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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
都市編

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施設突入、森の異変。

 森に入った直後だった。

 グレン達に聞きなれた羽音が聞こえてくる。

 良く狩っていた虫の羽の音だ。

 森に住む虫は、大量発生する事があるので、ハンターが一番狩る相手でもある。

 その虫の羽音に、アリアが推測を立てる。

 

「この音の数、沢山いるわね。でも、まだその時期じゃないはず。逃げ込んできた?」


「そりゃあ、森の外で捕食者がうろついてるんよ。逃げてくるのは当たり前なんよ。」


「でも、森の中にもいるだろ。問題はそっちだな。」


 エリクの言う通り、森の中にも虫を獲物と狙っているのは沢山いる。

 その為、虫の狩猟には必ずと言ってもいい程、奴等が現れるのだ。

 森の中を進んでいくと、羽が生えた虫が飛んでくる。

 段々と増え、竜車に集ってくる。

 偵察組が、ボウガンで撃ち落としていくが。


「数が多いっす。」


「矢が無くなりそうです。」


 設置型のボウガンの矢はそんなに多い訳では無い。

 今までもかなりの数を消費してきた。

 それなのに、集る虫の数は増える一方。

 ハント組が加勢に入る。


「一匹いたら沢山いるのは知ってるけど多すぎだろ。」


「施設まで何とか持たせるんよ。」


「この状態だと、施設もただじゃ済まないだろうけどな。」


「死体置いてきた。」


「そうね、今ごろ大蛇の死体に群がっている事でしょう。」


 虫は生き物の死体に集う性質がある。

 大蛇の死体ともなれば、虫が見逃すはずがない。

 底がつきない虫の数の前に手も足も出ない。

 その時、カリネが二階へと上がってきた。


「私に任せて。」


 そう言って、ボウガンを虫の群れに撃った。

 飛んだ玉は、直撃すると煙だして虫の群れを包んだ。

 見た目はいつもの煙玉だが、実は違う。

 その違いにシルファが気づいた。


「この煙、臭いが違うんよ。」


「その通り。この臭いは、生き物の食欲を駆り立てる作用があるんだよ。」


「そう言えば、この臭いに覚えがあるわね。」


「へぇ、そうなん。って何でそんなものを持ってるん?」


 シルファが疑問を持つのは当然だろう。

 今まで取り扱っていたのは臭いを誤魔化す程度の煙だ。

 しかし、当たり前のようにカリネが答えた。


「実は、スピナにカリネ作アイテムの自慢したら、ガーネリヤにも知られてね。協力をして欲しいって言われたんだよ。」


「そう言うことね。あの論文は、香りの作り方までしか書いてなかったのよ。煙に臭いを付着させるなんてどうやったのかと思ったら、カリネが協力してたのね。」


 立役者ここにあり。

 カリネはすごく自慢気にしている。

 しかし、この臭いにグレンが疑問を持つ。


「それで、こんな臭いを持ち出してなにする気なんだ。」


「いいから見てて。」


 カリネが、そう促した。

 虫を払いながらも、その時を待つ。

 しばらくしたら、その答えがやって来た。

 コガラキの鳥が反応した。


ぴーひょろろろ。


 敵襲を知らせる声。

 コガラキが反応するが。


「敵が来るっす。」


「大丈夫。予定通りだよ。」


 そう言って、一同を落ち着かせるカリネ。

 その直後、樹の間から影が飛び出した。

 そのまま、臭いを漂わせている虫を掴んで着地した。


「大翼猿ね。臭いに誘われたんだわ。」

 

 見た目は猿だが、脇に翼の幕の様な物がある。

 それで滑空し、獲物を取る。

 大翼猿は、近くの虫を掴んで食べている。

 仲間を助けようと大翼猿に虫が集った。

 虫を狙う捕食者を逆に利用してやったのだ。


「いいわね。このまま施設に行きましょう。」


 虫の群れを抜けて進むと、施設の壁が見える。

 前回の様に周って奥の入り口に向う為、手前の門に差し掛かった時だった。

 手前の入り口の門の一部が竜車に迫る。

 とっさにアリアが叫んだ。


「危ないっ。」 


 小竜に指示を出して急停止をかける。

 しかし、既に門の下に入り込んでいた。

 すると、シルファとユーリアが飛び出した。


「任せなっ。」


「させないっ。」


 振ってきたのは、門の中央にある三本の木。

 端の二本を蹴っ飛ばし左右に飛ばした。

 そして、真ん中の一本をグレンが受け止めた。

 着地する二人。


「あぶねぇな。なんなんよ。」


「おどろいた。」


「さぁな。とにかく調べてみないと。」


 そう言いながら、木を横に飛ばすグレン。

 激しい音をならしながら門の木が地面に倒れた。

 竜車から降りたアリアが、原因を調べる。


「繋ぎがかじられて腐食している。」


「腐食って、最近までそんなそぶりは無かったんよ。」


「前は、無かった。」


 アリアに近づいた二人が、そう指摘する。

 しかし、確かに繋ぎの木が腐っている。

 こんな短期間で腐ったというのだ。

 心当たりがあるアリアが指摘する。


「木を腐らして食べる虫がいるのよ。ほら、上を見て。」


 アリアに促された一同が上を見る。

 門の所々がかじられていた。

 他の門も、連鎖して今にも倒れそうだ。

 いや、門だけではない。


「こちら側の壁全体が崩れそうね。かじった本人は森に返ったみたいだけど。」


 お腹を満たして返ったのだ。

 随分と勝手である。

 おかげで、ここ一体が危険である。

 急いで竜車に戻るアリア。


「壁周りは危険ね。門をこじ開けて通ってしまいましょう。」


「任せなっ。」


「手伝う。」


 シルファとユーリアが左右の門を蹴飛ばすとあっさりと左右に別れて倒れた。

 そもそも、ほとんど繋ぎにぶら下がっていた状態ので倒れるのも時間の問題だったのだ。

 ちょうど、竜車が通れる間が開いたので、そこを通過して中に入った。

 そこにあった光景に一同が驚愕した。


「なんだよこれ、完全に廃墟じゃねぇか。」


 崩れかけていた建物は、更にひどく崩れていた。

 しかも、あちこちに羽虫が飛んでいる。

 それだけでなく、後ろ足が長い跳虫が、沢山地面を歩いていた。

 もはや完全に廃墟。

 人が住める様な場所では無い。

 すると、その一部が竜車へと向かってきた。

 対処する一同。


「ぐずぐずしてる場合じゃねぇな。」


 飛び出したエリクが虫をナイフで刺した。

 既に降りていたシルファとユーリアも後に続いた。


「安全な場所を確保するんよ。」


「囲まれる。」


 羽虫は、左右上下どこからでもくる。

 しかも、数が多い。

 偵察組も、自前のボウガンで対処する。

 矢や爆発が空に舞う。


「これじゃあ、持たないっすよ。」


「多すぎます。」


 玉が尽きつつある。

 すると、ボウガンを持つカリネが地面に通常の煙玉を撃った。

 竜車が煙に包まれる。

 アリアが一同に指示を出した。


「建物の裏に逃げるわ。サポートして。」


「俺がしよう。」


 グレンが、竜車の前に降り立った。

 その際、複数の虫を薙ぎ払う。

 煙が晴れると同時に竜車を移動させようとした時だった。


「ボスだ。」


「いやがったか。」


 建物の上から大羽虫が現れ、周りを壊しながら飛び回る。

 そして、一同に突っ込んできた。

 何とか避けるともう一度空に飛んだ。


「めんどくせぇ。さっきみたいに、捕食者を呼べねぇのか。」


「出来るけど。」


「止めた方がいいわね。逃げられて飛ばれると、より多くの大物を集めるわ。」


 臭いを広めた場所が広いほど大物がやって来る。

 そうすれば、戦わなくてもいい奴まで呼び寄せてしまう。

 流石に対処が困難になる。

 更に、アリアが指摘する。


「やるなら、羽をもぐか、倒すかね。どっちにするかは任せるわね。」


「やら、倒してしまおう。エリク交代だ。」


 グレンの代わりにエリクが竜車を守る。

 そして、前に出たグレンが大羽虫と対面する。

 グレンに突っ込む大羽虫。

 それに対し、大剣を振るが避けられる。

 そして、後ろに回りこまれる。


「随分と賢いんよ。」


「反応が早い。」


 シルファとユーリアが斬りかかるが避けられる。

 デカイ割に素早いのだ。

 しかも、左右に自在に移動するから追えないのだ。

 しかし、戦いなれているハント組には大した問題ではない。

 目を閉じ、羽音を聞くグレン。


「突っ込む前に一瞬引く。」

 

 勢いをつけるために身を引く。

 それは、どの虫も同じ。

 その瞬間の羽の音を捕らえたグレンがそちらに向く。

 ちょうど突っ込んでくる瞬間だ。

 軽く身を下げてかわすと、虫の尻尾を掴んで地面に叩きつけた。

 そして、グレンが叫んだ。


「今だっ。」


 駆け出したシルファとユーリアが、本体を切り裂いた。

 尻尾を引っ張り、体を寄せたグレンは、そこに大剣を叩き込んだ。

 あっさりと、動かなくなる。

 デカくても所詮は虫。

 倒したと思った次の瞬間だった。

 大羽虫に、沢山の虫が群がってきた。

 そして、りりりりーん、と羽で音を鳴らして合唱を始める。


「なんなんよ。」


「うるさい。」


 けたたましい音に、三人は耳を塞いだ。

 虫の羽音の意味は簡単だ。

 アリアが指摘する。


「敵がいるぞ。協力して倒せ。かしら。」


「なるほどっすね。でどうなるんすか?」


 コガラキがアリアに聞いたがその必要は無かった。

 答えが外から聞こえたからだ。

 そして、上からもやって来た。

 セシルが見上げた頃には既に空を多い尽くされていた。


「なんですか。これ。」


「呼んだにしては多すぎるっす。」


「虫の鳴き声って無差別なのよね。この辺り一体の虫に知らせがいったのよ。」


 淡々と答えるアリア。

 そうしている間にも次々と迫ってくる。

 そうすれば、当然奴等も来る。

 施設の壁の外が騒がしくなる。


「竜車を建物の影に隠すわ。エリクは向こうに合流して。」


「いいのかよ。」


「むしろ、戦力を分けている場合じゃないわ。こっちは何とかする。急いで。」


 分かったと言い残し、広場に戻るエリク。

 ハント組が合流する。

 その直後、至るところから壁にぶつかる音がする。

 這い登る音、衝突する音、空から羽ばたく音。

 そして、門が吹き飛び、そこから影が覗いた。

 それをきっかけに、次々と大きな影が広場に落ちていく。

 その光景に、もはや呆れる一同。


「あーあ、そろそろ昼御飯の時間なんよ。」


「現実逃避禁止。」


「っていうか、そのやり取り前にやっただろ。」


 目の前の光景から目を背けたくなるのも仕方ない。

 次々と影の主が広場に降り立った。

 がははと笑い、先頭に立つグレン。


「集まってしまったものは仕方あるまい。どうせ全部狩らなくてはいけないのだ。やるぞ。」


 ハント組は、目の前にある地獄に立ち向かう。

絵にしたくないシーン第一位。

文字だからいいか、と大盤振る舞いにしました。

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