシルファが手帳を開いた。


「なるほど、という事はこれに何か手がかりがありそうなんよ」


「勝手に見ていいのかよ。」


「情報を集める為、致し方なしなんよ。」


 遠慮せずページを捲っていく。

 中には、何かの記録がページ毎に書かれている。

 ページの上には、部隊名が書かれている。


「これは、部隊の記録か。」


「何ですか、それ。」


「確か、隊の出来事をまとめた物だったはずなんよ。たぶん。」


 その日の欠席者や、部隊の達成した目的などを記したもの。

 更に、ページを捲っていくシルファ。

 すると、あるページに目をつけた。


「村を壊滅させた存在の討伐?」


「それってここに来た理由って奴か。でも、それなら上が知らないはずが無いだろ。」


「どうい事ですか?」


 話が理解出来ないセシル。

 なにせ、騎士の話なんて知る由が無いからだ。

 エリクが分かりやすく説明する。


「セシルの村は、何かあれば村長に報告するするだろ? それと同じだよ。」


「もし騎士団が知っていたら、今回の騒動がもっと早くに対処に動けていたはずなんよ。施設だって守れてたはずなんよな。」


 派兵する途中で施設の周辺の異変に気づけていたはずだ。

 もしそうなら、鳥竜も大蛇も事前に駆除できていただろう。

 すでに、禁止区域に指定されており、施設の人間も皆救い出せていたかもしてない。


「まぁ、結果論だがな。とは言っても、可能性があったのは事実だ。でもそうなって無いことわ。だ。」


「っ、もしかして報告してないって事ですか!?」


「そ、村が潰れた事も、村を滅ぼした存在の事も知らせていないって事だ。」


 何も知らないんじゃあ手だての打ちようがない。

 しかし何故、こんな重大な事を報告してないのか。 

 その事実は次のページにあった。

 そこから先は、今までとは異質な事になっていた。


「次のページにいくんよ。ん? なんなんよこれ。」


「愚痴、だろうな。ええと、『隊長がおかしな事をいい始めた、この事件を解決して手柄が欲しいだと、他に取られないように報告はしない。上には、崖崩れが多発しているから見に行くといっておけ。』」


『確かに我が隊は、他より地位が低く雑用ばかり。仕舞いには他の隊に馬鹿にされる。しかし、それでも騎士である事に誇りを得ていたはずだ。それが何故。いや、落ち込む部下に心を痛めていたのは知っている。それをどうにかしようとしただけだ。悪いのは、むしろ副隊長でありながら、知らないふりして何もしなかった私なのかもしれない。』


 どうやら、副隊長の手帳のようだ。

 そんな事が書かれていた。

 騎士団もただならぬ組織では無いという事だ。

 しかし、三人はそれに対して呆れたのだ。


「要するに、騎士団の揉め事に巻き込まれた訳だな。」


「責任者に文句を言わせるんよ。まったく。」


「きちんと報告されていればこんな事には。いや。」


 もし、報告されていれば死ぬ人はいなかったはず、と言いかけたセシルだが、先程の光景を見て考えを改める。

 あれは果たして、騎士団に勝てるだろうか、そもそも、人類が勝てる相手だろうか。

 急に黙り込んだセシルを余所に、シルファがページを捲った。


「うげっ。びっくりしたんよ。」


「どうしたんだ? うわっ。」


「っ!?」 


 ページを捲った先には、助けてという文字が殴り書きされていて、その上からぐちゃぐちゃあっと、線で塗り潰されている。

 どこからどう見ても異常だ。

 三人が驚くのも無理はない。

 更に、ページを捲ると栞が落ちて来たので、とっさにシルファが拾った。


『文字を書いていたら何とか落ち着いた。これからここに来た物の為に記しておく。漆黒の化け物に気を付けろ。隊長が一発でやられた。一瞬で潰されて喰われた。他の騎士も、喰われた。もう終わりだ。自走船すらも歯が立たない。逃げるしかない。でも、先程から逃げる騎士も一瞬で追い付かれ食われてしまった。私ももう駄目かもしれない。この手帳を見ている誰か、もし漆黒の化け物と合ったら見つかる前に逃げろ。あいつはこの世界にいてはいけない存在だ。もし逃げれるなら、この手帳にある栞を私の家族に届けてくれ。』


 何とか意識を取り戻し、伝言を記したのだろう。

 自分が大変な時に、他の誰かの事を思うのはまさに騎士の鑑だ。

 最後まで読んだ三人は栞を見る。


「こいつにもこいつの人生があったんだな。」


「まぁ、自業自得なんよ。でも、報われて欲しいんよ。」


「はい、届けましょう。絶対に。」


 覚悟を決める三人。

 栞を戻し本を畳むシルファ。

 しかし、大事な問題が残っている。


「まず、合流しないとな。」


「無事だと知らせたいんよ。」


 まず、合流しないと話にならない。

 とは言うものの、山の反対に落ちたのだ。

 合流するのは至難の業なのだ。

  

 そう思っていた矢先の事。

 空から鳥の羽ばたきの声が聞こえる。

 上を見上げると、よく知る鳥が飛んでいた。

 

「コガラキの鳥か、おーい。」


「こっちなんよー。」


「おーい。気付いてぇ。」


 見やすい位置に移動する三人。

 鳥に向かって手を振る。

 すると、声のする方に鳥が飛んできた。

 こちらに手を振る三人を見つけたコガラキの鳥。


ぴーひょろろろ。


 鳴き声を出して発見を知らせる。

 すると、ある方向へと飛んでいく。

 顔を合わせ頷いた三人は、鳥を追いかけ始めた。


「こっちに何かあるのか。」


「分からないです。」


「とりあえず行ってみるんよ。」


 鳥は一直線に飛んでいく。

 すると、三人は広い道へと出た。

 辺りを見渡し確認する。


「そういえばそうだ。自走船が奥に行ったということは、その道だってあるって事だよな。」


「そうなるんよ。」


「気づきませんでした。」


 その時、三人の下に何かが迫る音が聞こえてきた。

 足音と、車輪の音。


「お、来たな。」


 その音の方を見ると、竜車が迫ってくる。

 三人の前まで来ると、その前で止まった。

 竜車の後ろに周った三人は、お帰りーと、手を振るカリネに振り返し中に乗り込む。


「おいーす。お疲れさーん。」


「待ってたんよ。」


「苦労かけてしまってすみません。」


 乗り込む度に言葉をかけていく。

 消息不明になったさ三人とは思えないほど軽い言葉だ。

 そんな三人を、呆れつつも受け入れるグレン。


「心配かけさせたくせに、気楽なもんだな。」


「火山にでも放り込まない限り死なないんよ。」


 手帳を振りながら、ジョークで返すシルファ。

 床にどかっと座り込んだ。

 シルファが持っている手帳にグレンが気づいた。


「なにを持っているんだ?」


「セシルが見つけた手帳なんよ。今回の真相がご丁寧に記されているんよ。」


「真相が? この森で起こったのか?」


「いいえ、この先の森を抜けた所です。そこで、化け物から隠れた竜車で手帳を見つけました。」


 道の先へと指をさしたセシル。

 この先に、事件が起きた場所があるのだ。

 そして、事件の元凶もそこにいる。


「この先に俺達が追っている奴がいるんだな?」


「間違いないです。大きな口で自走船を投げ飛ばしたり、大羽鳥をくわえていました。」


「そうか。この先に。」


 作戦を考えるグレン。

 もしかしたら、この先で戦う事になる。

 それを聞いたユーリアが呟いた。


「…大竜。」


「ん? そうか。苦手だったな。」


 かすかに震えるユーリアに気づいたグレンが声をかける。

 どうやら、大竜という言葉に怯えているようだ。

 そんなユーリアに、セシルが尋ねる。


「何かあったんですか?」


「あぁ、ユーリアは家族を肉食の大竜に殺されていてな。」


「っ! そんな事が。」


 家族が肉食の大竜の餌食に殺された過去を持つユーリア。

 そうなると、怯えてしまうのも無理はない。

 しかし、ユーリアは首を横に振る。


「ううん、大丈夫。」


「そうか? しかし。」


「今は犠牲者を無くすのが大事。」


 確かに、こうしている間にも犠牲者は出ているかもしれない。

 いつまでも、こうしている訳にはいかないのだ。

 すると、シルファが手帳を軽く叩きながら言った。


「これの持ち主によると。見つかる前に逃げろ、とか言うぐらいヤバイ奴らしいんよ。」


「はい、とても強そうでした。」


 相当手強い相手のようだ。

 しかし、このまま考え続ける訳には行かない。

 決断するグレン。


「リーダー、どうする? このまま戦うのか?」


「出来るだけ竜車で近づいて、そこから一気に襲おう。アリア、頼んだ。」


「近づいていいのね? じゃあ進めるわ。」


 目的の場所に向けて竜車が走り出した。

 コガラキも、鳥への指示を変える。

 コガラキの鳥は、先へと飛んだ。

 そのまま、道を進む竜車。

 すると、すぐに森の出口まで来た。


「よし、ここで鳥を待とう。」


 コガラキの鳥は、先を飛び回っている。

 その場で待って、敵の発見を待つ。

 しかし、一向にコガラキの鳥は鳴かない。


「どういう事だ?」


「いないって事っすかねぇ。」


「そんなっ。」


 確かに、ここにいたはずなのだ。

 コガラキが望遠鏡で覗きこんだ。

 少ししか見えないが、間違いなく残骸が散らばっている。

 

「セシルの言う通り、竜車や自走船があるっすね。」


「とりあえず進んでみよう。」


 事件の場に竜車が入った。

 あまりの残酷さに一同が言葉を失う。

 しばらく進むと、何かが転がっている。


「あれを見るっす。」


 大羽鳥の死体の一部分だ。

 確かに、ここで何かがいた形跡だ。

 竜車から降りるグレン。


「セシルが言っていた奴か。」


 死体に近づきそれを見る。

 どうやら、頭のようだ。

 アリアが推測する。


「噛み砕いた時に落ちたのね。でも噛み砕いた本人はどこかしら。」


「さあな。どこかに移動したのか?」


 死体から離れたグレンは、周りを見渡した。

 何もいない。

 コガラキの鳥も鳴かない。

 その場を静寂が包み込む

初めての長文、上手く書けてるでしょうか。

次回、とうとう戦います。

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