森エリア確保、山岳地方に突入
施設にいた大物は無事殲滅できた。
後は、施設に蔓延る虫達だけだ。
とはいっても、ほとんどが戦いに巻き込まれてつぶれている。
竜車と自走船が、ハント組に合流した。
「とりあえず、残りの虫を駆除しましょう。」
「いや、先程救援を頼んだ。後は任せてしまおう。」
もう襲ってこないのなら、慌てる必要はない。
ハント組は、竜車に上がって休憩を取る。
カリネが水を配っていく。
シルファが武器を見て言った。
「それにしても、これがないと危なかったんよ。」
「そうね、よく持って来てくれたわ。でも何でかしら?」
武器が届いた事により、事態を打破する事が出来た。
本来は、制圧した後に持ってくる予定のはずだ。
それに対し、当たり前のように答えるガーネリヤ。
「虫が沢山いると聞いてね。どうせ、こんな事になるだろうと動いてたんだ。案の定、だった訳だけどね。」
「ギルドの職員さん。急に武器を取られて困っていたのだけど。」
「時間が無かったのだよ。致し方あるまい。」
でも、そのお陰で間に合ったのだ。
無ければ、撤退をせざるをえなかった。
そんな話をしていると、また建物が崩れた。
もうこの建物は持たないだろう。
それを見ていたガーネリヤが、ギルドマスターに連絡を取る。
「こちらガーネリヤ。施設は奪還したが、もうこの建物は放棄した方がいい。」
『ちょうどその話をしていた所だ。今の施設は山に近すぎだってね。』
山には、沢山の生き物がいる。
そして、それを狙う森の生き物。
まさに、襲われる確率が高い場所なのだ。
今回の件は、そういう所も影響したのだろう。
話を続けるギルドマスター。
『だからと言って、海に近づければ、水棲生物に狙われる。どうすればいいのかってなってな。』
「ならばスピナに頼めば良い。こういうのは彼女の出番だね。」
『そうだな、頼んでみよう。』
つまり、この施設は放棄することになる。
しかし、同じ過ちが起きてしまうより良いのだろう。
すると、竜車にギルドの職員が近づいてきた。
先程言っていた救援だろう。
「ギルドと騎士団到着しました。それで、入っていいのかと話し合いになりまして。」
施設の現状を見ながら職員が言った。
それもそうだろう、沢山の自走船が入ってきたら、振動で更に崩れる。
とはいえ、ここ以外に囲われた場所はない。
すると、職員にガーネリヤが答えた。
「そうだね、虫を駆除する係、死体を解体する係、拠点係だけ入ってくれ。なるべく建物に近づかず、物は人力で運び込んでくれ。」
分かりましたと、職員は自身の自走船に戻っていく。
まず、武器を持った人達が入ってきて虫の駆除を始める。
それを見たガーネリヤが動き出した。
「今のうちに、拠点を置く場所を決めてしまおう。まだ丈夫な壁を探す。エメリナ、手伝ってくれ。」
「私も。」
「アリアは休んでなさい。ここは私達でやるわ。」
手伝おうとしたアリアの申し出を断るエメリナ。
まだ、アリアにはやるべき事がある。
そのためにも、無駄な体力を使わせる訳にはいかないと考えての事だ。
言葉に甘えて、アリアが竜車の中に入って休憩に入る。
入れ替わるようにユーリアが外に出ると小竜に水を与える。
「まったく、おせっかいなのは変わらずね。それじゃあ、今の内に現状の確認をしましょう。カリネ、アイテムの数はどんな感じなの?」
「アイテムはさほど影響なし。だけど、設置型ボウガンの矢がほとんど無いかな。」
「かなり使ったっすからね。」
「もう少し続けば無くなる所でした。」
思ったよりも小物が多く、その分消費もかかったのだ。
それに、設置型ボウガンの矢は、大きいため沢山積んでは置けない。
だけど、幸いにも周りに自走船は多い。
「他の余っているのを分けてもらいましょう。次に、エンジンの燃料は?」
「問題なし。」
「竜車の損傷は?」
「問題なし。」
アリアの質問に答えていくカリネ。
特に問題は無いようだ。
アリアは通信機で矢の注文をする。
矢が届けば直ぐに動ける。
すると、早速職員が矢が届けに来てくれた。
「頼まれていたもの。お持ちしました。」
「これって、そこにある自走船のよね。いいのかしら。」
「補給品なので遠慮せず使って下さい。」
もともと無くなった所に配るようらしい。
なので、遠慮なく受けとる事になった。
ボウガンの矢を次々と竜車に積んでいく。
「これで準備は完璧ね。積み終わったら出るわよ。」
そうして、全ての矢が積み終わった。
竜車の前座に移動するアリア。
すると、戻ってきたガーネリヤが話しかけてきた。
「私達が手助けできるのはここまでだよ。ここから先は君達次第だね。」
「分かっているわ、森のエリアの事頼んだわよ。」
「勿論だ。今、部隊を配置している所だろう。我々も協力するつもりだよ。」
また、生き物を寄せ付けない煙を撒くのだろう。
これで、森のエリアも確保出来る。
安心して任せられるだろう。
アリアがグレンに確認を取る。
「リーダー。出発してもいいかしら。」
「いつでもいいぞ。」
全員乗り込んでいる。
アイテムの忘れ物もなし。
小竜に指示を出すアリア。
奥の門へと走らせる。
「昨日言った通り、山岳地方まで直進するわよ。」
大蛇の死体を避けて門を出た。
そのまま、真っ直ぐ伸びた道を進む。
樹に挟まれた道を進んでいく。
コガラキが鳥を飛ばして周りを確認する。
「障害物が増える分、あなたが頼りよ。」
「分かってるっす。」
山岳地方は、とにかく山で視線が遮られる。
上から見るしか方法がない。
その前に、まずは森を抜けなくてはならない。
安全を確保しつつ、道を進んでいく。
「周辺には何もいないっす。」
「そうね、この周辺の生き物は施設に向かったもの。」
あれだけいた虫一匹もいない。
何も危険が無い、安全な道。
それでも、警戒するに越した事はないが。
シルファが周りを見て言った。
「あの虫共。本当に余計なことをしてくれたんよ。」
「そうだな、あれのせいで危ない目にあったからな。」
「あんな事になるとは。」
乱入されることは多々あった。
でも、今回の事の様に敵が連鎖して現れるのは始めてだ。
それに対してアリアが答えた。
「虫のボスが出た時点で既に手遅れだったのよ。どう転んでも、仲間を呼ばれたわ。」
逃げても追いかけてくる。
つまり、倒すしか方法が無かったのだ。
そして、結局仲間を呼ばれる。
アリアが話を続ける。
「今回の件は学びね。虫が死ぬ瞬間ってね、救難信号の臭いを出すのよ。視覚と嗅覚を奪って始めて安全に倒せるの。しかも、煙を撒いても逃げられる。どうにか対策方法を考えないと。」
「そもそも、こんな事態でも無ければ、そこまで警戒する必要は無いのだがな。」
グレンの言う通り、大量発生なんてしてなければ問題は無いのだ。
今回、運悪くそういう条件を満たしていただけの事。
すると、セシルが質問をする。
「ちなみに、この先に虫はいないんですか?」
「いるわよ。勿論。樹がある所には必ずいる。しかもこの先、肉食の小竜すらも食べるのが当たり前のように生息しているわね。」
「この先は、ランクが上がるっすからね。自分達でようやくいける所っすから。」
エリアのランクは、危険を知らせるもの。
ランクが上がれば、危険も上がる。
そんな場所に棲んでるのだから、当然虫だってそれなりの進化をする。
そんな話をしていると、アリアが皆に報せる。
「そろそろ、山岳地方よ。警戒して。」
森を進むと、急に周りの樹が無くなる。
森を抜けたのだ。
山岳に入る前に、一度草原に出る必要がある。
その草原がエリアの入り口となっている。
目の前には、連なった山々が立ち塞がっている様に並んでいる。。
目の前には、真っ直ぐ進む道と上を目指す道。
竜車は、上に進む道に入った。
「上を目指すわ。小竜達、大変だけど頑張ってね。」
アリアの励ましに、任せてとばかりにぶもーと答える小竜達。
エンジンの回転も上げていく。
段々、上に向かって進んでいく竜車。
わざわざ、大変な道を選んだのには理由がある。
「空を飛ぶ生き物は、基本高い所に棲息する。二人共、空を飛ぶ生き物に注意をして。」
竜車の上で落ちないようにしている偵察組に指示を出すアリア。
しばらく進むと、坂が少し緩やかになる。
ここまでは安全にこれた。
だが、その事にアリアが疑問を持つ。
「生き物がいなさすぎる。」
「ほとんどが草原に向かったのでは?」
「それも原因がある。だけど、まったくいないなんて事があるのかしら。」
「たまたまそういう道を通っただけではないか?」
「そうね、考えすぎなのかしら。」
危険だからと言って、蔓延っているわけではない。
そういうときも勿論ある。
そう判断したときだった。
竜車を、嗅ぎ覚えのある匂いに包まれる。
例の甘い匂いだ。
「ビンゴだな。早速向かおう。」
「そうね、急ぎましょう。」
匂いの強い方に竜車を走らせる。
それと同時に、激しい音も聞こえてきた。
水棲生物には、専用のハンターがいるという設定です。
本部は同じですが、装備が変わるため別枠です。
いつか書けたら良いなと思ってます。




