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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
都市編

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70/166

遭遇、セシルの戦い。

 広場に出たグレンとユーリアとコガラキ。

 まず、三手に別れて大竜を翻翻弄する。

 降ってくるブレスを避けつ走る。


「今っす。」


 コガラキが隙を見て煙玉を撃ち込んだ。

 空に煙が広がると、そこから逃げるようにグレンに突っ込んできた。


「それを待っていた。」


 横へ飛んでかわす。

 その際、大剣を片足に引っ掻けるようにぶつける。

 足が大きく反れる事により顔から地面に突っ込んでしまう。

 その間に、駆けつけたユーリアが胴体に飛び乗り翼を斬りつけた。


「翼一つ頂く。よ。」


 すぐさま降りて距離を取る。

 立ち上がる大竜。

 すかさずグレンが大竜の頭に大剣を叩き込んだ。

 回転してもう一撃。

 更に、反対に振ってもう一撃。

 最後に振りかぶって上から叩き込む。


「効いてるな。このままいくぞ。」


「りょーかい。」


「了解っす。」


 しかし、三人に尻尾が迫る。

 後ろに避けるグレンとコガラキ。

 ユーリアは足元に飛び込んで避けた。


「足元注意。」


 ついでに足を斬って転ばせる。

 そして、首に一刺しすると引き裂いた。

 大竜は、悲鳴をあげながら首から血を流した。


「傷は深い。」


 すると、口から爆炎を吐いてユーリアを追い払う。

 何とか立てた様だがふらついている。

 それでも諦めず口から炎を溢れさす。


「ブレスが来るぞ。」


「任せるっす。」

 

 コガラキが、大竜の口が開いた瞬間にトリモチ玉を撃ち込んだ。

 口の中で爆発。

 喉からも口から逆流した爆炎が漏れた。

 そのまま大竜は倒れた。


「ブレスを吐く相手にはこれが一番だな。」


「口を防げば、自滅っすもんね。」


「利用出来るものは利用する。」


 しかし、まだ息がある。

 とどめとばかりに、グレンが胴体に大剣を叩き込む。

 そして、ユーリアが傷を広げる。


 血を大量に流した大竜は動かなくなる。

 確認すると、無事死んでいるのが分かる。


「よし、あいつらが落ちた所に行こう。」


 樹を抜けて奥へ向かう。

 樹に隠れていて先が見えない。

 これなら落ちてしまっても仕方ないだろう。

 コガラキが注意を促す。


「気をつけるっすよ。もうすぐのはずっす。」


「そうだな、二の舞になって意味がないからな。」


 とは言っても、コガラキは具体的な場所を知らないのだ。

 三人の悲鳴を聞いて、初めて落ちたと分かった。

 それぐらい、視界が通らない場所なのだ。

 しばらく歩くと目的の場所についた。

 その場所を、コガラキが覗き込んだ。


「なるほど、崖にはなってないっすね。滑り降ちたって所っすかね。」


 崖じゃないと聞いてグレンとユーリアも覗き込んだ。

 崩れている場所は、その部分だけ抉れた様に欠けている。

 崩れた事により坂となっており下へと続いている。


「大丈夫なのか?」


「さぁ、崖じゃないからといっても、打ち所が悪ければ命は無いっすからね。」


 コガラキの言う通り、滑り方が悪ければ全身を打ちつける。

 無事を願いたいが判断は無理だろう。

 なにしろ崩れているのは途中まで、その先は見えないのだ。


「樹が邪魔で先が見えないな。」


「誰もいない?」


「ウルフが下りてきた山がある方に落ちたっすね。下にある森で見えないっす。」


 森と山脈の間には草原があるが、山沿いは森が続いている。

 山脈を沿うように森が一部入り込んでいる。

 そこにある、わずかに山脈に入り込んだ森に落ちたのだ。


「仕方がない。竜車に乗って裏手に周るか。」


 これ以上探すと言うのなら、降りて確かめなくてはならない。

 と、すれば危険も生じる。

 捜索を断念して、竜車へと戻る三人。



 一方、セシルは森を一人で走っていた。

 何故なら、三匹の大羽鳥に追われているからだ。

 樹を盾にして逃げていく。

 後ろから来る一匹は、胴体が大きいので先には進みにくそうだ。

 その間に距離を取る。

 いったい何が起こったのかと言うと。


 坂から落ちた瞬間の事。

 シルファがセシルの服を掴むと、剣先の返しを地面に引っ掻け止まった。

 エリクも同じように槍斧を引っ掻け止まっている。

 

「くそっ、地盤が揺るいんよ。」


「こっちもだ。長くは持たないぜ。」


 何とか耐えているが持たない。

 次の瞬間、服が千切れセシルは下に落ちた。


「しまったんよ。」


 何度か樹にぶつかりながら落ちるも革の鎧で耐える。

 そのまま、頭を庇いながら落ちていく。

 しかし、勢いは落ちない。


(地面だ。)


 樹を抜けるとそこには地面がある。

 地面にぶつかりそうになった瞬間の事。

 やわらかい謎の物体の上に落ちて助かったのだ。


「何だこれは。」


 その物体を触ってみると羽毛で包まれている。

 もしかして、と立ち上がると案の定大羽鳥だ。

 動かない所を見ると、死んでいるのだろうか。


「助かったけど何でこんな所に。」


 何故落ちた先に都合良くあるのだろうか。

 疑問に思いながらもそこから降りる。

 次の瞬間、数匹の大羽鳥が現れたのだ。


「まさか。」


 いや、落ちる瞬間死体をつついているのをセシルは見ていたのだ。

 落ちた瞬間驚いて逃げて、また戻って来たのだろう。

 なんて、観察している場合はない。


「もしかして、狙われている?」


 そうじゃないと信じつついたが、そのうちの一匹が啄んで来た。

 慌てて、死体に隠れるが当然の如く回り込まれる。

 反対に逃げようとするも、そちらにも現れる。

 更に、死体を飛び越した一匹が完全に道が塞いだ。


「囲まれた。いや、ボウガンなら。って無い!?」


 ボウガンを取り出そうとするも無い。

 落ちる途中で、一緒にどこかに落ちたのだ。

 ゆっくりと近づいて来る大羽鳥。


(何か無いのか。)


 ポーチを漁ると煙玉を手に持った。

 そして、間髪いれずに地面に投げた。

 煙が広がり、辺りを包む。

 その隙に、大羽鳥の横を抜けた。 


(抜けたっ。このままっ。)


 煙を抜けると、森に入る。

 このまま逃げ切ろうと思った矢先。

 後ろから何か迫って来る音が聞こえる。

 後、頭上からも羽ばたきの音。


「やっぱり駄目か。」


 追ってくる鳥が、わざわざ、ピーと鳴いてセシルの場所を上を飛んでいる仲間に教えている。

 この鳴き声で、見えないセシルを追っているのだ。



 そう言う過程があり、セシルは追われているのだ。

 ウルフぶりの逃走劇。

 しかし、以前と違いノウハウがある。

 教えてくれた技術を駆使し対等に走る。

 しかし、森は長くは続かない。


「くそっ、アイテム全部使ってでも生き残る。」


 森を抜けて草原に出る。

 構わずと、草原を駆け抜けようとしたが足が止まった。

 そこにある光景に意識を奪われたからだ。


「なんだよこれ。」


 そこにあったのは、竜車や自走船の残骸。

 そして、至るところの草や花が赤黒く染まっている。

 そこにある花を摘まむと、ポロポロと砕けていく。


「これは血? これ全部が? いや、間違いない。」


 恐らくそうだろうとセシルは確信した。

 しかし、辺り一帯を染める量。

 一帯どれぐらいの量が流れたと言うのだろうか。


「っ。気持ち悪い。」


 そう認識してしまうと急に気分が悪くなる。

 立ち尽くしていると、周りに大羽鳥が現れた。


「しまったっ。」


 あまりにも衝撃的な光景に追われている事を忘れていた。

 しかも、煙を警戒して一気に襲いかかってくる。

 何とか、かわして残骸の中を駆け抜ける。

 しかし、その前に一匹が空から周り込んだ。


「逃がしてくれないか。こうなったらやれるところまでやってやる。」


 いくら逃げても連携で追い付かれてしまう。

 しかし、セシルには大羽鳥の動きが見えていた。

 次の襲撃に備えた直後だった。


ずどーーーーん。


 という音と共に、瓦礫の影から現れた存在が一気に駆け寄って、大羽鳥の一匹を加えて持ち上げた。

 その漆黒の体に大羽鳥の血が降り注ぐ。

 血を染み込み過ぎたせいか、顔だけが赤黒い色をしている。


「一瞬でっ。ぜんぜん分からなかった。」


 もはやそう言うだけしか出来ない。

 すると、セシルの横を抜けた二匹の大羽鳥が、漆黒の生き物に襲いかかった。

 そのうち一匹が尻尾に飛ばされ吹っ飛んだ。

 それを見たもう一匹が森へ飛んで逃げた。


「やべぇやべぇよ。」


 その隙に、近くの崩れた竜車に逃げ込むセシル。

 飛ばされた一匹が逃げようとするも周り込まれてしまう。

 口にくわえた一匹を放すと、近くの自走船をくわえて投げつけた。

 それを受けた大羽鳥は、その衝撃で吹き飛んだ。

 自走船をも軽々と飛ばし、大羽鳥をもくわえてしまう、大きな口を持った存在。

 それに、セシルは心当りがあった。


(アリアさんが言っていた奴だよな。あんなのがいていいのかよ。)


 鳥竜の羽を千切り食い殺した張本人だ。

 しかも、このありさまを作ったのもあの化け物だろう。

 今までに見たこともない圧倒的な存在。

 倒れた大鳥竜に飛び乗った音に驚いたセシルが尻餅をついてしまう。

 その拍子に、机にあった手帳が落ちてくる。


(これは手帳か?)


 その手帳を拾うセシル。

 中を開こうとした瞬間、大羽鳥の悲鳴が辺りに響き渡った。

 どうやら、もう一匹も倒された様だ。


(あいつから逃げれそうに無いな。ここにいるのは危険だな。)


 幸いにも、殺した大羽鳥を食べている。

 その間に、セシルは森へと逃げた。

 漆黒の化け物は気づいていない。

 見つからない様に奥へ奥へと向かうが、その前に先程逃げた大羽鳥がいた。


(何でいるんだよっ。逃げたはずだろ。)


 直ぐに方向転換して道を変える。

 回り道をして通り過ぎようとした瞬間、何かに足をつまずいた。


(やばい、音が。気づいてないよな。)


 声が出そうになるが堪える。

 慌てて、大羽鳥を見るが気づいていないようだ。

 ひと安心して、つまずいた物を見ると、勢い良く飛び退いた。


(ウルフっ。)


 ウルフの子供だろうか。

 小さなウルフが、蔦に足が絡まり動けなくなっていた。

 町を襲った恐怖の存在。

 だけど、その存在にセシルは見とれてしまった。


(こいつの毛綺麗だ。)


 所々薄汚れてはいるものの真っ白な毛。

 普通のウルフは、灰色が混ざった色だ。

 なのに、目の前のウルフの毛は何の濁りもなく、真っ白に輝いている。

 一瞬見とれてしまうが顔を振って気持ちを切り変える。


(いやいや、さっきと同じ轍を踏むもんか。) 


 ウルフを置いて去ろうとする。

 敵に見つからない方が優先だ。

 そろりとその場を離れようとする。


「じゃあな、生き延びろよ。」


 仲間もいるだろうし、助ける必要がない。

 むしろ、仲間に見つかって追われると危険なのだ。

 こっそりとお別れを告げた直後だった。


わうん。


 こちらに気づいた、ウルフの子が吠えた。

 セシルは、背筋が冷える。


(やばいっ。気づかれる。)


 急いでウルフの子の口を閉じる。

 しかし、すでに遅かったのか大羽鳥がこちらに向かってくる。

 気が動転して頭が白くなる。


(逃げなくちゃ。でも、こいつはどうなる?)


 自分の心配をしなくてはいけないのに、ウルフの心配をしてしまう。

 ものウルフも人を襲う獣だ。

 見捨てれば良いのにその考えに悩んでしまう。


(こいつを助けた所でいつか人を襲う。そんな奴を助けるのはハンターとしてどうなんだ?)


 悩んでいる間にも、大羽鳥が近づいて来る。

 すると、ボウガンの矢を取り蔦を切る。

 ウルフは、自分を助けようとしていると分かったのか吠えない。


「お前を囮に使うためだ。勘違いすんなよ。」


 そう言い聞かせて蔦を切る。

 すると、その場所に大羽鳥が現れた。

 しかし、何もいない。

 ギリギリで逃げ出せたのだ。

 抱えていたウルフの子を離すセシル。


「ほら、せいぜい俺の変わりに死んでくれ。」


 離れるように促すセシル。

 すると、上から涎が落ちてくる。

 急いで振り向くと、樹から大羽鳥が顔を覗かしていた。


「嘘だろっ。」


 急いで下がると、大羽鳥が飛び出してきた。

この世界のウルフは、とある理由で灰色が混ざっています。

その辺はアリア大先生が教えてくれる事でしょう。

ちなみに、ゲームでよくある、助けた犬が恩返しにくるシーンって良いよね。(フラグ)

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